医療従事者の需給に関する研究

文献情報

文献番号
201620015A
報告書区分
総括
研究課題名
医療従事者の需給に関する研究
課題番号
H28-医療-一般-006
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
伏見 清秀(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医療政策情報学)
研究分担者(所属機関)
  • 藤森 研司(国立大学法人東北大学 医学系研究科)
  • 石川 ベンジャミン 光一(国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター 臨床経済研究室)
  • 本橋 隆子(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 金沢 奈津子(独立行政法人国立病院機構本部 総合研究センター 診療情報分析部)
  • 川越 雅弘(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障基礎理論研究部)
  • 光武 誠吾(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 宮本 礼子(首都大学東京 人間健康科学研究科)
  • 藤田 伸輔(国立大学法人千葉大学 予防医学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本邦では、急激な高齢化が進んでおり、2025年には最も高齢者割合が上昇すると予想されている。こうした人口構造の変化に伴い、医療の提供体制についても適正に整備されることが求められている。現在、都道府県では地域医療構想の策定が進められており、病床の機能分化、連携等が見直されている。こうした背景のもと、地域医療構想との整合性の確保や地域偏在等の是正などの観点から、医師や看護師のみならずリハビリ関連職種も含めた医療従事者についても需給を検討する必要がある。
 そこで、本研究では地域医療構想に関するデータ作成で開発してきた一連の手法を活用し、地域医療構想との整合性を確保しつつ、リハビリ関係職種の需給推計を行うことを目的とした。
研究方法
 まず、PT・OTの供給推計において、PTおよびOT養成機関の養成数の年次推移と合格率等の推移、さらに現職者の年齢構成、就業率、平均勤続期間等より供給数の将来推計を行った。次に、医療におけるPT・OTの需要推計として、National Data Base等より、年齢階級別のPT・OT関連診療報酬算定状況を把握した上で、人口構造の変化や受療率の変化等を加味して将来需要数を推計した。さらに、介護における需要推計として、介護保険データベース等を用い、所在地別(在宅、居住系、介護保険施設)に要介護度別リハビリ受給率を分析した上で、将来的な所在地分布を複数パターン仮定し、介護領域におけるPT・OT需要数を推計した。
結果と考察
 供給推計では2040年には医療・介護分野に従事するPT・OTは約42.0万人まで増加する結果となった。需要推計に関する結果では、医療分野全体のPT・OTの需要数は、2014年から2040年までに約12万~13万人に増加すると推計された。また、介護分野では、2040年の需要数は約7万人と推計された。
 以上の結果から、PT・OT の供給数は、すでに需要数を上回っており、2040 年ごろには需要数が供給数の半数以下となる試算となった。今回の推計では、療法士一人あたりの1日あたりの施療提供量に一定の仮定を置いて推計を行っていることに留意する必要がある。本研究の結果からは、リハビリテーション提供量の推計を元に必要人員を推計する手法に一定の妥当性と有用性を認めることができたので、今後、この推計手法の改善を含めて検討を続ける必要があると考えられる。
 65歳で定年と仮定した場合、2040 年まではほとんど退職者がおらず、供給数が直線的に増加する一方で、需要数は2035 年頃以降、地域医療構想における病床数の削減や将来人口の減少などに影響を受け、ほぼ横ばいとなるため、より供給過多が顕著になる結果となった。
 本研究の供給推計で用いたデータは、理学療法士協会、作業療法士協会が公開しているもの、あるいは提供したものであり、それを全登録者に適応した。各協会の組織率がそれぞれ約80%、約70%であることを鑑みると、供給推計においては過大評価となっている可能性は否定できない。また、需要推計においては、現状の受療率やリハ提供状況が今後も継続すると仮定した場合の推計であるため、現状では充足していないと考えるならば、本推計結果は過小評価となり、反対に現状が過剰診療であると考えるならば過大評価であると言える。また、本研究では、既存の各種統計データを活用して推計を行ったことで、全体を概観する結果を得たが、その一方で、実際の各診療現場における状況は考慮していない。
 今後の医療従事者の働き方や労働環境の変化、時代の変遷等を考慮した推計方法について、今後さらに検討を重ねる必要があると考えられる。
結論
 本研究の結果、PT・OTは、今後さらに供給過多が顕著になることが予想された。こうした結果を踏まえ、将来の需給のバランスを見据えた計画的な人員養成や効率の良いマンパワーの配分を検討する必要があると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2018-07-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-07-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201620015C

収支報告書

文献番号
201620015Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,000,000円
(2)補助金確定額
3,840,000円
差引額 [(1)-(2)]
160,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,209,746円
人件費・謝金 1,147,270円
旅費 27,820円
その他 955,732円
間接経費 500,000円
合計 3,840,568円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-07-02
更新日
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