医療安全の向上のための医療従事者を対象にした普及啓発の効果測定に関する研究

文献情報

文献番号
201620006A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全の向上のための医療従事者を対象にした普及啓発の効果測定に関する研究
課題番号
H27-医療-一般-007
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学 医学部医学科社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 飯田 修平(全日本病院協会)
  • 永井 庸次(ひたちなか総合病院)
  • 嶋森 好子(岩手医科大学 医歯薬総合研究所)
  • 藤田 茂( 東邦大学 医学部医学科社会医学講座 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
2,618,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 嶋森 好子 東京都看護協会(平成27年4月1日~28年6月30日)→ 岩手医科大学(平成28年7月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、病院に勤務する医療従事者を対象とした質問紙法による調査により、日本医療機能評価機構等が発行する医療安全に関する各種の情報の周知方法と浸透・共有状況を明らかにするのに加え、情報の浸透・共有状況が良好になる院内の周知方法を明らかにした。また、それらの情報提供が、医療従事者の医療の質と安全の向上に与えた効果の有無を検証した。
研究方法
前年度の病院対象の調査で、医療従事者対象の調査への参加意向を示した205病院のうち、病院の規模や機能を勘案して40病院を抽出した。各病院100名(全4000名)の医療従事者を対象に、前年度に開発した調査票を用いた無記名自記式のアンケート調査を実施した。調査期間は平成28年9月から11月とし、調査対象病院の都合に合わせ、各病院任意の2週間で調査票を配布・回収した。
結果と考察
調査票の回収率は94%(3768/4008)であった。各種医療安全情報を「定期的に見る/ときどき見る」と回答した割合は、日本医療機能評価機構の医療安全情報が5割を超えたが、他は3割に満たなかった。日本医療機能評価機構の医療安全情報を「定期的に見る/ときどき見る」と回答した医療従事者の割合は、看護師(57%)と比較し、薬剤師(68%、p<0.01)のみが高く、他の職種はいずれも低かった(21~46%、いずれもp<0.01)。また、その割合は、全職員に個別に配布(61%)と全部署に配布(57%)が、一部の職員・部署に配布(48%)と掲示のみ(48%)より高かった(いずれもp<0.01)。職種で調整すると、医療安全文化の12領域のうち、「出来事報告の姿勢」の評価点みが、医療安全情報の閲覧と相関していた。
結論
医療従事者は日本医療機能評価機構の医療安全情報を最も利用していた。医療安全情報の閲覧頻度は職種により異なり、薬剤師、看護師の閲覧頻度は高かったが、看護助手、リハビリテーション専門職の閲覧頻度は低かった。医療安全情報は、全職員に個別に配布あるいは全部署に配布することで、医療従事者の閲覧頻度を向上できると考えられた。医療安全情報の閲覧は、医療安全文化のうち、インシデントレポート等を報告する姿勢の向上が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2017-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201620006B
報告書区分
総合
研究課題名
医療安全の向上のための医療従事者を対象にした普及啓発の効果測定に関する研究
課題番号
H27-医療-一般-007
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学 医学部医学科社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 飯田 修平(全日本病院協会)
  • 永井 庸次(ひたちなか総合病院)
  • 嶋森 好子(岩手医科大学 医歯薬総合研究所)
  • 藤田 茂(東邦大学 医学部医学科社会医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 嶋森 好子 東京都看護協会(平成27年4月1日~28年6月30日)→ 岩手医科大学(平成28年7月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、病院に勤務する医療従事者を対象とした質問紙法による調査により、日本医療機能評価機構等が発行する医療安全に関する各種の情報の周知方法と浸透・共有状況を明らかにするのに加え、情報の浸透・共有状況を良好とする院内の周知方法を明らかにした。また、それらの情報提供が、医療従事者の医療の質と安全の向上に与えた効果の有無を検証した。
研究方法
医療安全情報の病院レベルでの利用状況を明らかにするため、平成27年8月から9月にかけて、全国から病床規模で層化抽出した3270病院を対象とした郵送法によるアンケート調査を実施した。医療安全情報の医療従事者レベルでの利用状況を明らかにするため、調査票を開発した後、平成27年11月から12月にかけて、有意抽出法により選択された9病院の664名の医療従事者を対象とした予備調査を実施した。予備調査に基づいて修正された調査票を用い、平成28年9月から11月にかけて、前年度の調査で医療従事者対象の調査の実施に同意した病院の中から40病院を抽出し、各病院100名(全4000名)の医療従事者を対象としたアンケート調査を実施した。
結果と考察
平成27年度の病院対象の調査では、調査票の回収率は22.4%(731/3270)であった。その結果、各種の医療安全情報のうち、日本医療機能評価機構の発行する医療安全情報がもっとも病院の中で利用されていること、病床規模の大きい病院ほど各種の医療安全情報の利用割合が高いこと等が明らかになった。
平成28年度の医療従事者対象の調査では、調査票の回収率は94%(3768/4008)であった。その結果、医療安全情報の閲覧頻度は、薬剤師、看護師は高いが、医師、技師、看護助手、リハビリテーション専門職は低いこと、看護師は経験年数の長い者ほど閲覧頻度が高いこと、自分の業務に関連した内容が多いと感じる者ほど閲覧頻度が高いこと、全職員に個別に配布もしくは全部署に配布すると、一部の職員・部署に配布するのと比べ、医療安全情報を閲覧する医療従事者が2倍以上になると推定されたこと、医療安全情報の閲覧の有無は医療安全文化のうちインシデントレポート等を報告する姿勢と相関していること等を明らかにした。
結論
日本医療機能評価機構の発行する医療安全情報は、病院および医療従事者の間でもっとも利用されていた。日本医療機能評価機構の医療安全情報は、病床規模の大きい病院および薬剤師、看護師の間で利活用が進んでいた。それ以外の病院、職種の利活用を促進する方法を検討する必要がある。医療従事者の閲覧頻度を向上するには、医療安全情報を全職員に個別に配布または全部署に配布するほか、日本医療機能評価機構等から医療従事者個人に対し、電子メール等を用い、直接医療安全情報を届ける仕組みの構築が有用と考えられた。医療安全情報の閲覧は、医療安全文化のうち、インシデントレポート等を報告する姿勢の向上が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2017-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201620006C

収支報告書

文献番号
201620006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,892,000円
(2)補助金確定額
6,892,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 896,203円
人件費・謝金 1,507,840円
旅費 2,402,183円
その他 1,136,774円
間接経費 949,000円
合計 6,892,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2017-05-25
更新日
-