文献情報
文献番号
201619002A
報告書区分
総括
研究課題名
職域におけるウイルス性肝炎患者に対する望ましい配慮及び地域を包括した就労支援の在り方に関する研究
課題番号
H26-肝政-一般-002
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 哲(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 堀江 正知(産業医科大学 産業生態科学研究所)
- 坂本 穣(山梨大学医学部附属病院、肝疾患センター)
- 柿崎 暁(群馬大学医学部附属病院 消化器・肝臓内科、肝疾患センター)
- 池田 房雄(岡山大学病院消化器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、肝炎患者労働者が就労と治療について相談できる窓口をこれまでの事業所内だけでなく、事業所外にも拡大するため、産業医からの配慮事例に加え、肝疾患相談センター、各機関の肝疾患コーディネーターから就労支援の相談事例を収集、整理する。これらの事例を共有することが就労支援の機会増加につながり、職域における肝炎患者に対する望ましい配慮と就労支援の在り方の提言に結びつく。さらに、IFNを使用しない経口抗ウイルス治療薬が昨年末からあいついで承認され、職域での肝炎検査の受検と、検査陽性者を治療に結びつけることがより重要となっている。平成28年度は下記課題について検討。
(1)労働者、事業者、かかりつけ医、専門医間の連携用連絡ノートと肝疾患コーディネーターが就労環境を評価するためのアセスメントシートの運用
(2)肝疾患相談センター、肝疾患コーディネーターでの就労に関する相談の実態と事例収集
(3)病病、病診連携における就労と治療の両立支援体制の構築
(4)産業医が関与した慢性肝障害の事例を収集のうえ経過を追跡して、就業支援の有効性を分析。
(5)肝疾患相談センター、産業保健推進センター、労働基準協会、保健所等の地域の機関が連携した肝炎ウイルス検査勧奨と就労支援への啓発活動
(6)職域の定期健診と同時の肝炎検査、産業医を中心とした検査陽性者のフォローアップモデルの確立
(1)労働者、事業者、かかりつけ医、専門医間の連携用連絡ノートと肝疾患コーディネーターが就労環境を評価するためのアセスメントシートの運用
(2)肝疾患相談センター、肝疾患コーディネーターでの就労に関する相談の実態と事例収集
(3)病病、病診連携における就労と治療の両立支援体制の構築
(4)産業医が関与した慢性肝障害の事例を収集のうえ経過を追跡して、就業支援の有効性を分析。
(5)肝疾患相談センター、産業保健推進センター、労働基準協会、保健所等の地域の機関が連携した肝炎ウイルス検査勧奨と就労支援への啓発活動
(6)職域の定期健診と同時の肝炎検査、産業医を中心とした検査陽性者のフォローアップモデルの確立
研究方法
1.肝炎患者の就労に関する総合支援モデル事業実施施設と平成28年6月、11月に連絡会を開催。
2.職域の定期健診を実施している健診機関を自治体が実施する肝炎検査委託医療機関と認定、無料肝炎検査の実施について検討。平成28年度は九州地域にある大手化学メーカー事業所を対象にモデル事業を実施。
3.神奈川県の肝炎医療コーディネーター研修の一貫として、産業保健スタッフを対象に県共催の研修会を開催。県の肝臓専門医療機関に対し、休日夜間でインターフェロンフリー治療可能か調査に協力、結果を県のホームページに掲載。
4.地域における中小事業者での肝炎対策のための、肝疾患相談センター、産業保健推進センター、労働基準協会、保健所、商工会議所等の複数関連機関からなる包括モデル構築に向け、2次医療圏(神奈川県西部)を中心に講演。
5.これまでの職域への出張講演の実践、両立支援の相談実績を基に、治療と仕事の両立支援のための肝炎医療コーディネーターマニュアルを作成。
6.肝炎、肝疾患治療と就労の両立支援のため、中小企業では健康経営の観点が受け入れ易い。そこでC型肝炎治療に伴う休職、慢性肝炎より進行した病態に伴う生産性低下、企業にとっての機会逸失による損失を推定。また、厚生労働省からの事業者向け指針「治療と職業生活の両立等の支援対策事業」で「肝疾患に関する留意事項」作成に協力
7.慢性肝疾患を有する労働者の就業継続を支援するための就業条件を探索することを目的に、産業医が健康管理する事業場から事例収集、追跡調査した。
8.ウイルス性肝炎を有しながら就業する労働者を人的資源ととらえた人事及び業務管理を推進から、肝炎検査や精密検査の受検、専門医受診と肝炎治療継続の支援、肝炎治療と職業生活の両立支援に関する有用な知見や制度に関する情報収集。
9.肝炎患者に関する就労支援の在り方についてアンケート調査、肝炎治療と職業生活の両立支援のための肝疾患コーディネーター有効活用の検討、病病・病診連携による就労と治療の両立支援体制の構築。
10.企業等への出張肝臓病教室の就労支援に関する有用性の検証、出張肝臓病教室受講者の希望者に同時に肝炎ウイルス検査実施上の課題の検討。
2.職域の定期健診を実施している健診機関を自治体が実施する肝炎検査委託医療機関と認定、無料肝炎検査の実施について検討。平成28年度は九州地域にある大手化学メーカー事業所を対象にモデル事業を実施。
3.神奈川県の肝炎医療コーディネーター研修の一貫として、産業保健スタッフを対象に県共催の研修会を開催。県の肝臓専門医療機関に対し、休日夜間でインターフェロンフリー治療可能か調査に協力、結果を県のホームページに掲載。
4.地域における中小事業者での肝炎対策のための、肝疾患相談センター、産業保健推進センター、労働基準協会、保健所、商工会議所等の複数関連機関からなる包括モデル構築に向け、2次医療圏(神奈川県西部)を中心に講演。
5.これまでの職域への出張講演の実践、両立支援の相談実績を基に、治療と仕事の両立支援のための肝炎医療コーディネーターマニュアルを作成。
6.肝炎、肝疾患治療と就労の両立支援のため、中小企業では健康経営の観点が受け入れ易い。そこでC型肝炎治療に伴う休職、慢性肝炎より進行した病態に伴う生産性低下、企業にとっての機会逸失による損失を推定。また、厚生労働省からの事業者向け指針「治療と職業生活の両立等の支援対策事業」で「肝疾患に関する留意事項」作成に協力
7.慢性肝疾患を有する労働者の就業継続を支援するための就業条件を探索することを目的に、産業医が健康管理する事業場から事例収集、追跡調査した。
8.ウイルス性肝炎を有しながら就業する労働者を人的資源ととらえた人事及び業務管理を推進から、肝炎検査や精密検査の受検、専門医受診と肝炎治療継続の支援、肝炎治療と職業生活の両立支援に関する有用な知見や制度に関する情報収集。
9.肝炎患者に関する就労支援の在り方についてアンケート調査、肝炎治療と職業生活の両立支援のための肝疾患コーディネーター有効活用の検討、病病・病診連携による就労と治療の両立支援体制の構築。
10.企業等への出張肝臓病教室の就労支援に関する有用性の検証、出張肝臓病教室受講者の希望者に同時に肝炎ウイルス検査実施上の課題の検討。
結果と考察
職域への出張講演、両立支援相談の実績を基に作成されたにより、肝炎医療コーディネーターが就労支援相談にも対応できるようマニュアルを作成。経口抗ウイルス治療薬導入後も休日、平日夜間に対応可能な施設紹介の要望があり、治療継続のため専門医と肝疾患相談センターによる積極的連携は今後も重要と考えられた。職域において定期健康診断が肝炎検査を受検し易い環境であるが、自治体の無料検査を職域に拡大するには自治体や医師会との調整が必要となり制度面での支援が望まれる。中小企業に対し、事業者が受け入れ易い健康経営の観点での治療と就労の両立支援、市町村のがん検診と合わせて肝炎検診についても紹介の必要がある。
結論
今後、職域におけるウイルス性肝炎患者に対する望ましい配慮について、大中企業では産業医が中心となりこれまで集積された事例を参考に具体的支援が望まれる。
一方、中小企業に対する地域包括的就労支援として、地域・職域連携推進事業の枠組み、肝疾患連携拠点病院を始めとする医療機関の肝炎医療コーディネーターによる支援が期待される。
一方、中小企業に対する地域包括的就労支援として、地域・職域連携推進事業の枠組み、肝疾患連携拠点病院を始めとする医療機関の肝炎医療コーディネーターによる支援が期待される。
公開日・更新日
公開日
2017-10-24
更新日
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