国内の病原体サーベイランスに資する機能的なラボネットワークの強化に関する研究

文献情報

文献番号
201617011A
報告書区分
総括
研究課題名
国内の病原体サーベイランスに資する機能的なラボネットワークの強化に関する研究
課題番号
H28-新興行政-一般-006
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 義継(国立感染症研究所 真菌部)
研究分担者(所属機関)
  • 調 恒明(山口県環境保健センター)
  • 大西 真(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 野崎 智義(国立感染症研究所 寄生動物部)
  • 田島 茂(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 安藤 秀二(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 吉田 弘(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 駒瀬 勝啓(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
  • 蒲地 一成(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 御手洗 聡(公益財団法人結核予防会 結核研究所 抗酸菌部)
  • 森川 茂(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 松岡 佐織(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
  • 藤本 嗣人(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
  • 鈴木 里和(国立感染症研究所 細菌第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 新型インフルエンザなど国民生活に脅威となる感染症のリスクは常に存在し、実際に平成28年度には麻疹のアウトブレイク、薬剤耐性菌やジカ熱などが発生した。感染症の危機管理のためには、統一的に病原体を特定し、その病原体のサーベイランスにより感染拡大状況の把握が可能な法的に整備されたシステムが必須である。しかし、中央と地方を統括し危機的感染症に対処する機関は存在しないため、危機発生時に直ちに対応できる病原体検査体制を全国規模で構築・維持することを目的としてその基盤を構築する。
 本研究班では、国立感染症研究所と各地方自治体の地方衛生研究所が相互に補完協力することを前提として、ウイルス・細菌・真菌・寄生虫などあらゆる病原体を想定し危機的感染症に備える研究を実施する。
 研究成果は、行政機関における病原診断能力の向上と維持につながり、わが国における精度の高い感染症発生動向として報告され、施策に直接反映される。また、パンデミックにおいて流行状況を把握する必要が生じた場合、本研究成果の活用により、全国での病原体検査実施が迅速かつ円滑に行われ、また流行状況の正確な把握が可能になり、パンデミック対策等の危機管理に資する。
研究方法
地方衛生研究所と国立感染症研究所が共同で実施すべきレファレンス活動を、双方の病原体担当職員が、地方衛生研究所全国協議会の感染症対策部会と連携しながら研究を実施した。検査体制について病原体担当者レベルで協議し、各病原体レファレンスセンター活動、ならびに、病原体・細菌毒素などの診断法・疫学解析法の確立を中心に行った。
 各病原体レファレンスセンター活動としては、1)大腸菌・レジオネラ・レンサ球菌、2)寄生虫、3)アルボウイルス、4)リケッチア、5)エンテロウイルス、6)麻疹・風疹、7)百日咳、8)抗酸菌、9)動物由来感染症、10)HIV関連感染症、11)アデノウイルス、12)薬剤耐性菌 について実施した。それぞれの病原体や疾病について、全国で分離された株の型別、薬剤耐性株の出現状況調査、講習会・技術研修会の実施、検査法の検討、また、レファレンス活動に必要となる病原体・細菌毒素などの診断法・疫学解析法の確立および評価を行った。
結果と考察
 各レファレンスセンターでは遺伝子検出系・血清診断・型別法の開発・改良・地衛研への配布等を行い、各レファレンスセンターを中心とした病原体検査体制の強化と危機対応、疫学調査に貢献した。大腸菌、レジオネラ、連鎖球菌は血清や遺伝子の型別分類、抗酸菌は遺伝型別試験の精度管理、百日咳は検査感度の評価、薬剤耐性菌は全国の検査体制の評価を実施した。リケッチアは遺伝子検査法の評価、寄生虫は技術研修と免疫学的検査・遺伝子検査、動物由来感染症は野兎病検査の外部精度評価を実施した。エンテロウイルスは研修と検査試料の送付と保管条件検討、麻疹・風疹は検査試薬・標準品の配布とパネル血清評価、アデノウイルスは分子疫学調査、アルボウイルスはジカ熱検査法の構築と疫学調査を行った。病原体検出マニュアルは、麻疹、腸管出血性大腸菌、アデノウイルス、ヘニパウイルスを改訂した。
また体制整備として地衛研への配布試薬等のリスト作成、薬剤耐性菌レファレンスセンターの運用開始、ボツリヌス・ジフテリアレファレンスセンターの一時休止等を行った。研修会・講習会を行うことによって、検査技術の維持・向上に貢献し、疫学調査を行い、全国発生動向・集団発生事例の監視を可能にした。
結論
 国立感染症研究所と全国の地方衛生研究所の共同検査体制を構築維持のために、病原体検出マニュアルの改訂・整備を継続し、地方衛生研究所での感染症検査体制を維持するための各病原体の遺伝子検査、血清診断、型別法の開発・改良、疫学調査、標準品の作成供給、検査技術の継承のため講習等を実施した。
 本研究はレファレンスセンター活動を軸として、全国の公的な病原体検査ラボネットワークを機能させるうえで極めて重要な役割を果たした。さらに、本ネットワークを維持強化するためには、全国地方衛生研究所の各施設における専門性を考慮した人員配置と組織構築と、継続的な事業化によるリソースの確保の二点が重要課題と考えられる。
本ネットワークの活用により、国レベルの危機的感染症に際し迅速検査対応や情報収集が可能となり、患者のみならず国民の福祉に資する。

公開日・更新日

公開日
2017-05-15
更新日
2017-05-19

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201617011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
9,974,000円
差引額 [(1)-(2)]
26,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 8,337,205円
人件費・謝金 0円
旅費 1,248,597円
その他 388,812円
間接経費 0円
合計 9,974,614円

備考

備考
旅費として確保していたが、研究上の諸般の事情により年度内に実施出来なかった

公開日・更新日

公開日
2019-08-01
更新日
-