外因死の背景要因とその遺族への心のケアに関する研究

文献情報

文献番号
201616038A
報告書区分
総括
研究課題名
外因死の背景要因とその遺族への心のケアに関する研究
課題番号
H28-精神-一般-007
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
川野 健治(立命館大学 総合心理学部)
研究分担者(所属機関)
  • 竹島 正(川崎市精神保健福祉センター/国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
  • 松本 俊彦(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部)
  • 福永 龍繁(東京都監察医務院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
7,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
少子高齢化の進むわが国において健康寿命の延伸を図るため、外因死の身体的・精神的・社会的背景要因を明らかにして、それらに対応した施策を講じる基盤を整備することおよび、政策提言を行う。
研究方法
外因死の背景要因の究明に関する研究では、平成21年度「不慮の事故死亡統計」の概況(厚生労働省)、東京都監察医務院の検案統計、川崎市における外因死の人口動態統計の分析による探索的検討、生活困窮者の死因・自殺・不慮の事故の文献的検討を行い、多分野の研究協力者による研究会を開催した。並行して、情報発信のためのウエブサイトの構造および内容の検討を行った。基礎調査の報告書及び調査方法・調査項目については、女性の自殺事例について学際的視点を導入しつつ検討し、東京23区における女性自殺既遂事例15例から、特徴的な経緯を呈していると考えられた4つを呈示した。加えて、東京都監察医務院の検案調書のなかで特に外因死の特徴を整理した。遺族への心のケアに関しては、文献的検討および、多分野の研究協力者による研究会を開催した。
結果と考察
監察医務機関がない地域における外因死の情報については、(1)警察署の保有する異状死データ、(2)人口動態統計、(3)救急搬送の不搬送事例、(4)救急搬送後の外因死事例、(5)市内医師の検案事例、(6)生活保護停止事例、(7)自殺統計原票などがあり、外因死は、不慮の外因死(交通事故、転倒・転落、溺水、煙・火災及び火焔による傷害、窒息、中毒、その他)とその他及び不詳の外因死(自殺、他殺、その他及び不詳の外因死)にあることが確認され、ここから対策構築可能で情報収集の可能な範囲の特定が重要と考えられた。また、情報提供のためのウエブサイトにおいては、外因死は予防可能であるというメッセージを中心において構築することが重要であること確認された。
監察医務機関のある地域における外因死要因および遺族支援ニーズの究明については、既存の調査方法について、(1)評価できていない診断疾患の追加、(2)家庭内の問題の分節化、(3)幼少期の逆境体験及びトラウマ体験に関するデータ収集、(4)女性のライフイベントに伴うリスクの評価、という課題が明らかにされた。
自殺・不慮の事故等の要因分析と遺族支援における監察医務院の役割の提言については、外因死に関連した諸問題と遺族支援について,特に,薬毒物による自殺,妊産褥婦死亡,若年層の自殺などが早急に調査するべき課題として上げられた.
最後に、外因死の遺族への心のケアは、犯罪被害、交通事故、自然災害、自殺についてのそれぞれが独自の経緯を経て、マニュアルの整備、被害者支援、セルフヘルプグループの立ち上がりとその支援、あるいは研修制度の整備が進んでいることが確認され、他方で制度から抜け落ちる遺族の存在が指摘された。
結論
外因死の背景要因とその遺族への心のケアについて、現状の把握と課題の整理が行われた。今後は各分担研究が連携しつつ、外因死の身体的・精神的・社会的背景要因を明らかにして、それらに対応した施策を講じる基盤整備および政策への提言を行っていくことが重要である。

公開日・更新日

公開日
2017-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201616038Z