災害派遣精神医療チーム(DPAT)の機能強化に関する研究

文献情報

文献番号
201616037A
報告書区分
総括
研究課題名
災害派遣精神医療チーム(DPAT)の機能強化に関する研究
課題番号
H28-精神-一般-005
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
渡 路子(公益社団法人 日本精神科病院協会 DPAT事務局)
研究分担者(所属機関)
  • 太刀川 弘和(筑波大学 医学医療系・臨床医学域精神医学)
  • 大鶴 卓(独立行政法人 国立病院機構 琉球病院)
  • 山口 喜久雄(熊本県精神保健福祉センター 精神保健福祉分野)
  • 丸山 嘉一(日本赤十字社医療センター 国際医療救援部・国内医療救護部)
  • 石峯 康浩(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部 防災科学・シミュレーション科学)
  • 来住 由樹(岡山県精神科医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
DPATの設立に伴い、災害時の精神科医療体制は着実に定着しつつあるが、その経時的な評価や、DPATと既存の地域精神保健体制との連携の議論はなされていない。また、それに基づく政策へのフィードバックも着手されていない。
本研究では、
1.「DPAT活動マニュアル」の改訂に資するエビデンスの構築
2.DPAT活動の実態に即した情報支援ツールの実用化
3.DPAT活動に必要な精神保健医療機関のネットワークや各機関のフェイズごとの役割と連携のあり方の明確化
を行い、DPAT活動マニュアルに反映し、DPAT事務局で実施している全国レベルのDPAT研修で周知を行い、DPATの機能強化につなげることを目的とする。
研究方法
今年度の研究計画・方法は以下の通りである。
・過去の災害においてDMHISSに蓄積されている個票データを解析し、今後のDPATの活動の指標について検証を行った。
・熊本地震について、活動した全国のDPAT隊員へのアンケート調査の結果を解析し、DPAT活動の実態と課題を抽出した。また、熊本県精神保健福祉センターにおいて受援側の実態を調査した。
・医療と心理社会的支援の連携について、日赤こころのケアチームとの連携モデルを検証した。
・全自治体に対し、災害時の精神科医療体制の現状を調査し、精神科病院における災害拠点病院機能についての検討を開始した。
・現行のDPAT活動マニュアル、およびDPATが活用する情報支援システムの課題について整理した。
結果と考察
今年度の研究から、熊本地震でのDPAT活動実態では6割の隊員が支援経験や研修受講経験がなく、かつ受援側のDPATに関する知識が乏しい状況下が明確となった。また、精神科医療機関の被災において、精神科独自の搬送、病床確保を要していた。全自治体への調査によると、DPAT体制は自治体での整備が進んでいる一方、人材育成に関するソフト面での支援の必要性が示唆された。また、全災害拠点病院における精神病床は10806床で全精神病床の3%のみとなっており、今後想定される大規模地震等における精神科医療ニーズには対応できないことがわかったため、精神科医療機関における災害拠点病院機能の明確化を図る必要があった。この災害拠点精神科病院機能の必要性については、厚生労働省医政局地域医療計画課長発の「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について」(医政地発0331第3号)における「災害時における医療体制の構築に係る指針」改訂の基礎資料となり、発出された。また、DPATが主に活用する情報支援システムであるDMHISSについては、災害発生直後の初動体制を確立するための情報を集約する機能が脆弱であり、かつ、DPAT活動に関する情報について他医療救護班と情報共有することが出来ない点が課題として挙げられ、今後、EMISや医療機関マップ、J-SPEEDの枠組みを積極的に活用し、DMHISSの機能の整理と再構築を行う必要性があることが示唆された。
来年度は上記を踏まえ、DPAT活動マニュアルの改訂、情報支援システムのプロトタイプの開発・運用を行う予定である。
結論
全国レベルでのDPAT活動の実態および体制整備状況、現行の活動マニュアル、情報支援システムの課題の抽出を行った。DPAT体制は自治体での整備が進んでいるものの、特に人材育成に関するソフト面での支援、精神科医療機関における災害拠点病院機能の明確化を図る必要がある。来年度は上記を踏まえ、DPAT活動マニュアルの改訂、情報支援システムのプロトタイプの開発・運用を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2017-06-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201616037Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,000,000円
(2)補助金確定額
15,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,951,899円
人件費・謝金 1,376,544円
旅費 1,027,770円
その他 3,643,787円
間接経費 3,000,000円
合計 15,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2018-06-05
更新日
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