文献情報
文献番号
201616014A
報告書区分
総括
研究課題名
発達障害者への支援を緊急時(犯罪の被害や加害、災害など)に関係機関が連携して適切な対応を行うためのモデル開発に関する研究
課題番号
H28-身体・知的-一般-008
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
内山 登紀夫(大正大学 心理社会学部臨床心理学科)
研究分担者(所属機関)
- 近藤 直司(大正大学 心理社会学部臨床心理学科)
- 安藤 久美子(国立精神・神経医療研究センター)
- 堀江 まゆみ(白梅学園大学子ども学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
発達障害者が被災したり犯罪の加害者・被害者になった時などの緊急事態において、支援者や警察、避難所責任者などが適切に対応できるようにするための方法を検討し実践モデルの開発を行う。東日本大震災等の過去の大規模自然災害、犯罪や触法行為の加害者・被害者の事例検討を行い、発達障害児・者に必要な支援を明らかにする。それらの結果を踏まえて国の研修で活用するための研修方法と研修テキストの開発を行う。とくに、緊急事態に発達障害の特性や行動の背景を地域住民や警察、避難所担当者、マスコミ等に説明し理解を促し問題の解決に向けて助言する役割を担う者(仮称:発達障害者地域生活安心サポーター)を養成する。
研究方法
1)文献検討、2)支援者・専門家へのインタビュー調査、3)当事者へのインタビュー調査、4)英国における有識者・当事者への調査、5)全国トラブルシューター養成研修受講者へのアンケート調査を行い、その研究成果をもとに、6)本研究班が目指す、地域で緊急時に発達障害者を支援する人材養成プログラムである発達障害者地域生活安心サポーター養成講座のモデル案・テキスト案を完成した。
結果と考察
1)発達障害のリスクマネージメント、クライシスマネージメントについて、これまでの研究蓄積が非常に乏しいことが明らかになった。
2)支援者のニーズとして共通してみられたのは、緊急時の発達障害者を支援するためには多職種の連携が必要であることであった。公的なシステム作りが不十分であることに加えて、公的なシステムがある程度機能しても、インフォーマルなネットワークが必要であることが、職種に限らず共通して指摘された。長野県のサポートマネージャーシステムは有効に機能しており、これにトラブルシューター活動を組み合わせた新たなシステムを構築することが必要である。発達障害者地域生活安心サポーターを養成するための研修会を行い、さらに発達障害者地域生活安心サポータースーパーバイザーチームを支援システムの中に構築する。
3)成人の人の支援ニーズは経済面、老後、併存症、家族関係、金銭管理、性的欲求などであった。適切なサービスが乏しく日常生活・緊急事態のサービスを求める声が高かった。
これまでの研究は触法発達障害の人の特徴や支援制度が中心的なテーマで、緊急時の発達障害の人が示す行動特徴や支援の方法に関する研究は非常に少なく、諸外国でも十分な検討が行われていないことが明らかになり、今後研究すべき学術的テーマであることが浮き彫りになった。
自然災害についての障害者の支援方法の検討は国交省・内閣府などが中心に取り組まれているが、多くが「障害者」で包括されており、その中心は老人や身体障害であり発達障害を対象にした取り組みがほとんどなされていないことが明らかになった。発達障害には独自のニーズがあり、今後発達障害を視野にいれた研究がなされるべきである。また犯罪・触法に関しては、前述のように多くの課題が現在も存在することが明らかになった。
今後、発達障害者の支援者や保護者・当事者、弁護士などの関係者にどのような情報が必要なのかが明確になり、国の主催するセミナーのテキストなどに反映させることができる。
2)支援者のニーズとして共通してみられたのは、緊急時の発達障害者を支援するためには多職種の連携が必要であることであった。公的なシステム作りが不十分であることに加えて、公的なシステムがある程度機能しても、インフォーマルなネットワークが必要であることが、職種に限らず共通して指摘された。長野県のサポートマネージャーシステムは有効に機能しており、これにトラブルシューター活動を組み合わせた新たなシステムを構築することが必要である。発達障害者地域生活安心サポーターを養成するための研修会を行い、さらに発達障害者地域生活安心サポータースーパーバイザーチームを支援システムの中に構築する。
3)成人の人の支援ニーズは経済面、老後、併存症、家族関係、金銭管理、性的欲求などであった。適切なサービスが乏しく日常生活・緊急事態のサービスを求める声が高かった。
これまでの研究は触法発達障害の人の特徴や支援制度が中心的なテーマで、緊急時の発達障害の人が示す行動特徴や支援の方法に関する研究は非常に少なく、諸外国でも十分な検討が行われていないことが明らかになり、今後研究すべき学術的テーマであることが浮き彫りになった。
自然災害についての障害者の支援方法の検討は国交省・内閣府などが中心に取り組まれているが、多くが「障害者」で包括されており、その中心は老人や身体障害であり発達障害を対象にした取り組みがほとんどなされていないことが明らかになった。発達障害には独自のニーズがあり、今後発達障害を視野にいれた研究がなされるべきである。また犯罪・触法に関しては、前述のように多くの課題が現在も存在することが明らかになった。
今後、発達障害者の支援者や保護者・当事者、弁護士などの関係者にどのような情報が必要なのかが明確になり、国の主催するセミナーのテキストなどに反映させることができる。
結論
緊急時の支援ニーズは非常に高いが、十分な支援システムがない。
1)緊急時支援については、発達障害者支援地域協議会のシステムを活用し、当事者のニーズの合致した支援がなされるような制度設計が望まれる。
2)今後我が国での本格的な導入が望まれるトラブルシューター活動は、災害大国である日本の現状を鑑み、災害時における支援も視野に入れて、制度を構築する必要がある。
3)トラブルシューター研修への参加者の評価は高く、モデルとして活用できる。継続的に支援者を養成するための発達障害者地域生活安心サポーター講座を全国で開催することが必要である。
4)発達障害者地域生活安心サポーター養成研修の講師を育成するためのアドバンス講座を行う。
5)発達障害者地域生活安心サポータースーパーバイザーチームを支援システムの中に構築する。
6)発達障害特性を考慮したガイドラインやマニュアルを作成するように関係機関に働きかけていく。
7)避難所については海外の情報も参考に避難所運営について過去の反省を踏まえて新たな避難所運営を検討する。
8)アラートマークについては、当事者の不安もみられ、一律の勧めることは控え、当事者の意向を十分に考慮すべきである。
9)発達障害のリスクマネージメントとクライシスマネージメントについては内外の研究蓄積は乏しく、今後も継続して調査・検討を行う。
1)緊急時支援については、発達障害者支援地域協議会のシステムを活用し、当事者のニーズの合致した支援がなされるような制度設計が望まれる。
2)今後我が国での本格的な導入が望まれるトラブルシューター活動は、災害大国である日本の現状を鑑み、災害時における支援も視野に入れて、制度を構築する必要がある。
3)トラブルシューター研修への参加者の評価は高く、モデルとして活用できる。継続的に支援者を養成するための発達障害者地域生活安心サポーター講座を全国で開催することが必要である。
4)発達障害者地域生活安心サポーター養成研修の講師を育成するためのアドバンス講座を行う。
5)発達障害者地域生活安心サポータースーパーバイザーチームを支援システムの中に構築する。
6)発達障害特性を考慮したガイドラインやマニュアルを作成するように関係機関に働きかけていく。
7)避難所については海外の情報も参考に避難所運営について過去の反省を踏まえて新たな避難所運営を検討する。
8)アラートマークについては、当事者の不安もみられ、一律の勧めることは控え、当事者の意向を十分に考慮すべきである。
9)発達障害のリスクマネージメントとクライシスマネージメントについては内外の研究蓄積は乏しく、今後も継続して調査・検討を行う。
公開日・更新日
公開日
2017-05-31
更新日
-