障害者ピアサポートの専門性を高めるための研修に関する研究

文献情報

文献番号
201616008A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者ピアサポートの専門性を高めるための研修に関する研究
課題番号
H28-身体・知的・一般-002
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
岩崎 香(早稲田大学 人間科学学術院)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 剛(NTT東日本 関東病院)
  • 藤井 千代(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
  • 山口 創生(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
  • 宮本 有紀(東京大学大学院 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
3,080,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 日本における障害者のピアサポート活動は「障害者の権利に関する条約」の批准や、障害福祉サービスの改編の中で注目を集めている。活動が注目されている反面、ピアサポートの質の担保や労働環境の整備については、各事業所に任されているというのが現状である。そこで、本研究はピアサポートを担う人材の専門性の向上をめざし、養成制度及び研修プログラムを開発することを目的としている。平成28年度には、多様な障害領域を横断する基礎研修と、精神障害者を対象とした専門研修プログラム案を構築することを目的とした。
研究方法
 本研究は3年計画の初年度であり、研究を実施するにあたり、精神障害、身体障害、知的障害、難病、高次脳障害の当事者及び専門職等に協力者としての参加を依頼し、研究班を構成した。国内外のピアサポートに関する情報を収集し、各障害領域におけるピアサポートの歴史と現状を共有した。その上で、既存のピアサポート養成制度や研修プログラムに関する検討を実施した。また、精神障害領域については、専門研修などの構築を行うため、既存の研修を受講した人を対象として、アンケート調査も実施した。倫理的配慮としては、早稲田大学人を対象とする研究に関する倫理審査を受審している。
結果と考察
 結果として、各障害領域で多様なピアサポートや養成研修が実践されている実態が明らかになった。そこで、各障害領域に共通する要素を取り上げ、障害当事者と専門職を対象とした基礎研修プログラム案を構築した。病気や障害により何らかの生活しづらさを経験してきたこと、その共通の経験を強みとして、今困っている人たちに希望を持ってもらえるよう支援するというピアサポートの有効性を確認することができた。専門研修に関しては、各障害領域でこれまで積み上げてきた研修を基本とすることを確認し、本研究においては、精神障害ピアサポーターと雇用する福祉サービス事業所の職員を対象とした専門研修プログラム案を構築した。本研究で実施したアンケート結果では、勤務先の職員や職場に望むことに関して、病気や障害についての理解や、人としての理解・尊重を望む声が多く示された。また、7割の者が「他の職員にも研修を受けてもらいたい」と希望しており、職員同士の協働やチーム支援といった職場環境全体における課題や学びの必要性を強く感じていることが確認された。
結論
 平成28年度の研究成果として、多様な障害領域に共通する基礎研修案と、精神障害領域における専門研修案を構築することができた。次年度以降の 研究では、構築した二つの研修を実施した上で、その効果測定を行い、研修プログラムに修正を加える。また、フォローアップ研修の構築を行う。最終年度には、修正したプログラムを実施するとともに、フォローアップ研修の実施及び研修のファシリテーター研修プログラムを提案する予定である。また、ピアサポーター養成が途についたばかりである高次脳機能障害領域に関しては、基礎研修への準備性を高めるレディネス・プログラムの構築も実施する予定である。

公開日・更新日

公開日
2017-07-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-06-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201616008Z