食物アレルギーに対する栄養・食事指導法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201611003A
報告書区分
総括
研究課題名
食物アレルギーに対する栄養・食事指導法の確立に関する研究
課題番号
H28-免疫-一般-001
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 孝成(昭和大学医学部小児科学講座)
  • 伊藤 浩明(あいち小児保健医療センター)
  • 高松 伸枝(別府大学 食物栄養科学部)
  • 佐藤 さくら(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター )
  • 林 典子(湘北短期大学 生活プロデュース学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(免疫アレルギー疾患等政策研究 免疫アレルギー疾患政策研究分野)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
5,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 食物アレルギーの有症率は乳児で約10%弱、幼児で約5%、学童は約2%と考えられており、全年齢を通しては国民の約2~3%が罹患していると推定される。食物アレルギーの多くは1歳未満に発症するため、身体発育に十分な栄養素を必要とする乳幼児期に食物除去を行うことになり、重症な患者では思春期に至るまで長期の食物除去を強いられる。このため食物アレルギー患者や家族の生活の質の低下は著しく、健全な発育・発達の障害を招くこともある。食物アレルギーの診療は医療的な情報だけでは成り立たず、栄養面・食事面でのサポートが必須で、食物アレルギーの知識を有する経験豊富な管理栄養士の役割は非常に大きい。そのような管理栄養士は先進的な医療機関にしか在籍していないのが実情である。「食物アレルギーの診療の手引き」に加え「食物アレルギーの栄養指導の手引き」を2008年に公開し、2011年の改訂を経て、管理栄養士の食物アレルギーに関する情報を提供し、栄養・食事指導レベルの向上に貢献してきた。この5年間で食物アレルギー診療の環境は大きく変化しており、離乳食の導入時期、学校給食を安全に提供する方策、加工品のみならず、中食/外食における対応の改善等、食物アレルギー児を取り巻く環境も変化している。本研究班では、食物アレルギーに関する最新の知見を取りまとめ「食物アレルギーの栄養指導の手引き」に反映させて改訂し、広く全国の医師・管理栄養士・患者に情報提供することを最終到達目標とする。
 また、本研究班において食物アレルギー患者の食事・生活指導等のセルフマネージメントを推進するには、食物経口負荷試験に基づいた診断・管理が基礎となる。アレルギー疾患医療提供体制における拠点医療機関の重要な機能の一つとして、食物経口負荷試験を実施している施設である事が求められる。さらに食物アレルギーでは気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症などの合併症例も多く、それらに関しても専門的な立場で相談できる体制が必須である。追加交付によりアレルギー疾患医療提供体制における拠点医療機関の機能、具体的要件、適切な配置、これらを定めるために必要なデータ収集・解析等を行う。
研究方法
1)「栄養指導の手引き」の改訂
本年度は最近5年間の食物アレルギーの予防・診断・管理・治療等に関する進展を論文・出版物より取り纏め、検討会にて改訂版「栄養指導の手引き」に載せるべき情報を精査し決定した。主な改訂ポイントとして①食物アレルゲンの基礎知識、②食物経口負荷試験後の食事指導法の考え方、③原因食物別の栄養・食事指導の確立(臨床的な交差抗原性を含む)、④加工食品のアレルギー表示の改定について、⑤保育所・園・学校での安全な給食提供の在り方の明示などとした。
2)アレルギー疾患医療の在り方に関する班会議
アレルギー疾患医療提供体制における地域の拠点となる医療機関の機能、具体的要件、適切な配置に関して平成29年1月~3月に計4回会議を開催し検討を行った。
結果と考察
1)「栄養指導の手引き」の改訂
改訂版「栄養指導の手引き」の執筆項目を決定し、研究分担者が原案作成を終了し、現在、検討委員会において最終修正作業中である。
2)アレルギー疾患医療の在り方に関する班会議
アレルギー疾患の診療に関わる様々な立場の委員18名に検討に加わって頂き検討を加えた。地域拠点病院に求められている臨床的な機能に関してはアレルギー疾患に共通する機能、各科別、小児/成人別の機能としてまとめることができた。
結論
1)栄養指導の手引きの改訂作業は順調に進んでいる。夏頃には公開を予定し、年度末までには患者および保護者のセルフマネージメントの参考となるWeb媒体まで作成する予定である。
2)アレルギー疾患医療の在り方に関する班会議
アレルギー疾患の診療においては一般診療所、一般病院との診療連携を基本とし、臨床機能に加え情報提供、研修、研究を担うことも地域拠点病院の重要な任務であると合意できた。現状では臨床の機能等が将来の整備目標とせざるを得ない地域も存在することも明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2017-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-06-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201611003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,000,000円
(2)補助金確定額
6,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 259,481円
人件費・謝金 2,890,800円
旅費 1,511,989円
その他 645,730円
間接経費 692,000円
合計 6,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-03-13
更新日
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