アレルギー疾患対策に必要とされる疫学調査と疫学データベース作成に関する研究

文献情報

文献番号
201611001A
報告書区分
総括
研究課題名
アレルギー疾患対策に必要とされる疫学調査と疫学データベース作成に関する研究
課題番号
H27-免疫-一般-001
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
赤澤 晃(東京都立小児総合医療センター アレルギー科)
研究分担者(所属機関)
  • 小田嶋 博(国立病院機構福岡病院)
  • 斎藤 博久(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター)
  • 足立 雄一(富山大学医学部小児科)
  • 海老澤 元宏(国立相模原病院臨床研修センター)
  • 大矢 幸弘(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター)
  • 秀 道広(広島大学大学院医歯薬医歯薬保健学研究)
  • 岡田 千春(国立病院機構本部医療部)
  • 今野 哲(北海道大学大学院)
  • 谷口 正実(国立病院機構相模原病院)
  • 下条 直樹(千葉大学大学院医学研究院)
  • 大久保 公裕(日本医科大学附属病院)
  • 福冨 友馬(国立病院機構相模原病院)
  • 吉田 幸一(東京都立小児総合医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(免疫アレルギー疾患等政策研究 免疫アレルギー疾患政策研究分野)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 戦後の経済成長とともに、喘息の有症率は日本のみならず世界の先進諸国では急激に増加した。国内では、様々な要因との因果関係が検証されてきた。しかし2000年までの多くの調査は局地的に実施さてきたものが多く、国内全域の傾向がとらえにくいものであった。
国際的には、1990年ごろから小児アレルギー疾患の疫学調査であるISAAC調査、成人喘息調査であるECRHS調査が実施され国際比較が可能になってきた。その後、研究代表者らにより全国規模の全年齢の喘息、アレルギー性鼻炎調査をISAAC調査用紙、ECRHS調査用紙を使用して、国際的に比較できる全国調査を2005年~2008年に実施した。
治療に関しては、治療ガイドラインが作成され一定の治療指針が示されたことにより重症・難治喘息、喘息死が減少してきているが、研究代表者らのこれまでの調査でも治療が不十分な患者が多いこと、治療に地域差があること、ガイドラインにそわない治療が行われていることもわかってきた。
研究方法
研究グループを組織して協働作業で実施した。〇印は、各グループのリーダー。成人喘息・鼻炎調査グループ:〇谷口、今野、岡田、大久保、福冨。小児喘息・鼻炎調査グループ:〇足立、斎藤、小田嶋、吉田、赤澤。アトピー性皮膚炎調査グループ:〇秀、下条、大矢。食物アレルギー調査グループ:〇海老澤、秀、赤澤。
(1)成人喘息・鼻炎調査グループ
成人喘息の有症率、有病率等の経年変化を調査するために2010年、2012年に実施したインターネットを利用したweb調査の手法で、調査を実施した。対象は、札幌市、仙台市、東京都区部、横浜市、新潟市、名古屋市、大阪府、広島県、福岡市の9地区の20~44歳のマクロミルⓇのリサーチモニター登録会員から、研究対象者をランダムに抽出した。

(2)小児喘息・鼻炎調査グループ
2005年、2008年、2015年に実施してきた、全国小中学生ISAAC調査の経年変化について分析を行った。
(3)アトピー性皮膚炎調査グループ
2017年度以降の全国調査について検討を行った。
(4)食物アレルギー調査グループ
初年度に引き続き、2016年の食物アレルギーの疫学調査について文献を調査し、今後のあり方について検討した。
結果と考察
(1) 成人喘息・鼻炎調査グループ
全国調査の結果は、喘鳴有症率は、2010年12.8%、2012年13.8%、2017年14.7%、現在の喘息有病率は、それぞれ、8.7%、9.1%、10.4%であった。
(2)小児喘息・アレルギー性鼻炎
喘鳴期間有症率は小学生(6-7歳)で2005年が13.8%、2008年が13.7%、2015年が10.2%で、中学生(13-14歳)でそれぞれ8.7%、9.5%、8.1%であった。アレルギー性鼻結膜炎の期間有症率は、小学生でそれぞれ14.5%、15.7%、18.6%、中学生でそれぞれ20.1%、21.1%、26.4%であった。
(3)アトピー性皮膚炎調査グループ
 これまでに行われた全国規模の疫学調査である平成14年(健診)、平成23年(web調査)に続き、平成29年でweb調査を実施し、その後5年間隔で継続してweb調査を行っていく。また、疾患コホート調査として、成人アトピー性皮膚炎の治療経過を調査するために、年齢別、重症度別に層化して、ガイドラインに沿った標準的な医療機関で治療を行っている患者について5年、10年、15年の長期の経過を観察できるシステムを構築する。
(4)食物アレルギー調査グループ
2016年に報告された疫学調査は3編であった。国内における食物アレルギーの疫学調査は、1)医師の診断を基準とした調査が少ない、2)相模原市での調査以外には、経年的に有症率を評価する調査がない3)学童対象、保育所(園)調査以外での全国的な調査、全年齢を網羅する調査がない、4)横浜市の学童対象の食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)の調査以外に成人対象のFDEIAや口腔アレルギー症候群を対象とした大規模な調査がないことが明らかになった。
結論
国内でのアレルギー疾患疫学調査の実施状況を論文での報告数で調査し、一般国民にもわかりやすい形としてwebで公開した。都道府県別には、全国調査以外に実施していない地域も多くあり、調査方法も独自の方法で実施されてきた。今後のアレルギー疾患対策を実施していく上で定期的に、一定の調査方法での調査を実施し、分析する必要があることがわかった。

公開日・更新日

公開日
2017-05-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-06-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201611001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,685,000円
(2)補助金確定額
12,685,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 96,660円
人件費・謝金 2,919,248円
旅費 41,780円
その他 6,942,312円
間接経費 2,685,000円
合計 12,685,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-03-13
更新日
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