小児慢性特定疾病対策の推進に寄与する実践的基盤提供にむけた研究

文献情報

文献番号
201610124A
報告書区分
総括
研究課題名
小児慢性特定疾病対策の推進に寄与する実践的基盤提供にむけた研究
課題番号
H28-難治等(難)-指定-004
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
横谷 進(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 生体防御系内科部)
研究分担者(所属機関)
  • 大竹 明(埼玉医科大学小児科学教室)
  • 森 臨太郎(国立成育医療研究センター 研究所 政策科学研究部)
  • 掛江 直子(国立成育医療研究センター 臨床研究開発センター 生命倫理研究室/小児慢性特定疾病情報室)
  • 盛一 享徳(国立成育医療研究センター 臨床研究開発センター 小児慢性特定疾病情報室)
  • 七野 浩之(国立国際医療研究センター 小児科)
  • 平野 大志(東京慈恵会医科大学 小児科学講座)
  • 荒川 浩一(群馬大学大学院医学系研究科 小児科学)
  • 肥沼 悟郎(慶應義塾大学医学部 小児科学教室)
  • 賀藤 均(国立成育医療研究センター病院)
  • 緒方 勤(浜松医科大学 小児科学講座)
  • 杉原 茂孝(東京女子医科大学 東医療センター 小児科)
  • 武井 修治(鹿児島大学医学部 保健学科)
  • 奥山 虎之(国立成育医療研究センター病院 臨床検査部)
  • 小原 明(東邦大学医学部医学科小児科学講座 小児血液学)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学 小児科学講座)
  • 小牧 宏文(国立精神神経医療研究センター病院 臨床研究推進部)
  • 窪田 満(国立成育医療研究センター病院 総合診療部)
  • 小崎 健次郎(慶應義塾大学医学部 小児科学・臨床遺伝学)
  • 新関 寛徳(国立成育医療研究センター病院 感覚器・形態外科部皮膚科)
  • 神崎 晋(鳥取大学医学部 周産期・小児医学)
  • 黒田 達夫(慶應義塾大学医学部小児外科)
  • 守本 倫子(国立成育医療研究センター病院 感覚器・形態外科部耳鼻咽喉科)
  • 長 和俊(北海道大学病院周産母子センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
30,770,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者交代 井田博幸(平成28年4月1日~平成28年7月6日)→大竹明(平成28年7月7日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
児童福祉法改正法(平成26年法律第47号)及び「小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針」(平成27年厚生労働省告示第431号)に示された小児慢性特定疾病対策を社会実現するため、その推進に寄与する資料およびその実践的基盤を提供することを目的とする。
研究方法
①小児慢性特定疾病データ登録システムの開発及びデータベースの精度向上に関する検討
②小児慢性特定疾病登録データの利活用の方策の検討
③小児医療支援等に関する地域格差や疾病格差、制度格差等に関する包括的検討
④小児慢性特定疾病児童等の生活実態および社会支援等に関する調査研究
⑤小児慢性特定疾病児童等の成人移行期支援に関する検討
⑥医療関係者ならびに患者家族等への情報提供・情報共有の在り方の検討
⑦小児慢性特定疾病指定医の研修プログラム(e-learning)の開発
⑧小児慢性特定疾病対策における相談支援事業のあり方に関する検討
⑨小児慢性特定疾病対策の適正な運用等に関する検討
結果と考察
全国の実施主体から厚生労働省に事業報告された医療意見書の電子データを元にデータクリーニングを行い、全国の登録状況を集計し報告した。登録データの特性を明らかにするため経済分野で利用されている格差指標が健康指標でも有用であることを方法論として示し、登録データの実施主体間の登録格差についての検討を行った。疾患群に準じた専門分野ごとに、分担研究として登録データの解析を行い、疾病ごとの学会が保有する登録データベースと小児慢性特定疾患治療研究事業(小慢)登録データベースとの比較検討による小慢登録データの利用可能性と課題の抽出や小慢対象疾病と指定難病対象疾病との比較による成人移行時の課題抽出を行った。難治性疾患に関する小慢登録データから重症患者の病状や治療状況が明らかとなり、難治例では成人以降も治療が必要であることがわかり、成人移行の重要性を示した。制度改正にともない対象疾病が拡大したが、各領域で今後の疾病研究への課題検討も行った。関連する情報をまとめポータルサイトに掲載することにより、実施主体関係者、医療関係者のみならず、患者家族や支援に関係する者らへ、広く新制度の情報を提供することに寄与した。
結論
登録データについて横断的・縦断的な集計・解析を行い、小児医療における有益な知見を得た。疾患群別、都道府県別、男女別、年齢別で集計し結果を公表した。今後も引き続きデータの集積を続け、医療関係者・保健関係者のみならず、一般国民に対しても情報提供を進めていく予定である。小慢登録データは制度上の制約から悉皆性に限界があるが、格差指標の検討から重症例や経過の長い疾病では、比較的登録状況に差異が無いことが予想され、小慢登録データはわが国を代表していると解釈できる可能性を示した。各領域のデータ解析等から、重症患者等の治療状況や症状の現状が明らかとなり、小児期から成人期へ病態を持ち越す者への援助の重要性が見出された。小児期から成人期への切れ目のない援助として小児慢性疾病対策と難病対策の連携が重要であるため、今後も慢性疾患に対する政策決定に資する資料の提供を続けてゆきたい。疾病研究を推進する上でも登録データの活用は非常に有益であることが示されており、また制度改正後の新しい医療意見書のデータ登録システム開発等にも引き続き活用されることを期待する。

公開日・更新日

公開日
2017-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201610124Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
40,000,000円
(2)補助金確定額
40,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,735,746円
人件費・謝金 15,024,352円
旅費 836,278円
その他 12,173,624円
間接経費 9,230,000円
合計 40,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
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