難病患者の地域支援体制に関する研究

文献情報

文献番号
201610123A
報告書区分
総括
研究課題名
難病患者の地域支援体制に関する研究
課題番号
H28-難治等(難)-指定-003
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
西澤 正豊(新潟大学脳研究所 統合脳機能研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小倉 朗子(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 川尻 洋美(田所 洋美)(群馬県難病相談支援センター)
  • 小森 哲夫((独)国立病院機構箱根病院神経筋・難病医療センター)
  • 原口 道子(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 小林 庸子(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院)
  • 菊地 誠志(国立病院機構北海道医療センター)
  • 中馬 孝容(滋賀県立成人病センターリハビリテーション科)
  • 中山 優季(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 菊池 仁志(医療法人財団華林会 村上華林堂病院)
  • 荻野 美恵子(北里大学医学部附属新世紀医療開発センター)
  • 溝口 功一((独)国立病院機構静岡富士病院)
  • 宮地 隆史((独)国立病院機構柳井医療センター)
  • 和田 千鶴(国立病院機構あきた病院)
  • 青木 正志(東北大学大学院医学系研究科神経内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「難病の患者に対する医療等に関する法律」(「難病法」)に基づく新たな難病対策制度では、難病患者と家族を地域で包括的に支援するために、保健所保健師と難病対策地域協議会による地域支援、難病相談支援センターによる福祉支援、難病拠点病院と難病医療コーディネーターによる医療支援の3つ支援ネットワークが重層的に整備される。本班は、この支援体制が全国に普く整備されるように、支援体制整備の均霑化に必要な施策のあり方を研究し、今後の行政施策に反映することを目的とした。
研究方法
平成27年度に引き続き、1)難病に関係する多職種の連携のあり方、2)在宅医療体制のあり方、3)難病の災害対策のあり方、の3課題を対象とし、制度の全国的な均霑化に向けた今後の行政施策の構築に資するデータの収集と解析を行った。
結果と考察
(1)多職種連携
保健所保健師、難病相談支援センター相談支援員、ケアマネージャー、就労支援員等、地域で難病に関係する多職種の専門職を対象として、現状の実態調査に基づき、対応マニュアルの策定と専門研修テキストの整備を進めてきた。
都道府県と保健所設置市の難病担当保健師に対しては、難病対策地域協議会の推進を目的に、実態調査を行い、保健師の「活動指針」と「人材育成ガイドブック」を作成した。また、モデル自治体における難病の保健師研修に参画し、他県においても実施できるよう、「難病の保健師研修テキスト(基礎編)」を作成した。
難病相談支援センターについては、活動実態調査に基づいて「難病相談支援マニュアル」を作成し、次年度に刊行する。新たにピアサポーターの活動状況と養成研修について調査した。また本センターの全国ネットワークとして構築されている難病相談支援ネットワークシステムの稼働状況を調査した。システムの導入率は24都道府県に留まっているため、対策の検討を始めた。また、難病者の就労支援については、患者団体と連携して、就労サポーターの活用状況を調査した。
難病療養支援に関わるケアマネージャー、ホームヘルパーに対しては、人材育成を目的に難病ケアマネジメント研修会を開催し、参加者に対して研修教材の評価を求めた。また、難病患者等ホームヘルパー養成研修事業の実施状況調査を行った。
難病の医療提供体制については、難病医療拠点病院の現状と難病コーディネーターの活動状況に関して全国実態調査を実施した。その結果は厚労省難病対策委員会において一部報告し、医療提供体制に関する基本方針の具体化に貢献した。
難病リハビリテーションについては、実施状況調査を行い、継続的な実施が困難である原因を分析した。また拠点病院において神経難病リハ研修を実施するための手引書を作成した。

(2)在宅医療の支援体制
各自治体で構築される地域包括ケアシステムを難病患者にも適用するために、先駆例を調査した。次年度、在宅難病医療支援を均霑化するための「在宅難病医療支援マニュアル」を作成する。また、看護師の役割の充実を目的として、日本難病看護学会認定の難病看護師の活動実態を調査した。
平成29年末で移行措置が終了するので、その影響を把握する必要があり、難病患者生活実態調査のための調査票の開発に着手した。また在宅人工呼吸器使用患者支援事業の実態報告書を分析して、事業効果を検討した、
重症神経難病患者を対象とするレスパイト入院については、レスパイト実施施設の看護部長とMSWにアンケート調査を実施した。3年間の調査結果を総合して、現在レスパイトケアマニュアルを作成している。
難病の緩和ケアに関する人材育成では、これまでに開催した研修会の評価を行い、教育方法について検討を加えた。

(3)災害対策
在宅人工呼吸器装着者の使用実態と外部バッテリーの装備状況について、前年に引き続き都道府県を対象とする実態調査を行った。在宅人工呼吸器装着者数は年々増加しており、外部バッテリーの装備率も増加していた。
自治体による災害支援対策では、災害対策基本法の改正後における「要援護者避難支援計画」策定の現状と課題を明らかにするために、47都道府県の1,741自治体に向けてアンケート調査を実施した。その結果、個別支援計画の策定が依然進捗していない状況を明らかにした。
宮城県仙台市では、東日本大震災とその後の状況について、「自分で作る災害時対応ハンドブック2014年版」の周知と活用方法について検討を加えた。
これらの取組を総合して、平成20年度に策定された「災害時難病患者支援計画を策定するための指針」の改定作業に着手し、次年度に刊行を予定している。
結論
「難病法」に基づく難病対策事業により、重層的な支援ネットワークが全国に普く構築されているかを検証し、難病患者と家族を地域で包括的に支援するための体制整備の均霑化に必要な施策のあり方を研究した。

公開日・更新日

公開日
2017-05-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-05-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201610123Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
37,000,000円
(2)補助金確定額
33,257,000円
差引額 [(1)-(2)]
3,743,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,379,754円
人件費・謝金 3,396,062円
旅費 5,225,942円
その他 18,255,930円
間接経費 5,000,000円
合計 33,257,688円

備考

備考
千円未満切捨てのため

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-