指定難病制度の公平性を担保するための方法論の開発

文献情報

文献番号
201610117A
報告書区分
総括
研究課題名
指定難病制度の公平性を担保するための方法論の開発
課題番号
H28-難治等(難)-一般-035
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
千葉 勉(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 島津 章(国立病院機構京都医療センター 内分泌代謝学)
  • 天谷 雅行(慶應義塾大学医学部 皮膚科)
  • 小崎 健次郎(慶應義塾大学医学部 臨床遺伝学・小児科学・分子遺伝学)
  • 堀江 稔(滋賀医科大学内科学講座 循環器、呼吸器学)
  • 伊藤 俊之(滋賀医科大学医学部 臨床教育講座・消化器内科学)
  • 西村 正治(北海道大学大学院医学研究科 呼吸病態生理学)
  • 楠 進(近畿大学医学部 神経内科学)
  • 松山 晃文(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 創薬資源部・再生医療・規制科学)
  • 井田 博幸(東京慈恵会医科大学小児科学講座 小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
各指定難病間の公平性を担保した難病施策を継続するため、各疾患を横串で俯瞰
することで問題点を検討し新たな施策を提言する。

研究方法
1.円滑な指定難病追加の為の準備
あ)臨個票の記載や判定の効率化のための疾患単位を検討
い)指定難病の除外疾患の切り分け、小慢からの移行の検討
2.第4次指定難病の検討に資する情報収集を円滑におこなうための、診断基準や重症度分類を作成する際の標準フォーマットやチェックリストの作成
3.整合性のある重症度分類の検討
4.指定難病の診断に必要な検査についての整理
結果と考察
1.円滑な指定難病追加の為の準備
あ)適切な疾患単位のとらえ方の整理:疾患単位として病因・病態を中心にくくることが必要だが、以下の留意点に注意。a) 大きくくくると疾病が見出しにくく利便性に問題が生じる。b) 個人調査票、重症度分類などが共用できず煩雑。c) 病名はICD10、医学会の用語集やオーファネットにできるだけ合わせる。同じ遺伝子の同一部位の変異の場合同一疾患単位とすることを検討すべき。変異部位及びフェノタイプが異なる場合は別疾患とすべき。
い)指定難病該当疾患の考え方:がんを併発しても、がんと関連しない病態が中心で指定難病の要件を満たす場合は対象外とはしない。免疫等を介して病態が生じるものは必ずしも感染症として扱わない、との考えも成り立つ。b) latent、lytic infection で分けることは困難。全身性、局所性と分けることは可能。c) 血中のウィルスの存在の有無で分ける場合「血清中」に限定すれば(細胞は別)切り分けは可能。d)抗ウィルス薬を使用するかどうかで分ける手もある。小慢と成人疾患の切り分けについて、治療している限り進行しない疾患は、高額治療費のため治療を中止する患者が出現する可能性がある。ただし、法律も要件も異なるため、治療なしで病状が進行する、あるいは、医療費が高額というのは指定難病の要件にはあたらない。
2.第4次指定難病の検討に資する情報収集を円滑におこなうための、診断基準や重症度分類を作成する際の標準フォーマットやチェックリストの作成
指定難病の要件に合致しているかのチェックが簡潔にできるよう工夫すべき。病名はICD10、オーファネットに登録されているかどうかを確認できる工夫が必要。指定難病の類縁疾患かどうか、指定されていない疾患との類似性もチェックできる方策が必要。さらに小慢からの移行かどうかのチェック機構も必要。
3.重症度分類の検討
バーテルインデックス、NYHA分類、など広く認められている重症度分類を用いることを検討すべき。
4.指定難病の診断に必要な検査についての整理
医療費助成を受けるために必須の遺伝子検査については今回保険適応として追加された。しかしながら、その中でコマーシャルレベル(衛星検査所)で検査が可能な遺伝子は10数個しかないのが現況である。この要因として、依頼が少なくペイしない、精度管理ができないという点がある。また、多くの遺伝子検査はかずさ研究所、あるいは研究班が行っているが、研究班では検査を積極的にしない傾向がでてきており、遺伝子検査を一元的に行う体制の要望があがっている。遺伝子検査を衛生検査所が採用しにくい理由として、結果の解釈を行えない点がある。結果の解釈を行う場(研究班等)があれば検査項目に組み込みやすい。難病の遺伝子のGene chipについて検討する研究班立ち上げの意見もでたが、疾患を整理、限定する必要がある。さらに酵素活性など、遺伝子以外で診断可能なものについて検討する必要性がある。
結論
1.類縁疾患を一つの疾患単位としてくくることが必要
2.「腫瘍性疾患」「感染症」には多様性が存在するため、指定難病との切り分けについてはさらに検討が必要
3.小慢で、指定難病に該当する可能性のある疾患は様々な角度からの検討が必要
4.第4次指定難病検討のための情報収集について、診断基準や重症度分類作成のためのフォーマットやチェックリストが検討された
5.診断に必須の検査の考え方、運用について様々な問題点が提起された

公開日・更新日

公開日
2017-05-22
更新日
2017-05-30

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201610117Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,500,000円
(2)補助金確定額
5,551,000円
差引額 [(1)-(2)]
949,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,432,989円
人件費・謝金 0円
旅費 568,906円
その他 49,326円
間接経費 1,500,000円
合計 5,551,221円

備考

備考
949,000円 返還

公開日・更新日

公開日
2018-03-01
更新日
-