好酸球性副鼻腔炎の診療ガイドライン作成と実態調査

文献情報

文献番号
201610116A
報告書区分
総括
研究課題名
好酸球性副鼻腔炎の診療ガイドライン作成と実態調査
課題番号
H28-難治等(難)-一般-034
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
藤枝 重治(福井大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 春名 眞一(獨協医科大学 医学部)
  • 竹野 幸夫(広島大学大学院医歯薬保健学研究院)
  • 岡野 光博(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 吉川 衛(東邦大学 医学部)
  • 鴻 信義(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 三輪 高喜(金沢医科大学 医学部)
  • 小林 正佳(三重大学大学院医学系研究科)
  • 近藤 健二(東京大学大学院医学系研究科)
  • 都築 建三(兵庫医科大学 医学部)
  • 池田 勝久(順天堂大学 医学部)
  • 吉田 尚弘(自治医科大学附属さいたま医療センター)
  • 松根 彰志(日本医科大学 医学部)
  • 中丸 裕爾(北海道大学大学院医学系研究科)
  • 太田 伸男(東北医科薬科大学 医学部)
  • 田中 康広(獨協医科大学 医学部)
  • 児玉 悟(大分大学 医学部)
  • 柴田 邦彦(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
  • 浦島 充佳(東京慈恵会医科大学 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
3,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
好酸球性副鼻腔炎は、2000年頃から日本を中心とした東アジアで増加してきた好酸球浸潤の著明な難治性副鼻腔炎である。この副鼻腔炎は、経口ステロイド薬のみが有効であり、内視鏡下鼻副鼻腔手術後もすぐに再発することが多い。発症機序は不明であり、病態の解明も未だ不十分である。しかしこれまでの難治疾患克服事業として、全国多施設共同で過去3年間(2007年~2009年)の副鼻腔炎手術症例解析(3417例)と予後調査を行い(JESREC研究)、簡便な臨床スコア(JESRECスコア)による診断基準と重症度分類を作成したことで、好酸球性副鼻腔炎の概念が一般に浸透してきた。本研究班では、好酸球性副鼻腔炎の一般市民への普及と医師への啓蒙のため、ホームページを開設する。さらに2014年~2015年の2年間に手術を行った症例を前回と同じ施設を含む全国18施設共同で検討し、症例数(率)、JESREC研究におる重症度割合の変化を調べる。とりわけ鑑別を要する疾患との関連を検討する。一方で、診療ガイドライン作成を目的に、保存的治療法と手術療法の効果、改良点について検討する。
研究方法
ホームページは、Home、概要、一般の方へ、STAFF only、お問合せの5パートとした。概要では、JESREC Studyとは、組織、関連リンクから成る。一般の方へのパートにおいては、難治性好酸球性副鼻腔炎とは、Q&Aよくあるご質問、オープンアクセス論文を掲載した。
各施設における症例登録は、電子登録であり、以下の内容が登録できる。施設番号、性別、年齢、発症年齢、身体所見(鼻茸、粘稠な鼻汁、後鼻漏、顔面痛、嗅覚障害、嗅裂閉鎖、骨導閾値上昇、中耳貯留液)、鼻茸スコア、喫煙、血液所見(血中好酸球率)、抗原特異的IgE、呼吸機能、副鼻腔CTスコア(Lund-Mackayスコア)、鼻茸組織中好酸球数、合併症(気管支喘息、アスピリン不耐症、好酸球性食道炎、好酸球性胃腸炎、慢性好酸球性肺疾患、好酸球性膿疱性毛包炎、好酸球性筋膜炎、アレルギー性気管支アスペルギルス症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、蕁麻疹、薬剤アレルギー)、JESRECスコア、好酸球性中耳炎の大項目と小項目を簡便に選択式で登録できる。
さらに症例登録後、経口ステロイド(プレドニンⓇ、セレスタミンⓇ)、抗ロイコトリエン薬、抗PGD2受容体拮抗薬、鼻噴霧用ステロイド薬、漢方薬における治療効果に関し、visual analogue scaleおよびQOL評価表にて評価できるページも作成した。登録された内容は、すべての項目で統計処理ができるようにプログラムされている。
平成29年5月30日から施行される新倫理指針に則って、本研究を行う。症例登録に関して、申請内容が新臨床指針に適応しているか、全ての施設で見直しを行っている。承認後、一斉に開始する。
結果と考察
好酸球性副鼻腔炎の啓蒙のため、「好酸球性副鼻腔炎の疫学、診断基準作成等に関する研究」の題名でホームページを立ち上げた(https://jesrec.jp)。ホームページ上にて本研究での患者登録システムにアクセスできるようにした。個人情報管理のためセキュリティーは厳重になっている。入力項目に関しては、最終的な検討に入っている。
 内視鏡下鼻副鼻腔手術の方法としては、副鼻腔と鼻腔との間の換気排泄路を拡大し洞内病変を軽減させる。特に篩骨洞優位の炎症が多いので、この部分の開放が重要となる。また鼻腔側壁の鼻粘骨膜弁を術中に作製し、篩骨漏斗の粘膜を除去したのちに同部位に使用することで、鼻茸再発率が低下することがわかった。内視鏡下鼻副鼻腔手術の合併症を詳細に記述し関連する要因を明確にするため、厚生労働科学研究DPC 研究班のデータベースから、内視鏡下鼻副鼻腔手術を施行された16 歳以上の患者情報(2007 年− 2013 年,50796 人)を抽出し手術合併症率を後方視的に分析した.その結果、術中及び術後合併症(髄液漏、眼窩合併症、大量出血、Toxic shock syndrome)は0.47%で生じていた.術式別では,篩骨洞蝶形洞根治手術において1.40%と最多であり、眼窩合併症は複数洞手術において有意に多かった。
結論
今後、研究分担者と相談し、ホームページの掲載内容はわかり易くするとともに充実を図る。一般人向けQ&Aを完成させる。日本耳鼻咽喉科学会、日本鼻科学会と協力して治療を含めた診療ガイドラインを完成させる。診療ガイドラインは最終的にClinical question(CQ)タイプを作成する。好酸球性副鼻腔炎に関しては、指定難病制度を含め、「好酸球性副鼻腔炎の疫学、診断基準作成等に関する研究」のホームページを見ればすべてがわかるようにする。

公開日・更新日

公開日
2017-06-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201610116Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,940,000円
(2)補助金確定額
4,940,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 465,782円
人件費・謝金 418,944円
旅費 472,490円
その他 2,442,784円
間接経費 1,140,000円
合計 4,940,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-03-09
更新日
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