文献情報
文献番号
201610114A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性めまい疾患に関する調査研究
課題番号
H28-難治等(難)-一般-032
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
武田 憲昭(国立大学法人徳島大学 大学院医歯薬学研究部)
研究分担者(所属機関)
- 宇佐美 真一(国立大学法人信州大学 医学部)
- 北原 糺(奈良県立医科大学 医学部)
- 肥塚 泉(聖マリアンナ医科大学 )
- 将積 日出夫(国立大学法人富山大学 大学院医学薬学研究部(医学))
- 鈴木 衞(学校法人東京医科大学)
- 土井 勝美(近畿大学)
- 長縄 慎二(国立大学法人名古屋大学 大学院医学系研究科)
- 堀井 新(国立大学法人新潟大学 医歯学系)
- 室伏 利久(帝京大学 医学部)
- 山下 裕司(国立大学法人山口大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
1,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1. 指定難病である遅発性内リンパ水腫の全国疫学調査
2. 遅発性内リンパ水腫の類縁疾患であるメニエール病の疫学調査と両疾患のレジストリの構築
3. 内リンパ水腫画像検査の国際的標準化と遅発性内リンパ水腫の診断基準・重症度分類の改訂の検討
4. 遅発性内リンパ水腫の鑑別疾患であるメニエール病、前庭神経炎、両側前庭機能障害の診断基準の改定の検討
5. 遅発性内リンパ水腫診療ガイドラインの作成を目指したスコープの作成とエビデンスの収集
6. 難病情報センターと日本めまい平衡医学会のホームページの遅発性内リンパ水腫の解説の作成と改訂
2. 遅発性内リンパ水腫の類縁疾患であるメニエール病の疫学調査と両疾患のレジストリの構築
3. 内リンパ水腫画像検査の国際的標準化と遅発性内リンパ水腫の診断基準・重症度分類の改訂の検討
4. 遅発性内リンパ水腫の鑑別疾患であるメニエール病、前庭神経炎、両側前庭機能障害の診断基準の改定の検討
5. 遅発性内リンパ水腫診療ガイドラインの作成を目指したスコープの作成とエビデンスの収集
6. 難病情報センターと日本めまい平衡医学会のホームページの遅発性内リンパ水腫の解説の作成と改訂
研究方法
1. 遅発性内リンパ水腫患者およびメニエール病確実例を対象に全国疫学調査を行う
2. FileMaker Proを用いて遅発性内リンパ水腫とメニエール病の症例登録レジストリを作成する。
3. めまいのない高度感音難聴例と遅発性内リンパ水腫例に内リンパ水腫画像検査を行う。本年度の遅発性内リンパ水腫の疫学調査をもとに、遅発性内リンパ水腫の重症度分類の聴覚障害が4点に加えて、最重症の聴覚障害:純音聴力検査で平均聴力が両側70dB以上で70dB未満に改善しない場合も調査する。
4. 遅発性内リンパ水腫の鑑別疾患であるメニエール病、前庭神経炎、両側前庭機能障害の国内外の診断基準の比較を行う。
5. 遅発性内リンパ水腫診療ガイドラインのスコープとして、疾患の臨床的特徴、疫学的特徴、診療の流れを作成する。
6. 難病情報センターと日本めまい平衡医学会のホームページの遅発性内リンパ水腫の解説を改訂、作成する。
2. FileMaker Proを用いて遅発性内リンパ水腫とメニエール病の症例登録レジストリを作成する。
3. めまいのない高度感音難聴例と遅発性内リンパ水腫例に内リンパ水腫画像検査を行う。本年度の遅発性内リンパ水腫の疫学調査をもとに、遅発性内リンパ水腫の重症度分類の聴覚障害が4点に加えて、最重症の聴覚障害:純音聴力検査で平均聴力が両側70dB以上で70dB未満に改善しない場合も調査する。
4. 遅発性内リンパ水腫の鑑別疾患であるメニエール病、前庭神経炎、両側前庭機能障害の国内外の診断基準の比較を行う。
5. 遅発性内リンパ水腫診療ガイドラインのスコープとして、疾患の臨床的特徴、疫学的特徴、診療の流れを作成する。
6. 難病情報センターと日本めまい平衡医学会のホームページの遅発性内リンパ水腫の解説を改訂、作成する。
結果と考察
1. 遅発性内リンパ水腫の先行する高度難聴の原因では若年性一側聾が過去の調査に比べ減少し、突発性難聴が最多であった。メニエール病の両側化の比率が過去の調査に比べて低率であったが、女性患者優位、高齢新規発症患者割合増加は同様であった。
2. 遅発性内リンパ水腫とメニエール病の症例登録レジストリを作成し、スムーズかつ確実にデータの入力ができるようになった。
3. めまいのない高度感音難聴2症例では内耳造影MRIで内リンパ水腫を認めなかった。一方、遅発性内リンパ水腫症例には、全例に高度感音難聴耳に内リンパ水腫を認めた。高度感音難聴に何らかのトリガーが作用し、遅発性に内リンパ水腫が形成されたと考えられた。遅発性内リンパ水腫症例46例のうち、両耳の平均聴力がともに40dB以上の症例2例は全て両耳の平均聴力が70dB以上であり、40dB以上で70dB未満の症例はなかった。遅発性内リンパ水腫重症度分類のB:聴覚障害が4点の両側性高度進行は、純音聴力検査で平均聴力が両側70dB以上で70dB未満に改善しない場合に変更する必要があると思われる。
4. メニエール病の日本の診断基準は内リンパ水腫を病態としているが、バラニー学会の診断基準では触れていない。内リンパ水腫の病態が反映される検査の記載が望まれる。前庭神経炎の疾患の特徴にはコンセンサスがあるが、末梢前庭機能低下の証明法、下前庭神経炎の取り扱いが問題である。両側前庭機能障害の診断基準は、日本では温度刺激検査で評価を行う。バラニー学会が診断基準では温度刺激検査による低周波数刺激とhead impulse test などの高周波数刺激の両方で評価を行う。
5. 遅発性内リンパ水腫診療ガイドラインのスコープとして、疾患の臨床的特徴、疫学的特徴、診療の流れを作成した。
6. 難病情報センターのホームページの遅発性内リンパ水腫の1) 病気の解説(一般利用者向け)を改訂し、日本めまい平衡医学会のホームページに遅発性内リンパ水腫の解説1) 耳鼻咽喉科専門医用を作成した。
2. 遅発性内リンパ水腫とメニエール病の症例登録レジストリを作成し、スムーズかつ確実にデータの入力ができるようになった。
3. めまいのない高度感音難聴2症例では内耳造影MRIで内リンパ水腫を認めなかった。一方、遅発性内リンパ水腫症例には、全例に高度感音難聴耳に内リンパ水腫を認めた。高度感音難聴に何らかのトリガーが作用し、遅発性に内リンパ水腫が形成されたと考えられた。遅発性内リンパ水腫症例46例のうち、両耳の平均聴力がともに40dB以上の症例2例は全て両耳の平均聴力が70dB以上であり、40dB以上で70dB未満の症例はなかった。遅発性内リンパ水腫重症度分類のB:聴覚障害が4点の両側性高度進行は、純音聴力検査で平均聴力が両側70dB以上で70dB未満に改善しない場合に変更する必要があると思われる。
4. メニエール病の日本の診断基準は内リンパ水腫を病態としているが、バラニー学会の診断基準では触れていない。内リンパ水腫の病態が反映される検査の記載が望まれる。前庭神経炎の疾患の特徴にはコンセンサスがあるが、末梢前庭機能低下の証明法、下前庭神経炎の取り扱いが問題である。両側前庭機能障害の診断基準は、日本では温度刺激検査で評価を行う。バラニー学会が診断基準では温度刺激検査による低周波数刺激とhead impulse test などの高周波数刺激の両方で評価を行う。
5. 遅発性内リンパ水腫診療ガイドラインのスコープとして、疾患の臨床的特徴、疫学的特徴、診療の流れを作成した。
6. 難病情報センターのホームページの遅発性内リンパ水腫の1) 病気の解説(一般利用者向け)を改訂し、日本めまい平衡医学会のホームページに遅発性内リンパ水腫の解説1) 耳鼻咽喉科専門医用を作成した。
結論
1. 指定難病である遅発性内リンパ水腫の全国疫学調査では、先行する高度難聴の原因で原因不明の若年性一側聾の割合が過去の調査より減少していた。
2. 遅発性内リンパ水腫とその類縁疾患であるメニエール病の症例登録レジストリをFileMaker Proを用いて作成し、効率の良いデータの集計、解析が可能となった。
3. 遅発性内リンパ水腫では、高度感音難聴に何らかのトリガーが遅発性に内リンパ水腫を引き起こす可能性が考えられた。遅発性内リンパ水腫の重症度分類のB:聴覚障害が4点は、純音聴力検査で平均聴力が両側70dB以上で70dB未満に改善しない場合に変更する必要が示唆された。
4. 遅発性内リンパ水腫の鑑別疾患であるメニエール病、前庭神経炎、両側前庭機能障害の国内外の診断基準を調査し、診断基準の問題点を明らかにした。
5. 遅発性内リンパ水腫診療ガイドラインのスコープとして、疾患の臨床的特徴、疫学的特徴、診療の流れを作成した。
6. 難病情報センターと日本めまい平衡医学会のホームページの遅発性内リンパ水腫の解説
2. 遅発性内リンパ水腫とその類縁疾患であるメニエール病の症例登録レジストリをFileMaker Proを用いて作成し、効率の良いデータの集計、解析が可能となった。
3. 遅発性内リンパ水腫では、高度感音難聴に何らかのトリガーが遅発性に内リンパ水腫を引き起こす可能性が考えられた。遅発性内リンパ水腫の重症度分類のB:聴覚障害が4点は、純音聴力検査で平均聴力が両側70dB以上で70dB未満に改善しない場合に変更する必要が示唆された。
4. 遅発性内リンパ水腫の鑑別疾患であるメニエール病、前庭神経炎、両側前庭機能障害の国内外の診断基準を調査し、診断基準の問題点を明らかにした。
5. 遅発性内リンパ水腫診療ガイドラインのスコープとして、疾患の臨床的特徴、疫学的特徴、診療の流れを作成した。
6. 難病情報センターと日本めまい平衡医学会のホームページの遅発性内リンパ水腫の解説
公開日・更新日
公開日
2017-06-06
更新日
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