ダイオキシン類の食品経由総摂取量調査研究

文献情報

文献番号
199800562A
報告書区分
総括
研究課題名
ダイオキシン類の食品経由総摂取量調査研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
豊田 正武(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 生活安全総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ダイオキシンの人への主な暴露経路の一つと考えられる食品について、平均的な食生活における食品からのダイオキシンの摂取量を推計し、また個別の畜産食品のダイオキシンの汚染実態調査を把握すること。
研究方法
1日摂取量調査(トータルダイエット):全国7地区(10ヶ所)で集めたトータルダイエット試料(14食品群)について、ダイオキシンを分析し、平均的な食生活において食品から摂取されるダイオキシンの量を推計する。個別食品調査:個別食品として、肉類3種(牛肉、豚肉、鶏肉)、乳類3種(牛乳、粉ミルク、チーズ)、それぞれ複数地区(一部品目を除く)で購入し、合計種 検体についてダイオキシンの汚染状態を調査した。調査項目:ダイオキシン(ポリ塩化ジベンゾ‐パラ‐ジオキシン(PCDD)7種、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)10種及びコプラナーPCB(Co-PCB)12種)、ただしホウレン草、小松菜、海草以外の農産品については4種、調理加工による濃度変化の調査については3種。外部精度管理調査:認証標準試料による評価。
結果と考察
平成10年度トータルダイエットからのダイオキシンの1日摂取量は、平均100pgTEQ/day(範囲61.3~138pgTEQ/day)であった。日本人の平均体重を50kgとして、本研究から得られたダイオキシン摂取量について体重kg当たりの1日摂取量に換算すると、平均2.0pgTEQ/kgbw/day(範囲1.2~2.8pgTEQ/kgbw/day)で、食事由来摂取量は我が国のTDIの4pgTEQ/kgbw/day以下となっている。平均摂取量は昨年度(2.4pgTEQ/kgbw/day)と比較し若干減少している。
なお、不検出(定量限界未満の場合:ND)に、ゼロ、定量限界の1/2、定量限界を当てはめた場合の摂取量への影響に関する解析を行った結果から、摂取量の算出にはNDにゼロを用いて計算した結果に、定量限界の1/2を用いて計算した場合(以下、ND=LOD/2と略す)の結果を参考までに併記して示すこととした。即ち、ND=LOD/2の場合、ダイオキシンの1日摂取量はそれぞれ平均145pgTEQ/day(範囲112~193pgTEQ/day)、平均2.9pgTEQ/kgbw/day(範囲2.3~3.9pgTEQ/kgbw/day)であった。
個別食品調査では、肉類(牛肉、豚肉、鶏肉)のダイオキシン濃度は平均0.069pgTEQ/g(0.086pgTEQ/g)、範囲〈0.001~0.379pgTEQ/g(0.028~0.380pgTEQ/g)であった。乳・乳製品(牛乳、粉ミルク、チーズ)中濃度は平均0.066pgTEQ/g(0.074pgTEQ/g)、範囲0.011~0.159pgTEQ/g(0.022~0.162pgTEQ/g)であった。
標準試料を用いて、ダイオキシン類分析の精度管理を行った結果、参加6機関は概ね良い真度を示した。室間再現性はRSD50%以下で、今回の試料ではダイオキシン濃度が低いことを考えれば良好な結果であった。
結論
1998年度のダイオキシンの1日平均摂取量は、2.0pgTEQ/kgbw/day(範囲1.2~2.8pgTEQ/kgbw/day)で、食事由来摂取量は我が国のTDIの4pgTEQ/kgbw/day以下となっている。肉類及び乳・乳製品中のダイオキシン濃度は概ね昨年度と同程度であった。外部精度管理調査において参加6機関の室間再現性は良好であった。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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