疾患予後と医療の質の改善を目的とした多領域横断的な難治性肺高血圧症症例登録研究

文献情報

文献番号
201610104A
報告書区分
総括
研究課題名
疾患予後と医療の質の改善を目的とした多領域横断的な難治性肺高血圧症症例登録研究
課題番号
H28-難治等(難)-一般-022
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
田村 雄一(国際医療福祉大学 医学部 循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 徹(杏林大学 医学部)
  • 巽 浩一郎(千葉大学大学院 医学研究院)
  • 田邉 信宏(千葉大学大学院 医学研究院)
  • 隈丸 拓(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 渡邉 裕司(浜松医科大学 臨床薬理学講座)
  • 桑名 正隆(日本医科大学)
  • 松原 広己(独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター)
  • 八尾 厚史(東京大学 保健・健康推進本部)
  • 阿部 弘太郎(九州大学大学院 医学研究院)
  • 宮田 裕章(慶應義塾大学 医学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
4,975,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は田村班のシステムを引き継ぎ、平成28年度に領域横断的特性を持つ疾患である肺高血圧症(肺動脈性肺高血圧症・慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症・肺静脈閉塞症・SLE・強皮症・MCTD・特発性間質性肺炎・大動脈炎症候群などの多くの指定難病を基礎疾患とする)の症例登録研究を、全国の専門医だけでなく、呼吸不全調査研究班・強皮症班などの領域別基盤研究分野研究班や関連学会および患者会と連携して行う。研究プロトコールは田村班によって開始されている多施設共同症例登録研究のフォーマットを用い、研究期間内には本邦における初の前向き・多施設共同による5年分の予後調査および各治療法の対費用効果・医療の質に関する検討を行う。
研究方法
(1)症例登録システムの開始と各種治療効果と予後の検討
本研究ではまず田村班により本邦で初めて構築された症例登録システム(JAPHR)を用いた肺高血圧症の前向きの症例登録研究を行う。本レジストリは平成25年度の田村班と呼吸不全班・強皮症班・MCTD班との協議により各研究班における公式レジストリの承認を受けているため、領域横断的な症例登録がなされていることから、疾患横断的に網羅的な症例登録を推進しAll-Japan体制の症例登録システムに向けた体制を作る。

(2)青黛摂取に伴う肺動脈性肺高血圧症の診療実態調査
平成23年頃より青黛という染料をもとにした漢方薬を摂取した潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患患者において、青黛の摂取と因果関係の否定できない肺動脈性肺高血圧症が発現した症例が複数存在することが判明した。そこで本研究班は実態把握のための医療上の必要性を鑑み、青黛の摂取に伴う肺動脈性肺高血圧症に関して日本肺高血圧・肺循環学会および厚生労働科学研究費補助金 呼吸不全に関する調査研究班合同で実態調査を行うこととし、肺高血圧症を診療している施設を対象に実態調査を行った。
結果と考察
(1) 症例登録システムの開始と各種治療効果と予後の検討
本研究では計画通り、症例登録システム(JAPHR)を用いた肺高血圧症の前向きの症例登録研究を領域横断的に全国の16施設で開始している。また呼吸不全班・強皮症班・MCTD班の各研究班および日本肺高血圧肺循環学会における公式のレジストリの承認を受けているため、領域横断的なAll-Japan体制の症例登録システムを構築することができた。また後ろ向きの解析に関してはすでに学会発表を行っており、現在論文投稿中である。

(2) 青黛摂取に伴う肺動脈性肺高血圧症の診療実態調査
 次に全国の主立った肺高血圧症診療施設に対しての診療実態調査を行った。回答が得られたのは97施設であった。
この実態調査の結果、炎症性腸疾患に合併した肺高血圧症患者21名をみとめ、そのうち青黛を摂取した後に発症したPAH患者は11名であった。
炎症性腸疾患の診断時の平均年齢33.3歳でありPAHの診断時の平均年齢43.3歳 PAHの症状発症からの年月平均2年1ヶ月であった。また青黛摂取後、PAHと診断されるまでの期間は平均3年8ヶ月であった。この実態調査をうけて、さらに11例に対しては平成29年度に詳細な調査を行い報告する方針となった。
結論
レジストリ研究によって本邦の肺動脈性肺高血圧症は多剤併用療法が積極的に行われており、その結果非常に両方な予後である可能性が示唆された。また青黛摂取に伴う肺動脈性肺高血圧症は薬剤関連肺高血圧症である可能性が高いため、今後のさらなる解析が待たれる。

公開日・更新日

公開日
2017-06-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201610104Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,459,000円
(2)補助金確定額
6,459,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,144,525円
人件費・謝金 0円
旅費 74,040円
その他 2,756,435円
間接経費 1,484,000円
合計 6,459,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-03-12
更新日
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