小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患の移行期を包含し診療の質の向上に関する研究

文献情報

文献番号
201610103A
報告書区分
総括
研究課題名
小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患の移行期を包含し診療の質の向上に関する研究
課題番号
H28-難治等(難)一般-021
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
仁尾 正記(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 黒田 達夫(慶應義塾大学医学部)
  • 窪田 正幸(新潟大学医歯学総合研究科)
  • 佐々木 英之(東北大学病院小児外科)
  • 須磨崎 亮(筑波大学医学医療系)
  • 清水 俊明(順天堂大学医学部)
  • 安藤 久實(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所)
  • 島田 光生(徳島大学大学院歯薬学研究部)
  • 田口 智章(九州大学大学院医学研究院)
  • 浜田 吉則(関西医科大学外科学講座)
  • 神澤 輝実(東京都立駒込病院)
  • 虫明 聡太郎(近畿大学医学部奈良病院小児科)
  • 玉井 浩(大阪医科大学小児科学教室)
  • 工藤 豊一郎(水戸済生会総合病院小児科)
  • 田尻 仁(大阪府立急性期・総合医療センター小児科)
  • 呉 繁夫(東北大学大学院医学系研究科)
  • 乾 あやの(済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科)
  • 依藤 亨(大阪市立総合医療センター小児内分泌代謝病学)
  • 金森 豊(国立成育医療研究センター臓器・運動器病態外科部)
  • 正宗 淳(東北大学大学院医学系研究科)
  • 竹山 宜典(近畿大学医学部)
  • 成瀬 達(みよし市民病院)
  • 石黒 洋(名古屋大学総合保険体育科学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児期発症難治性希少肝胆膵疾患の診療の質はこれまでの取組みにより向上し、成人期を迎える症例が増加している。しかし長期的な問題を抱えながらの生活を余儀なくされている症例も希ではなく、更に各疾患の認知度は決して高くは無いため解決すべき課題は多い。本研究の目的は当該疾患患者が抱える問題を解決し、最終的に当該疾患の診療水準の更なる向上に貢献することである。現在各疾患の共通の診断基準と重症度分類が作成されているが、調査研究を重ねより現状に即した基準や分類の見直し行うと同時に診療ガイドライン(CPG)の作成・普及及び改訂が必要である。本研究は平成26年度から実態把握と診断基準・重症度分類、CPG作成を目指した「小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患における包括的な診断・治療ガイドライン作成に関する研究」を継続、発展することを基本とする。以上状況で小児期から成人期までを切れ目なく捉え、医療水準の向上を通じ患者の療育環境を改善するための研究が必要である。本研究の特色は関連する学会・研究会を中心に結成した既存の研究班を発展させ、成人診療関連学会との連携強化により移行期医療を包含して研究する。
研究方法
本研究は下掲の小児期発症の希少肝胆膵疾患について3年計画で取組むことを計画。1年目の平成28年度は本邦における発生状況・実態・予後等が明らかでない希少疾患における調査研究の継続、重症度分類による層別化を伴う調査研究、現行診断基準の問題点抽出、現行CPG或いは治療方針の問題点抽出である。これらと並行し包括的研究として移行期医療を見据え、成人症例を中心とした調査研究と非専門医に対する周知に対し研究活動を行う。研究対象疾患:1)胆道閉鎖症、2)アラジール症候群、3)遺伝性膵炎、4)先天性胆道拡張症、5)家族性肝内胆汁うっ滞症、6)カロリ病、7)肝内胆管減少症、8)原因不明肝硬変症、9)先天性門脈欠損症、10)新生児ヘモクロマトーシス、11)先天性高インスリン血症、12)嚢胞性線維症
結果と考察
1)胆道閉鎖症はMinds2014に基づいた診療ガイドラインを作成、25のCQの推奨を決定。公開に向け最終作業を行っている。全国登録事業は28年度も例年通り実施され、2014年の症例が51施設から113例が新たに登録、全体で3160症例が登録された。解析を行い日本小児外科学会雑誌53巻2号へ掲載された。2)アラジール症候群は移行期医療の実際について調査研究を実施。3)遺伝性膵炎では疫学調査実施と小児期発症の膵炎関連遺伝子異常による膵炎患者の臨床像の検討を実施。4)先天性胆道拡張症では診療ガイドラインの普及・重症度分類策定、小児期発症例での成人期状況調査等の研究を実施。5)家族性肝内胆汁うっ滞症ではPFIC1次アンケート調査と肝移植を行ったPFIC2型症例15例について2次調査を実施。6)カロリ病では1次調査で35例、2次調査で12例の回答を得て検討を実施。7)肝内胆管減少症では1次調査で142例、2次調査で24例の回答を得て検討を実施。8)原因不明肝硬変症では1次調査で26例、2次調査で4例の回答が得られ検討を実施。9)先天性門脈欠損症では25施設から60例の回答が得られ検討を実施。10)新生児ヘモクロマトーシスでは出生年2009年~2014年の症例について調査検討を実施。また新生児期に当疾患と鑑別すべき疾患の検索を実施。11)先天性高インスリン血症ではCQを決定し推奨作成、推奨レベルと個々の項目に対する解説を付与した診療ガイドラインを作成・公開。また外科手術を施行した症例の診療状況再調査のための準備作業を実施。平成29年中に調査実施予定である。12)嚢胞性線維症研究では、1.登録制度を利用した症例調査とCFTR遺伝子解析、2.情報交換会、3.新規承認薬の市販後調査、4.マクロライド療法について調査、5.汗試験の施行状況解析、6.便中膵エラスターゼの施行状況を検討、7.栄養状態を検討、8.食事摂取状況調査、9.重症度分類基準改訂作業、以上の活動を行った
結論
小児期発症の稀少難治性肝胆膵疾患の診療水準を高レベルで均てん化し、理想的なトランジション体制を図るための研究が徐々に進行している。診療ガイドラインが既に完成し普及と改定の作業にかかる疾患から、その前段階の調査・研究作業が行われている疾患まで本研究班が扱う疾患の進捗度には差があるが、専門医療職のコンセンサスに基づきかつ患者にとって有用性の高い診療ガイドライン作成に向け、個々の疾患状況に応じ関連する学会・研究会間の連携を深め作業を継続している。本研究班で構築された小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患を扱う全日本的な学会連携の枠組みを更に効率的に活用することが極めて重要である。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201610103Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
16,950,000円
(2)補助金確定額
16,945,000円
差引額 [(1)-(2)]
5,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,467,539円
人件費・謝金 3,189,234円
旅費 2,477,044円
その他 3,361,626円
間接経費 3,450,000円
合計 16,945,443円

備考

備考
5000円 返還

公開日・更新日

公開日
2018-03-01
更新日
-