ジュベール症候群およびジュベール症候群関連疾患の診療支援と診療ガイドライン作成・普及のための研究

文献情報

文献番号
201610092A
報告書区分
総括
研究課題名
ジュベール症候群およびジュベール症候群関連疾患の診療支援と診療ガイドライン作成・普及のための研究
課題番号
H28-難治等(難)-一般-010
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 雅之(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡 明(国立大学法人 東京大学・医学部・小児科)
  • 岩崎 裕治(東京都立東部療育センター・小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ジュベール症候群及びジュベール症候群関連疾患(セニール・ローケン症候群、COACH症候群、有馬症候群)の診療支援と、診断基準と診療ガイドラインを作成する。対象疾患は、小脳虫部欠損と脳幹形成障害、網膜障害、腎障害など多彩な症状を呈する疾患群で、稀少性が高く診断が困難であるだけでなく、診断が遅れることによる治療や療育の対応が混乱することが少なくない。これまでの研究から、全国に約100名の患者数(推定値)と少ないため、診断や治療が遅れる。本研究では、多様な症状へ対応するため、小児科、小児神経科、小児腎臓科、小児眼科、リハビリテーション科、療育、臨床遺伝等の専門家を集め、診療ガイドラインを作成する。
 一方、これら疾患の原因遺伝子は、これまで24個の遺伝子が知られている。これらの遺伝子は巨大分子であり、遺伝子解析の困難さに加えて、疾患の稀少性のために遺伝子診断に至る症例が少ないのが現状である。そこで、次世代シークエンサーを用いて、既知24原因遺伝子を対象にターゲットシークエンス解析を行い、効率的な遺伝子診断システムを確立する。
研究方法
対象疾患の臨床像の多様性と特殊性から、診療経験のある専門家を集め、Minds (Medical Information Network Distribution Service)のマニュアルに従って診療ガイドライン作成委員会を作った。アンケート調査の内容から、Clinical questions (CQ)を抽出し、検討を加え、PubMedからの577論文と医学中央雑誌からの152論文をシスティマテック・レビュー対象とした。また、これまでの海外の現状と論文等より、診断基準(案)を作成し、妥当性について検討を行った。
 遺伝子診断は、臨床診断あるいは疑われた患者で研究参加の同意を得た症例に対して行った。本年度は、20例のDNA検体を解析した。血液由来DNAを用いて、既知の24原因遺伝子のmultiplex primersを設計し、次世代シークエンサー(Ion Torrent, Life Technologies社)でターゲットシークエンス解析を行った。遺伝子異常が見つかった際には、SNPデータベースなどへ照会し病因性が確定した、サンガー法で検証した。遺伝子異常が見つからなった場合は、全エキソーム解析を行った。
 また、ジュベール症候群及びジュベール症候群関連疾患講演会(平成28年12月4日、東京)を開催した。
結果と考察
診断基準と診療ガイドライン作成では、CQの設定と対象論文の妥当性を確認したのち、診療ガイドライン作成委員会によるシスティマテック・レビューを進めている。
 遺伝子診断は、6例に病因性遺伝子異常が見つかった。他の症例は全エキソーム解析を進めている。これらの結果から遺伝子診断の問題点を整理し、改善を図る。
 研究により得られた成果は、ジュベール症候群およびジュベール症候群関連疾患の診断基準、診療ガイドラインを作成し、関連学会(日本小児科学会)の承認をえて、難病情報センターなどへ提供する。
 ジュベール症候群及びジュベール症候群関連疾患講演会では、47名の参加者を得て好評をきした。
結論
ジュベール症候群及びジュベール症候群関連疾患の診断基準と診療ガイドライン作成作業を進めている。作成ののちは、関連学会(日本小児科学会)の承認をえて、難病情報センターなどへ提供する。
 遺伝子診断は、既知の24原因遺伝子のターゲットシークエンス解析を行っている。20検体の解析では、6例に病因性遺伝子異常が見つかった。未確定検体について解析を進めている。

公開日・更新日

公開日
2017-05-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201610092Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,200,000円
(2)補助金確定額
1,200,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 605,733円
人件費・謝金 20,000円
旅費 33,422円
その他 264,845円
間接経費 276,000円
合計 1,200,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-02-15
更新日
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