周産期(産褥性)心筋症の、早期診断検査確立研究の継続と診断ガイドライン作成

文献情報

文献番号
201610083A
報告書区分
総括
研究課題名
周産期(産褥性)心筋症の、早期診断検査確立研究の継続と診断ガイドライン作成
課題番号
H28-難治等(難)-一般-001
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
神谷 千津子(国立研究開発法人国立循環器病研究センター 周産期・婦人科部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉松 淳(国立研究開発法人国立循環器病研究センター 周産期・婦人科部 )
  • 池田 智明(三重大学医学部産科婦人科学教室)
  • 植田 初江(国立研究開発法人国立循環器病研究センター 臨床検査部病理)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
1,131,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
周産期心筋症は、産科と循環器科の境界にあり、疾患概念すら周知されていない。息切れ・浮腫などの心不全症状は健常妊産褥婦も訴える症状である上、多くの場合で心不全初診医が産科医や一般内科医となり、診断遅延傾向にある。一方、診断時心機能が予後と相関するため、早期診断による予後改善が見込まれる。そこで、本研究は周産期心筋症の早期診断法を検討し、循環器科だけでなく、産科など関連各科の医療従事者が、簡便に利用できる診療ガイドライン作成を目的とする。
研究方法
(1)ハイリスク妊婦における早期診断検査研究:周産期心筋症患者の半数以上が複数の危険因子(高齢妊娠、妊娠高血圧症候群、多胎妊娠、子宮収縮抑制剤の使用)を有している。また、患者の一割は心筋症の家族歴を持つ。妊娠高血圧症候群や帝王切開後等の妊産褥婦を対象にした単施設心エコー研究では、1.7%の症例で周産期心筋症を認めたとの報告がある(古株哲也ら、日本産婦人科学会、2012)。そこで本研究は、上記危険因子をもつ妊婦を対象に、心不全生化学マーカーであるBNP測定と心エコー検査を行い、適切なスクリーニング検査とその対象・時期について検討する。得られた成果を、当該疾患の診断ガイドラインに反映する。
(2)早期診断法を含めた周産期心筋症診断ガイドラインの作成
平成22年より継続して行っている周産期心筋症症例登録研究(PREACHER)において構築した、学際的全国規模のネットワークから、ガイドライン作成委員会を結成し、当該疾患についての国内初の診療ガイドラインを作成する。
(3)関連学会(日本循環器学会、日本産婦人科学会)のガイドライン承認
現在、日本循環器学会と日本産婦人科学会共同で、「心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン」の改訂作業を行っている。周産期心筋症の診療ガイドラインも、上記ガイドラインと協調して作成する。
結果と考察
(1)周産期心筋症の早期診断のための多施設共同研究とその結果解析
平成29年3月16日現在、17施設参加〔国立循環器病研究センター、三重大学附属病院、トヨタ記念病院、浜松医科大学附属病院、自治医科大学附属病院、北里大学病院、大阪府立母子保健総合医療センター、筑波大学附属病院、都立墨東病院、静岡県立こども病院、九州大学附属病院、国立成育医療研究センター、帯広厚生病院、聖路加国際病院、徳島大学附属病院、広島市立広島市民病院、榊原記念病院〕、3施設倫理委員会申請中〔大阪医科大学附属病院、神戸中央市民病院、岡山大学附属病院〕。データ登録済症例数 213例(うち周産期心筋症診断 2例)。平成31年3月までに1000例の登録を目標としているが、研究は順調に進行している。解析後、成果をガイドラインに追記を予定する。
(2)周産期心筋症の診断ガイドライン策定を予定していたが、臨床現場のニーズにあわせ、診療ガイドライン策定へと変更した(平成28年12月16日の班会議にて決定)。
ガイドライン作成委員会を平成28年7月、12月、3月に開催し、ガイドラインの概要、執筆分担、タイムラインを決定した。平成30年3月に初版を国立循環器病研究センターホームページ(http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/disease/peripartum-cardiomyopathy.html)に上に公開を予定している。
(3) 日本循環器学会、日本産婦人科学会の承認
日本循環器学会と日本産婦人科学会共同改訂作業中の「心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン」の周産期心筋症の項を本研究主任 神谷が担当予定であり、限られた項数ではあるが、本診療ガイドラインの抜粋を記載予定である。
結論
ガイドラインの概要、執筆分担、タイムラインがすでに決まっており、平成30年3月に初版の公開を予定している。目標とする、診断遅延に陥りがちな当該疾患を早期に診断するための、多施設共同研究も順調に進捗しており、平成31年に、ガイドラインに追記できると考える。本研究は計画通りに進行している。

公開日・更新日

公開日
2017-05-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201610083Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,470,000円
(2)補助金確定額
1,467,000円
差引額 [(1)-(2)]
3,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 114,756円
人件費・謝金 238,298円
旅費 466,530円
その他 309,393円
間接経費 339,000円
合計 1,467,977円

備考

備考
3,000円返還

公開日・更新日

公開日
2018-03-12
更新日
-