文献情報
文献番号
201610082A
報告書区分
総括
研究課題名
内耳自己免疫病の診断のための内耳特異的抗体検査法の確立に関する研究
課題番号
H27-難治等(難)-一般-041
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
柿木 章伸(国立大学法人 神戸大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 狩野章太郎(国立大学法人 東京大学 医学部附属病院)
- 松本 有(国立大学法人 東京大学 医学部附属病院)
- 樫尾明憲(国立大学法人 東京大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
685,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
内耳自己免疫病は、自己抗体もしくは免疫担当細胞が内耳を標的とすることにより発症する、進行性の難聴およびめまいを有する疾患である。内耳自己免疫病は、まれな疾患であり、難聴もしくはめまい患者の1%以下と考えられている。典型的な臨床像は、数か月にわたり耳鳴を伴う進行性の難聴である。血液検査では、自己抗体が陽性となることがある。耳鳴と難聴は両側性のこともある。約半数ではめまい体平衡異常をきたす。本疾患は根本的な原因は不明であり、根治的な治療法が確立しておらず、かつ後遺症を残すおそれがある。
現在、本疾患に対する客観的な指標やコマーシャルベースの検査法が無いため、その診断は臨床症状とステロイドや免疫抑制剤への反応性によって行ってきた。内耳自己免疫病では、血液検査にて自己抗体を測定しても陰性のことが殆どであり、血液検査上異常値を認めることは少ない。本研究では、内耳自己免疫病の客観的な指標として血清中の内耳特異的抗体検査法を確立することを目的とし、コマーシャルベースの検査法の確立を目指す。
現在、本疾患に対する客観的な指標やコマーシャルベースの検査法が無いため、その診断は臨床症状とステロイドや免疫抑制剤への反応性によって行ってきた。内耳自己免疫病では、血液検査にて自己抗体を測定しても陰性のことが殆どであり、血液検査上異常値を認めることは少ない。本研究では、内耳自己免疫病の客観的な指標として血清中の内耳特異的抗体検査法を確立することを目的とし、コマーシャルベースの検査法の確立を目指す。
研究方法
東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科を受診した難聴患者で、内耳自己免疫病が疑われる患者血清の採取し凍結保存する。この凍結血清を用いて、リコンビナント内耳タンパク(cochlin)を抗原とするcochlin特異的抗体検査をウエスタンブロット法にて行う。
(倫理面への配慮)
研究に際しては東京大学医学部附属病院倫理委員会の承認を受けて行なった。
(倫理面への配慮)
研究に際しては東京大学医学部附属病院倫理委員会の承認を受けて行なった。
結果と考察
東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科を受診した難聴患者130名のうち、内耳自己免疫病が疑われる患者7名から血清を採取し凍結保存した。この凍結血清を用いて、リコンビナント内耳タンパク(cochlin)を抗原とするcochlin特異的抗体検査をウエスタンブロット法にて施行したところ、4名に63、68 kDaに陽性所見と考えられるブロット発現を認めた。
このうち1名は、以前行った牛内耳抗原を用いた内耳自己抗体検査においても97、66.2kDaに陽性所見を認めており、本検査法が内耳自己免疫病の診断に役立つ可能性を示唆している。
内耳自己免疫病は、自己抗体もしくは免疫担当細胞が内耳を標的とすることにより発症する、進行性の難聴およびめまいを有する疾患である。本疾患は根本的な原因は不明であり、根治的な治療法が確立しておらず、かつ後遺症を残すおそれがある。
現在、本疾患に対する客観的な指標やコマーシャルベースの検査法が無いため、その診断は臨床症状とステロイドや免疫抑制剤への反応性によって行ってきた。内耳自己免疫病では、血液検査にて自己抗体を測定しても陰性のことが殆どであり、血液検査上異常値を認めることは少ない。本研究では、東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科を受診した難聴患者130名のうち、内耳自己免疫病が疑われる患者7名から血清を採取し、リコンビナント内耳タンパク(cochlin)を抗原とするcochlin特異的抗体検査をウエスタンブロット法にて施行したところ、4名に陽性所見を認めた。さらに、このうち1名は、以前行った牛内耳抗原を用いた内耳自己抗体検査においても97、66.2kDaに陽性所見を認めており、本検査法が内耳自己免疫病の客観的な指標として臨床応用できることを示唆している。さらなる検討を続け、cochlin特異的抗体検査の有用性を検討していく。さらに、コマーシャルベースの検査法の確立のため、ELISA法によるcochlin特異的抗体検査を行う予定である。
本研究により、内耳自己免疫病の客観的検査方法が確立されれば、本研究の成果をもとに内耳自己免疫病の重症度分類、診断基準を作成する予定である。
このうち1名は、以前行った牛内耳抗原を用いた内耳自己抗体検査においても97、66.2kDaに陽性所見を認めており、本検査法が内耳自己免疫病の診断に役立つ可能性を示唆している。
内耳自己免疫病は、自己抗体もしくは免疫担当細胞が内耳を標的とすることにより発症する、進行性の難聴およびめまいを有する疾患である。本疾患は根本的な原因は不明であり、根治的な治療法が確立しておらず、かつ後遺症を残すおそれがある。
現在、本疾患に対する客観的な指標やコマーシャルベースの検査法が無いため、その診断は臨床症状とステロイドや免疫抑制剤への反応性によって行ってきた。内耳自己免疫病では、血液検査にて自己抗体を測定しても陰性のことが殆どであり、血液検査上異常値を認めることは少ない。本研究では、東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科を受診した難聴患者130名のうち、内耳自己免疫病が疑われる患者7名から血清を採取し、リコンビナント内耳タンパク(cochlin)を抗原とするcochlin特異的抗体検査をウエスタンブロット法にて施行したところ、4名に陽性所見を認めた。さらに、このうち1名は、以前行った牛内耳抗原を用いた内耳自己抗体検査においても97、66.2kDaに陽性所見を認めており、本検査法が内耳自己免疫病の客観的な指標として臨床応用できることを示唆している。さらなる検討を続け、cochlin特異的抗体検査の有用性を検討していく。さらに、コマーシャルベースの検査法の確立のため、ELISA法によるcochlin特異的抗体検査を行う予定である。
本研究により、内耳自己免疫病の客観的検査方法が確立されれば、本研究の成果をもとに内耳自己免疫病の重症度分類、診断基準を作成する予定である。
結論
東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科を受診した難聴患者130名のうち、内耳自己免疫病が疑われる患者7名から血清を採取し、リコンビナント内耳タンパク(cochlin)を抗原とするcochlin特異的抗体検査をウエスタンブロット法にて施行したところ、4名に陽性所見を認めた。さらに、このうち1名は、以前行った牛内耳抗原を用いた内耳自己抗体検査においても97、66.2kDaに陽性所見を認めており、cochlin特異的抗体検査が、内耳自己免疫病の客観的な指標として臨床応用できることを示唆している。
今後、内耳自己免疫病の重症度分類、診断基準を作成するために更なる研究を続ける予定である。
今後、内耳自己免疫病の重症度分類、診断基準を作成するために更なる研究を続ける予定である。
公開日・更新日
公開日
2017-05-25
更新日
-