遺伝子診断に基づく不整脈疾患群の病態解明および診断基準・重症度分類・ガイドライン作成に関する研究

文献情報

文献番号
201610073A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝子診断に基づく不整脈疾患群の病態解明および診断基準・重症度分類・ガイドライン作成に関する研究
課題番号
H27-難治等(難)-一般-032
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
堀江 稔(国立大学法人滋賀医科大学 医学部 内科学講座(呼吸器・循環器))
研究分担者(所属機関)
  • 清水 渉(日本医科大学大学院医学研究科循環器内科学分野)
  • 青沼和隆(筑波大学医学医療系 循環器内科)
  • 蒔田直昌(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 住友直方(埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科)
  • 萩原誠久(東京女子医科大学 循環器内科)
  • 堀米仁志(国立大学法人筑波大学 医学医療系小児内科学)
  • 福田恵一(慶応義塾大学 循環器内科)
  • 吉永正夫(国立病院機構鹿児島医療センター 小児科)
  • 牧山 武(京都大学大学院 医学研究科循環器内科学)
  • 渡部 裕(新潟大学医歯学総合病院、循環器内科)
  • 林 研至(金沢大学大学院 医薬保健研究域医学系・臓器機能制御学)
  • 宮本恵宏(国立循環器病研究センター・予防健診部)
  • 相庭武司(国立循環器病研究センター・心臓血管内科)
  • 白石 公(国立循環器病研究センター・小児循環器部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
4,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究ではこれまで蓄積された遺伝性不整脈データベースに基づいた病態・診断・治療法を解明し、遺伝性不整脈疾患の診断基準・重症度分類・診療ガイドラインの確立や普及を行い、医療水準の向上に貢献することを目的とする。
研究方法
本研究事業の対象疾患は (1) 先天性LQTS、(2) Brugada症候群、(3) 進行性心臓伝導障害 (PCCD)、(4) カテコラミン誘発性多形性心室頻拍 (CPVT)、(5) QT短縮症候群 (SQTS)、(6) 早期再分極症候群 (ERS) (7) 不整脈源性右室心筋症(ARVC)である。平成29年度の具体的研究目標を、この番号に対応して報告する。
(1) 先天性QT延長症候群の診療ガイドラインの改訂:日本循環器学会「QT延長症候群(先天性・二次性)とBrugada症候群の診療に関するガイドライン改訂版」の作成に際して、平成27年度の循環器学会学術委員会より、本研究事業での対象疾患をすべて含む形での改訂について承認が得られて、現在、本事業の分担研究者である青沼を委員長として、ガイドラインの改訂を開始中である。
(2) Brugada症候群の診療ガイドラインの改訂:上記、LQTSと同様、日本循環器学会「QT延長症候群(先天性・二次性)とBrugada症候群の診療に関するガイドライン改訂版」の作成に際して、本年度の循環器学会学術委員会より、本研究事業での対象疾患をすべて含む形での改訂について承認が得られて、現在、本事業の分担研究者である青沼を委員長として、ガイドラインの改訂を開始中である。なお、本症候群と(6)のERSとの相同性が近年議論され、その診断基準あるいは治療指針について平成27年3月に上海にて国際会議が開かれた。3日間にわたって熱い討議がおこなわれ、日本からは堀江と清水が参加した。その成果物は、近々に論文あるいは単行本として発表される予定である。
(3) 上記(3)~(6)について、同様に今回の日本循環器学会の改訂において、「遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン」となることが承認され、これらの対象疾患を加えることが出来た。また、(5)~(7)については、未だ登録症例数が少なく、平成28年度は、精力的な登録調査を展開した。その結果、(7)については35家系の追加登録が可能であった。
(4) 班員の宮本らが構築しているwebsiteを用いたデータ登録システムを利用し、これらの希少疾患についてのサーベイを広く展開したい。
(5) CPVTの遺伝子診断の有用性は高く、その治療方針の決定にも寄与するため、先進医療へ申請する。(堀江)
(6) ARVCについては、堀江が中心となり登録事業を進めており、平成28年度内に約35家系の登録を終了した。欧米諸国のARVCに比べて、日本の症例での不整脈発症のパターンや心不全への進展の違いなどが、明確になり、遺伝的背景の違いについても判明した。向後、学会発表や論文として報告する予定である。
(7) 日本不整脈心電学会およびAPHRSの正式機関誌であるJournal of Arrhythmiaの特別号としてGenes and Anlythime を堀江が編集し、2016年10月号として出版された。本研究班の班員やアジア各国からの原稿が投稿されている。

年度最初の班会議は、次回の日本不整脈心電学会学術大会中を予定しているが、この時には蒔田、堀江らが企画する遺伝性不整脈国際シンポジウムも開催する予定であり、海外からも当該分野の研究者が参加する。
結果と考察
データベースをオールジャパン体制で共有しさらに発展させていくものである。代表疾患である先天性LQTS患者では1350例の世界的にも最大規模のデータベースを有している(堀江、清水、蒔田)。その他、Brugada症候群約850例 (堀江、蒔田、清水、相庭他)、PCCD 85家系(蒔田、堀江)、CPVT患者127例(住友、堀江、清水)、ERS患者83例(相庭、渡部、堀江)、小児科領域の先天性LQTS患者238例(住友、吉永、堀米、堀江)、ARVC150例(堀江、萩原、相庭ら)のデータベースをすでに有している。
結論
本研究の目的は、それぞれの遺伝性不整脈疾患の遺伝子診断をさらに継続し、遺伝子型、遺伝子変異、多型などの遺伝情報と臨床情報との関連を詳細に検討する。これにより、遺伝子基盤に基づいた遺伝性不整脈疾患の診断基準・重症度分類・診療ガイドラインの確立や普及を行うことである。さらに、すでに遺伝子診断の保険診療が承認されている先天性LQTS以外の遺伝性不整脈疾患、たとえばCPVT,ARVCなどについても保険診療化をめざす。

公開日・更新日

公開日
2017-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
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研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201610073Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,110,000円
(2)補助金確定額
6,110,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,114,196円
人件費・謝金 258,618円
旅費 251,720円
その他 81,512円
間接経費 1,410,000円
合計 6,116,046円

備考

備考
自己資金 6,046円

公開日・更新日

公開日
2018-02-16
更新日
-