ホルモン受容機構異常に関する調査研究

文献情報

文献番号
201610072A
報告書区分
総括
研究課題名
ホルモン受容機構異常に関する調査研究
課題番号
H27-難治等(難)-一般-031
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
赤水 尚史(和歌山県立医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 正信(群馬大学 大学院医学系研究科)
  • 廣松 雄治(久留米大学 医療センター)
  • 大薗 惠一(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 杉本 利嗣(島根大学 医学部)
  • 岡崎 亮(帝京大学 ちば総合医療センター)
  • 片桐 秀樹(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 小川 渉(神戸大学 大学院医学研究科)
  • 福本 誠二(徳島大学 先端酵素学研究所)
  • 橋本 貢士(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 谷澤 幸生(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 海老原 健(自治医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
7,788,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ホルモン受容機構異常に起因する疾患の中には、その頻度や臨床的特徴が明らかになっておらず、標準的な治療法が確立されていない疾患が多く存在する。本研究の目的は、そのような疾患の病態を解明し、診断基準や治療指針を策定することである。本研究班では、 (1)甲状腺中毒性クリーゼ、(2)悪性眼球突出症、(3)粘液水腫性昏睡、(4)甲状腺ホルモン不応症、(5)バセドウ病再燃再発、(6)偽性副甲状腺機能低下症、(7)くる病・骨軟化症、(8)低Ca 血症性疾患、(9)ビタミンD欠乏・不足症、糖尿病部会では、(10)インスリン抵抗症(インスリン受容体異常症 A型,B型,亜型)、(11) Wolfram症候群、Wolfram症候群関連疾患、(12)脂肪萎縮症 について、疾患の実態を把握し、それに基づいた診断基準・治療指針を策定することによって、それらの疾患に苦しむ患者の診断と治療の発展に貢献することを目指す。
研究方法
本調査研究は、1.全国患者数や臨床的特徴の疫学調査による基盤的情報の収集、2.診断基準・治療指針案の作成、3.関連学会の学術集会やホームページ上への素案の公表、4.パブリックコメントの募集、5.関連学会の承認を経た後の、診断基準・治療指針の確定・公表、6.多施設前向き調査、7.診断基準・治療指針の改定 といった研究手法をとっている。日本内分泌学会、小児内分泌学会、日本甲状腺学会、日本骨代謝学会、日本糖尿病学会などと連携し専門部会会議や全国疫学調査を行い、解析結果および海外を含む最新の知見をもとにホルモン受容機構異常に起因する上述の疾患頻度や臨床的特徴の実態を把握する。それと並行して各疾患の診断基準および治療指針の草案を作成する。作成した診断基準・治療指針は、各学会承認を経て、専門医や一般医家に周知と理解を深めるために学会ホームページや刊行物を通じて公表する。研究全般において、被験者保護の観点を踏まえ、医学研究に関する倫理指針に則し実施する。
結果と考察
希少疾患の実態把握には多くの施設からの情報が必要とされる。昨年度は、『甲状腺中毒性クリーゼの診療ガイドライン』、『バセドウ病悪性眼球突出症の診断基準と治療指針』、『くる病・骨軟化症診断マニュアル』の3疾患について、本年度は、『甲状腺ホルモン不応症の診断基準と重症度分類』、『ビタミンD不足・欠乏の判定指針』の2疾患の診療ガイドラインを公表した。これらの診断基準・治療指針の策定によって、診断の確実性を高め、より均質かつ精度の高い疾患情報を得られることが期待される。現在、多施設前向きレジストリ研究の準備を行っている。その他の疾患については、全国患者数や臨床的特徴の疫学調査を実施中である。また、診断基準の作成には欠かせないホルモン測定キットの妥当性・精度の検討も実施している。
各疾患の現在の進捗状況は、以下の通りである。
(1)甲状腺中毒性クリーゼ:多施設前向きレジストリ研究の準備中
(2)悪性眼球突出症:ステロイド・パルス療法の有用性に関する多施設共同研究実施中
(3)粘液水腫性昏睡:疫学調査中
(4)甲状腺ホルモン不応症:遺伝子診断の指針案を作成中。治療指針の策定に向け、Clinical Questionの第一次案を作成中。
(5)バセドウ病再燃再発:Siglec1 mRNA レベルがバセドウ病の再発(再燃)マーカーとして臨床応用可能か否かを、甲状腺専門病院で検討中。
(6)偽性副甲状腺機能低下症:疫学調査中
(7)くる病・骨軟化症:FGF23関連くる病・骨軟化症の患者レジストリを作成し、日本小児内分泌学会と協力して登録を推進中。
(8)低Ca 血症性疾患:FGF23 測定キットの精度・妥当性の検討中。
(9)ビタミンD欠乏・不足症:ビタミンD不足・欠乏に対する治療介入の臨床的指標について検討中。
(10)インスリン抵抗症:全国の日本糖尿病学会学術評議員および教育施設代表指導医に対するアンケート調査中。
(11) Wolfram症候群、Wolfram症候群関連疾患:文献調査および、既に行っている全国疫学調査のデータからの再分析を実施中。
(12)脂肪萎縮症:「脂肪萎縮症診療ガイドライン」の作成に着手。
結論
策定したガイドラインは、関連学会のホームページ上での公表や、刊行物の発刊によって、専門医のみならず一般医家に提供している。ガイドラインが診療に活用され、迅速かつ的確な診断・治療により本症の予後改善に寄与することが期待される。診断基準・診療指針が策定済の疾患については、ガイドラインに沿った前向き多施設共同研究を実施し、今後の改定に向けた情報収集を行う。また、診断基準・診療指針が未策定の疾患についても、診断・治療指針の早期策定を目指す。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201610072Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,884,000円
(2)補助金確定額
9,884,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,805,873円
人件費・謝金 133,293円
旅費 793,928円
その他 1,054,906円
間接経費 2,096,000円
合計 9,884,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-03-09
更新日
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