文献情報
文献番号
201610065A
報告書区分
総括
研究課題名
単心室循環症候群の予後に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H27-難治等(難)-一般-022
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
中西 敏雄(学校法人 東京女子医科大学 医学部循環器小児科)
研究分担者(所属機関)
- 稲井 慶(学校法人 東京女子医科大学 医学部循環器小児科 )
- 小野 博(国立成育医療研究センター 循環器科)
- 朴 仁三(学校法人 東京女子医科大学 医学部循環器小児科 )
- 新居正基(静岡県立こども病院 循環器科)
- 白石 公(国立循環器病研究センター 小児循環器診療部)
- 大月審一(岡山大学 小児循環器科)
- 犬塚 亮(東京大学 医学部附属病院 小児科)
- 丹羽公一郎(聖路加国際病院 循環器内科)
- 小垣滋豊(大阪大学 大学院医学系研究科)
- 武田充人(北海道大学 大学院医学研究科 小児発達医学分野)
- 八尾厚史(東京大学 医学部附属病院 循環器内科)
- 市田蕗子(富山大学 医学部小児科)
- 安河内聰(長野県立こども病院 循環器センター 小児循環器)
- 嘉川忠博(公益財団法人 日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院 小児科)
- 松山 裕(東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 生物統計学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
9,833,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
単心室循環症候群は、体循環(大動脈)と肺循環(肺動脈)の双方を一つの心室のみに依存する血行動態を有する疾患の総称である。三尖弁閉鎖症、純型肺動脈閉鎖症、左心低形成症候群、単心室症などの希少な疾患からなる症候群で、個々の疾患概念は確立されている。先天性心疾患で、発症の機序はいまだ明かでない。単心室循環症候群は、重度の慢性低酸素血症、多呼吸、易疲労感などの慢性心不全症状を呈し、長期の療養を必要とする。肺動脈低形成を合併することも多く、手術が不可能であったり、姑息手術しかできないこともある。唯一、チアノーゼを消失させる方法がフォンタン手術で、フォンタン手術には、心房と肺動脈を吻合する方法や、上大静脈と肺動脈、下大静脈と肺動脈を吻合する方法などがある。フォンタン手術を施行しても、やがてはフォンタン手術後遠隔期に、不整脈、チアノーゼ、血栓塞栓症、蛋白漏出性胃腸症、心不全、肺高血圧、肝硬変、肝がん、腎不全など全身の臓器不全をきたす。単心室循環症候群の術後合併症の治療方法は確立していない。本研究の目的は、我が国全体での、単心室循環症候群、およびそれを構成する疾患の、心不全の程度と頻度、低酸素血症、肺高血圧、不整脈、血栓塞栓症、蛋白漏出性胃腸症、死亡の頻度、生活の質(QOL)を調査することである。
研究方法
我が国の本症候群患者を診療している主要施設による多施設共同の疫学研究を行うべく研究体制を整えた。研究分担者は、所属する施設の本疾患群の患者を登録し、病態、心奇形の組み合わせ、手術法、手術成績、予後、全身症状の種類と頻度などに関するデータを収集することとした。倫理審査委員会の承認の基に、臨床研究に関する倫理指針に基づき研究を行った。 各分担研究者は、所属する施設の単心室循環症候群(疾患としては三尖弁閉鎖症、純型肺動脈閉鎖症、左心低形成症候群、単心室症)の患者、過去30年間の全症例の登録を行う。病歴、病態、治療、予後などに関するデータ、具体的には、心臓エコー、心臓カテーテルなどの生理検査データ、血管造影データ、肺動脈の大きさ、肺血管抵抗、心機能、房室弁逆流の有無、程度、血液検査データ、手術内容、内服薬などに関するデータを収集する。単心室循環症候群の予後に関する調査では、生活の質(QOL)(QOLのスコア、New York Heart Association機能分類)、心不全の程度と頻度、低酸素血症、肺高血圧、不整脈、血栓塞栓症、蛋白漏出性胃腸症、死亡、通院や入院の頻度を調査する。
結果と考察
平成28年度の研究開発の実績において、患者記録データ集積のための最適なプロトコールを作成し、それに基づいたデータ集積のための調査票を作成した。単心室循環症候群の患者記録を後方視的に調査については、研究開発代表者の所属する東京女子医科大学を中心に各研究開発分担者の共同研究施設から調査票を用いたデータ集積を行った。その結果、合計1283例の患者記録データの集積が得られた。これは単心室循環症候群(疾患としては三尖弁閉鎖症、純型肺動脈閉鎖症、左心低形成症候群、単心室症)の患者の病歴、病態、治療、予後などに関するデータ、また生活の質(QOL)(QOLのスコア、New York Heart Association機能分類)、心不全の程度と頻度、低酸素血症、肺高血圧、不整脈、血栓塞栓症、蛋白漏出性胃腸症、死亡、通院や入院の頻度のデータである。今後この集積データの集計、解析を行い単心室循環症候群の実態把握を行う。また、単心室循環症候群ガイドラインの策定については、集積されたデータをもとに解析を進めており、年度内に治療指針の基礎を作成し、ガイドライン策定に進めたい。
結論
本症候群は、我が国で約5400人の患者がいると推定されるが、診断基準の策定、疫学調査に基づいた実態把握、重症度分類の確立、エビデンスに基づいたガイドラインの策定は、いまだ国内外でもなされていないのが現状である。今後、集積予定のデータにもとづいて、治療指針の作成が可能である。指針が作成されれば、本疾患を持つこどもや成人にとって最適な治療法、管理法が施され、疾患克服のために大きく寄与することができる。長期的にも、難病指定などの指針に用いることができる。ひいては小児、成人の医療、保健のレベルの向上につながるものである。
公開日・更新日
公開日
2017-06-26
更新日
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