遺伝性白質疾患の診断・治療・研究システムの構築

文献情報

文献番号
201610063A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝性白質疾患の診断・治療・研究システムの構築
課題番号
H27-難治等(難)-一般-020
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
小坂 仁(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 健(国立精神・神経医療研究センター神経研究所、疾病研究第二部)
  • 三重野 牧子(自治医科大学情報センター)
  • 吉田 誠克(京都府立医科大学大学院神経内科)
  • 久保田 雅也(国立成育医療研究センター神経内科)
  • 佐々木 征行(国立精神・神経医療研究センター病院)
  • 松井 大(大津赤十字病院神経内科)
  • 才津 浩智(浜松医科大学医化学)
  • 高梨 潤一(東京女子医科大学八千代医療センター小児科)
  • 黒澤 健司(神奈川県立こども医療センター遺伝科)
  • 山本 俊至(東京女子医科大学付属遺伝子医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
5,658,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遺伝性中枢神経疾患の内、グリア細胞(オリゴデンドロサイト、アストロサイト、ミクログリア)に由来する遺伝性疾患は、白質が主たる罹患部位であることから遺伝性白質疾患と総称される。その臨床症状と治療には共通点が多いため、横断的に扱う小児から成人までを包括する班を構成し、取り組む。
研究方法
① 白質疾患医療支援ネットワークの運営;学会の支援を得て、診断、治療を中心とした相談窓口を設置し、主治医に対する、診断相談システムを運営し、次世代遺伝子診断システムを運用することにより、実際の診断に係る。
② 診療ガイドラインの作成;引き続き当該班研究の学会支援決定、診断基準、重症度分類の策定・改定を行う。特に今年度は、改定が済んでいない、Alexander病、Canavan病を中心に進める。
③ 患者アンケート等を通じ、診療ガイドラインのクリニカルクエスチョンを設定し、作成を開始する。 
④ ポータルサイトの構築を進め、情報の英文科を推進する。
⑤ 東京、大阪でセミナーを開催。合わせて患者診察による自然歴の収集。討議は班員間の主としてメール会議にて行い、重要な事項は班会議で決定する。
結果と考察
1)Canavan病、Alexander病の診断基準の策定・改定を行った
2)Canavan病の診断基準の学会承認を得た。
3)Canavan病の重症度分類の策定・改定を行った。
4)患者アンケート調査からクリニカルクエスチョンを策定し、分担担当者を決定し作成を開始した。
5)次世代シークエンス解析を組み込んだ遺伝性白質疾患診断に関して、日本全国からの問い合わせに対して、対応した。そのうち1例;沖縄県立南部医療センター・こども医療センター松岡剛司『急性散在性脳脊髄炎(ADEM)を発症したPolIII関連白質ジストロフィーの一例』としてH29年日本小児神経学会にて報告予定。
6)H28. 市民公開セミナーを平成28年7月に東京、同年11月に大阪と2回開催した。参加家族数は東京18家族59名、大阪9家族40名で、教育・福祉・医療施設から患者の援助者の参加があった。講演は、疾患理解と研究の最前線の情報を知るというテーマを主体に班員によって行われた。本年度は進歩するソフトフェア・ツールについて福岡市立南福岡特別支援学校の福島勇先生を招いた。公演終了後活発な討論、相談を実施した。東京では、懇親会も行った。何れもボランディアの参加があり、セミナーの間御兄弟を預かり、家族はセミナーに集中できるような運営で行った。
またこれらの会に合わせて、アンケート調査を行い、診療ガイドラインのクリニカルクエシュチョンとして取り上げてほしい項目を自由記載して頂き、診療ガイドラインのCQを策定した。
7)H28. 白質疾患ポータルサイトに、アレキサンダー病の診断基準、カナバン病の診断基準を掲載し、英文化し掲載した
8)H28.遺伝性疾患のレビュー; Gene Reviewのリンクの承認をヘて、Pelizaeus―Merzbacker病をポータルサイトにリンクし、最新かつ最も詳しい情報を掲載した。
9)遺伝性白質疾患の研究システムの構築
H28.臨床治験のための臨床尺度の評価を行った。H28.先天性白質形成不全症治験準備中のオリゴジェン城戸常雄博士との連携(H29.2月PMDA事前面談を行った)。
結論
H28年度は、主治医と患者を対象とした白質疾患医療支援ネットワークの充実を目的とし、例年と同様、患者、家族、企業を対象としたセミナーを大阪と東京で開催した。いずれも午前中には、患者診察を行い、主としてPelizaeus-Merzbacher病の自然歴収集を行った。またそれに合わせて、患者会のアンケートを行い、診療ガイドラインの作成に関して、取り上げてほしいクリニカルクエスチョンを集め、決定した。本年度ポータルサイトに関しては、ほぼ英文化が完成した。今後欧州白質変性症協会などと連携して、海外データベースとのリンク、相互交流を通じて、希少難病ホームページのモデルとなることを目指す。

公開日・更新日

公開日
2017-06-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201610063Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,355,000円
(2)補助金確定額
7,326,000円
差引額 [(1)-(2)]
29,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,778,435円
人件費・謝金 564,396円
旅費 990,121円
その他 1,296,560円
間接経費 1,697,000円
合計 7,326,512円

備考

備考
29,000円 返還

公開日・更新日

公開日
2018-03-07
更新日
-