文献情報
文献番号
201610061A
報告書区分
総括
研究課題名
自己免疫性出血症治療の「均てん化」のための実態調査と「総合的」診療指針の作成
課題番号
H27-難治等(難)-一般-018
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
一瀬 白帝(山形大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 家子 正裕(北海道医療大学 歯学部)
- 松下 正(名古屋大学 医学部附属病院)
- 岩城 孝行(浜松医科大学 医学部)
- 和田 英夫(三重大学 大学院医学系研究科)
- 橋口 照人(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
- 小川 孔幸(群馬大学 大学院医学系研究科)
- 浦野 哲盟(浜松医科大学 医学部)
- 惣宇利 正善(山形大学 医学部)
- 尾崎 司(山形大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
5,648,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本事業は、自己免疫性出血症の症例を確定診断して実態を解明し、診断基準、重症度分類、診療ガイドライン等を作成、確立、改訂することが主な目的であり、その診療の均てん化を目指す。
研究方法
研究を効率的かつ効果的に推進するため、疾病ごとではなく一定の領域の研究者が組織的に研究を行う。領域内の主な疾病を網羅する班構成にして、疫学統計専門家を含むなど組織的な研究を推進する体制を整備した。研究代表者が班研究全体を総轄し、研究分担者9名が4疾患の確定診断を担当し、研究協力者37名が凝固難病疑い症例の発掘に従事した。
1)広報活動:
リーフレット配布と学会/論文発表などで本症の周知を図り、報告書などを送付して調査活動の成果を広め、難病情報センターや日本血栓止血学会などのHPで無料公開する。
2)全国症例調査:
毎年同一時期にアンケート用紙を送付して、1年間相談がなかった凝固難病症例の発見に努める。
3)臨床研究・調査:
選別とまとめを行う。
4)診断基準、診療指針などの整備:
各凝固難病について、診断基準、診療指針の作成、検証、改訂を実施する。
平成28年度:臨床調査を継続しつつ、前年度の研究結果に基づき、各出血病の診断基準案、検査アルゴリズム案、診療指針案、JBAT の使用方法、抗線溶薬の止血治療の推奨ランク、免疫抑制療法の推奨ランクなどを改訂、改良する。
1)AH13 治療指針案作成の準備段階として、治療(止血療法/抗体根絶療法)ガイド案、治療効果/寛解の判定基準案を作成
2)AVWD 疑い症例調査による症例の蓄積、診断基準案の検証、改訂
3)AHA 診断基準案を改訂、治療効果/寛解の判定基準案を作成
4)自己免疫性出血病検査アルゴリズム案の検証、改訂
1)広報活動:
リーフレット配布と学会/論文発表などで本症の周知を図り、報告書などを送付して調査活動の成果を広め、難病情報センターや日本血栓止血学会などのHPで無料公開する。
2)全国症例調査:
毎年同一時期にアンケート用紙を送付して、1年間相談がなかった凝固難病症例の発見に努める。
3)臨床研究・調査:
選別とまとめを行う。
4)診断基準、診療指針などの整備:
各凝固難病について、診断基準、診療指針の作成、検証、改訂を実施する。
平成28年度:臨床調査を継続しつつ、前年度の研究結果に基づき、各出血病の診断基準案、検査アルゴリズム案、診療指針案、JBAT の使用方法、抗線溶薬の止血治療の推奨ランク、免疫抑制療法の推奨ランクなどを改訂、改良する。
1)AH13 治療指針案作成の準備段階として、治療(止血療法/抗体根絶療法)ガイド案、治療効果/寛解の判定基準案を作成
2)AVWD 疑い症例調査による症例の蓄積、診断基準案の検証、改訂
3)AHA 診断基準案を改訂、治療効果/寛解の判定基準案を作成
4)自己免疫性出血病検査アルゴリズム案の検証、改訂
結果と考察
今年度当初は、4種類の凝固難病[自己免疫性出血病XIII/13(AH13)、自己免疫性von Willebrand病(AVWD)、後天性血友病A(AHA)、出血性後天性抗線溶因子欠乏症(HAAFFD)]を主な対象としたが、途中から自己免疫性第V/5因子欠乏症(F5インヒビター)を調査に追加した。
平成28年度は、先ず、5月にリーフレットを作製して全国調査継続の通知と共に関連する診療科や血液専門医など2130件に配布し、例年通り10月に全国アンケート調査を実施した。その結果、459件の回答を得て、32例の後天性出血症例が報告されたので、二次調査中である。別途、研究班に直接相談があった症例の内19例について統一特別委託検査や実験的精密検査を実施する(平成29年3月31日現在)など、基礎データを集積中である。なお、年度の途中からF5インヒビターに関する検査を追加したので、統一特別委託検査は26項目に増加した。
また、研究班として、AH13診断基準を改訂するとともに、AHAとAVWDの指定難病基礎資料を作成して厚労省に提出し、指定難病検討委員会の要請に応じて、これらの3凝固難病を厚労省指定難病「自己免疫性後天性凝固因子欠乏症288」として統合することに協力した。この活動は、平成29年4月1日からAHAとAVWDが新規に公的医療費助成の対象となったことで実を結んだ。これは本研究の目的に適った特筆すべき成果である。
更に、AH13診断基準研究班版を一部改訂して国際血栓止血学会の科学及び標準化委員会版とし、国際AH13診断基準として刊行した。国内でも、後天性von Willebrand症候群(AVWS)参照ガイドを刊行するとともに、AH13治療指針研究班案を元にした日本血栓止血学会AH13診療ガイドを完成して発刊を待っているところである。なお、主要な研究班メンバーが参加して、日本血栓止血学会の「AHA診療ガイドライン」を改訂中である。
平成28年度は、先ず、5月にリーフレットを作製して全国調査継続の通知と共に関連する診療科や血液専門医など2130件に配布し、例年通り10月に全国アンケート調査を実施した。その結果、459件の回答を得て、32例の後天性出血症例が報告されたので、二次調査中である。別途、研究班に直接相談があった症例の内19例について統一特別委託検査や実験的精密検査を実施する(平成29年3月31日現在)など、基礎データを集積中である。なお、年度の途中からF5インヒビターに関する検査を追加したので、統一特別委託検査は26項目に増加した。
また、研究班として、AH13診断基準を改訂するとともに、AHAとAVWDの指定難病基礎資料を作成して厚労省に提出し、指定難病検討委員会の要請に応じて、これらの3凝固難病を厚労省指定難病「自己免疫性後天性凝固因子欠乏症288」として統合することに協力した。この活動は、平成29年4月1日からAHAとAVWDが新規に公的医療費助成の対象となったことで実を結んだ。これは本研究の目的に適った特筆すべき成果である。
更に、AH13診断基準研究班版を一部改訂して国際血栓止血学会の科学及び標準化委員会版とし、国際AH13診断基準として刊行した。国内でも、後天性von Willebrand症候群(AVWS)参照ガイドを刊行するとともに、AH13治療指針研究班案を元にした日本血栓止血学会AH13診療ガイドを完成して発刊を待っているところである。なお、主要な研究班メンバーが参加して、日本血栓止血学会の「AHA診療ガイドライン」を改訂中である。
結論
今年度は、2つの凝固難病を厚労省指定難病に追加するのみならず指定難病検討委員会の要請に応じて3疾患の統合を実現し、更に国際AH13基準を刊行するなど、国内外で班研究の成果を挙げることができた。研究体制、主治医ネットワークなども強化され、広報活動、全国調査、臨床症例研究、診療ガイドライン関係の各実施計画も、スムーズ且つ順調に進捗している。来年度も、F5インヒビターの調査を強化するなど臨機応変に修正を加えながら、最終目標を達成するために邁進する。
公開日・更新日
公開日
2017-06-12
更新日
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