早老症の実態把握と予後改善を目指す集学的研究

文献情報

文献番号
201610060A
報告書区分
総括
研究課題名
早老症の実態把握と予後改善を目指す集学的研究
課題番号
H27-難治等(難)-一般-017
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
横手 幸太郎(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 井原 健二(大分大学医学部)
  • 花岡 英紀(千葉大学 医学部附属病院)
  • 小崎 里華(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター)
  • 松尾 宗明(佐賀大学医学部)
  • 葛谷 雅文(名古屋大学未来社会創造機構・老年医学)
  • 籏持 淳(獨協医科大学)
  • 塚本 和久(帝京大学医学部)
  • 森 聖二郎(東京都健康長寿医療センター)
  • 窪田 吉孝(千葉大学 医学部附属病院)
  • 中神 啓徳(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 谷口 晃(奈良県立医科大学)
  • 金子 英雄(国立病院機構長良医療センター)
  • 竹本 稔(千葉大学 大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
7,458,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動  研究分担者 塚本 和久   福島県立医科大学→帝京大学医学部(平成28年10月1日以降) 研究者 追加  研究分担者 金子 英雄(平成28年12月2日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
早老症は全身に老化徴候が早発する疾患の総称である。ハッチンソンギルフォード症候群(以下、HGPSと略)、ウエルナー症候群(WSと略)など、早老の程度に差のある約10疾患を含むが、それぞれ希少であり、治療法はもとより我が国における患者実態も不明である。うちWSは思春期以降に発症し、がんや動脈硬化のため40歳半ばで死亡する常染色体劣性疾患で、国内推定患者数は約2,000名、世界の報告の6割が日本人と我が国に多い。原因遺伝子は1994年に同定されたが、早老機序は未解明、根治療法も未確立であり、多くの患者が難治性皮膚潰瘍に伴う下肢切断、悪性腫瘍や糖尿病のため、生命の危機や重篤な後遺症に苦悩している。HGPS も原因遺伝子は同定されているものの、1~2歳時に早老徴候が出現し、10歳代でほぼ全例が死亡する重篤な小児疾患であり、確立した診断基準や診療ガイドラインが存在しない。
そこで今回、我々は、①HGPSの診断基準作成、②Mindsガイドラインセンターの「診療ガイドラインの手引き」に基づくHGPSの診療ガイドライン作成、③Werner症候群(WS)の診療ガイドライン改訂、④WSの重症度分類作成、⑤HGPSとWSの両者を包含する「早老症レジストリー」の構築とフォローアップ体制の確立、⑥新規創傷修復ペプチドを用いた難治性皮膚潰瘍治療臨床試験の実施支援を行うことを研究目的とした。
研究方法
HGPSに関しては、平成24-25年の調査により、1173施設にアンケート調査を郵送し、768施設からの回答を得て、診断確定症例は男性3名、女性2名、不明1名、疑い症例は男性3名、女性5名、不明1名の計15名を同定した。続いて臨床症状に関するアンケート調査を行った所、9名のHGPS患者の臨床所見に関する結果を得ることができ、さらにこれまで学会報告あった1名の所見と併せて、その臨床的特徴が解析した。WSに関しては、「早老症レジストリー」の構築し、現在症例のリクルートを開始した。またMindsガイドラインセンターの「診療ガイドラインの手引き」に基づいた診療ガイドラインの改訂に向けて、過去10年間のWS症例報告に関するデータベースを構築した。
結果と考察
【HGPSに関して】我が国におけるHGPS臨床的特徴が解析された。平成27年8月、平成28年2月、8月開催の班会議にてHGPS患者の診断基準に関して審議が行われ、最終的に平成28年9月に診断基準(初版)が完成し、日本小児遺伝学会の承認を受け現在論文投稿中である。診断基準作成に引き続き、診療ガイドラインも作成予定である。
【WSに関して】WSに関する文献データベースが完成した。現在、「難治性下肢潰瘍の治療」「糖尿病・脂質異常症・脂肪肝の治療」「サルコペニアの治療」「感染症の治療」「骨粗しょう症の治療」と5つのクリニカルクエスチョンに関してシステマティックレビューを行い、Mindsガイドラインセンターの「診療ガイドラインの手引き」に基づいたWS診療ガイドラインの改訂作業を開始している。またAMED難治性疾患実用化研究事業の一環としてWS患者の症例登録システムを構築し、症例登録を開始した。この事業と連携し、日本におけるWS患者の疾患プロファイル・自然歴情報を取得し、平成26年度に作成したWSの重症度分類の検証を行う予定である。
【Rothmund-Thomson症候群 (RTS)に関して】平成28年度からは早老症の一つであるRTSに関しても調査を開始した。平成22年度の難治性疾患研究班(研究奨励分野)においてRTSの調査と診断基準作成を主導した金子英雄先生が分担研究者として研究組織に加入した。今後、平成29年度内に開催を計画している第2回班会議において今後の詳細に関する討議を行う予定。
結論
今後も引き続き研究を推進することにより、早老症患者の予後改善に寄与できると期待される。なお、加齢やアンチエイジングが広く興味を集めている今日、「早老症」の病態・診断・治療の包括的研究を世界に先駆けて推進することは一般社会に与えるインパクトも大きいと思われる。

公開日・更新日

公開日
2017-06-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-06-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201610060Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,694,000円
(2)補助金確定額
9,694,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,389,692円
人件費・謝金 788,945円
旅費 663,940円
その他 1,615,918円
間接経費 2,236,000円
合計 9,694,495円

備考

備考
自己資金 495円

公開日・更新日

公開日
2018-03-09
更新日
-