特発性造血障害に関する調査研究

文献情報

文献番号
201610059A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性造血障害に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H27-難治等(難)-一般-016
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
荒井 俊也(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 小澤 敬也(東京大学 医科学研究所)
  • 金倉 譲(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 中尾 眞二(金沢大学 医薬保健研究域)
  • 廣川 誠(秋田大学 大学院医学系研究科)
  • 赤司 浩一(九州大学 大学院医学研究院)
  • 宮崎 泰司(長崎大学 原爆後障害医療研究所)
  • 高折 晃史(京都大学 大学院医学研究科)
  • 岡本 真一郎(慶應義塾大学 医学部)
  • 中畑 龍俊(京都大学 iPS細胞研究所)
  • 神田 善伸(自治医科大学 医学部)
  • 太田 晶子(埼玉医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
6,496,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班では、再生不良性貧血(再不貧)、溶血性貧血、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄線維症の4疾患を主な対象として、造血幹細胞移植領域、小児科領域、疫学領域という観点からのアプローチも加えつつ、疫学・病因・病態・診断・治療・予後などを包摂した研究を推進してきた。既に、再不貧臨床調査個人票改定案の作成、成人赤芽球癆や骨髄線維症の疫学調査、発作性夜間血色素尿症や溶血性貧血のレジストリ登録、先天性造血不全症候群やMDS症例のセントラルレビュー、などの研究事業が進行中であるが、疾患の実態を把握し的確な診断・治療法を確立するためには多くの未解決の課題がなお残されている。
研究方法
本領域でわが国を代表する専門家に、研究分担者・研究協力者として全国から参加を得て、密接な連携のもとで全国規模の共同研究を推進した。全国の主要病院、日本血液学会、日本造血細胞移植学会、日本小児血液学会など関連諸学会の協力を得た。全国の施設から参加者を得て班会議総会を年2回開催した。
結果と考察
再不貧領域では、HLA-B*40:02欠失顆粒球陽性例で免疫抑制療法の有効率が高いことを明らかにした。臨床調査個人票を用いた調査から、国内の罹患率は、およそ8.3(/100万人年)と推計された。再不貧に対する免疫抑制療法の成績を後方視的に解析し、ウサギ抗体ではウマ抗体に比べて奏効率が低く感染症合併が多い可能性があることを明らかにした。また、後天性赤芽球癆の長期予後に関する前向きコホートの観察を開始し、181例の担当医から協力を得ることになった。溶血性貧血領域では、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)について、レジストリ(全4668例中日本からは38例)を用いたアジア対非アジアの疫学調査を行った。また、PIGT変異による非典型PNHの臨床像を調査した。MDS領域では、骨髄異形成症候群のセントラルレビュー・追跡調査研究を行い、IPSS-Rのvery low risk群からintermediate risk群までの予後が比較的良好で、high risk群およびvery high risk群と分離されることを明らかにした。また、診断から時間が経過した場合のIPSS-Rの有効性を解析し、予後層別化力は時間経過に従って低下することを明らかにした。MDSの移植適応診断時点を起点とする前向き調査研究の症例蓄積を86例まで進めた。再不貧,MDS症例のセントラルレビューと追跡調査を継続し、2016年は19例を新規に集積した。また、家族性MDSの21家系33名を集積しさらに集積を続けた。原発性骨髄線維症(MF)について17年間の疫学調査をまとめ、生存期間中央値47ヶ月、3年全生存率59%であることを明らかにした。また、二次性MFの全国調査を継続し、新たに56例を登録し累計252例が集積された。解析から、多血症由来のMFは本態性血小板血症由来のMFと比べ、基礎疾患発症からMF発症までの期間が長い、ヘモグロビン濃度が高い、白血球数が多い、末梢血芽球割合が低いという特徴を有していることがわかった。小児血液がん学会の再生不良性貧血・骨髄異形成症候群委員会における中央診断事業を通じて登録された1500例以上の症例の調査を行ない、小児再不貧と小児不応性血球減少症の臨床像は区分けする意義に乏しいことを明らかにした。
結論
再不貧について、様々なHLAクラスIアレルの中でもHLA-B4002が自己抗原提示に深く関わっていることが示された。わが国の罹患率は8.3(/100万人年)、重症・最重症(stage4-5)に限定すると罹患率は3.8(/100万人年)と推計された。
PNHについて、C5多型(p.Arg885)は、補体活性自体に異常を示さないが、エクリズマブの結合に重要な影響を与え、不応性を来すと考えられた。
MDSについて、わが国の患者の予後を予測するためのIPSS-Rの有用性が確認された。MDS予後予測では、いずれのスコアを用いても時間経過と共にハザードに変化が見られた。
MFについて、国際予後スコアリングシステムのDIPSS-Plusは、わが国の予後予測に有用であった。また、血小板<5万/μL、芽球≧10%、17番染色体異常の3項目は、造血幹細胞移植の適応を考慮する必要のある移行期の診断に有用であった。
小児の骨髄不全およびMDSは、低頻度で診断は難しくまた予後不良な疾患群であるが、作成された診療ガイドによって診療の標準化と診療レベルの向上が期待される。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-04-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201610059B
報告書区分
総合
研究課題名
特発性造血障害に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H27-難治等(難)-一般-016
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
荒井 俊也(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 小澤 敬也(東京大学 医科学研究所)
  • 金倉 譲(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 中尾 眞二(金沢大学 医薬保健研究域)
  • 廣川 誠(秋田大学 大学院医学系研究科)
  • 赤司 浩一(九州大学 大学院医学研究院)
  • 宮崎 泰司(長崎大学 原爆後障害医療研究所)
  • 高折 晃史(京都大学 大学院医学研究科)
  • 岡本 真一郎(慶應義塾大学 医学部)
  • 中畑 龍俊(京都大学 iPS細胞研究所)
  • 神田 善伸(自治医科大学 医学部)
  • 太田 晶子(埼玉医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班では、再生不良性貧血(再不貧)、溶血性貧血、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄線維症の4疾患を主な対象として、造血幹細胞移植領域、小児科領域、疫学領域という観点からのアプローチも加えつつ、疫学・病因・病態・診断・治療・予後などを包摂した研究を推進してきた。しかし、疾患の実態を把握し的確な診断・治療法を確立するためには多くの未解決の課題がなお残されている。
研究方法
本領域でわが国を代表する専門家に、研究分担者・研究協力者として全国から参加を得て、密接な連携のもとで全国規模の共同研究を推進した。全国の施設から参加者を得て班会議総会を年2回開催した。
結果と考察
再不貧領域では、後天性再不貧で検出されるHLA-Aアレル欠失白血球(HLA-LLs)の臨床的意義について調査を行い、HLA-LL陽性例ではATGとシクロスポリンによる免疫抑制療法の奏効率が高く、免疫抑制療法後2年のfailure-free survivalも良好であることを示し、HLA-LLの存在が免疫抑制療法の奏効を予測する有用なマーカーである可能性を示した。また、HLA-B*40:02欠失顆粒球陽性例でも免疫抑制療法の有効率が高いことを示した。臨床調査個人票を用いた調査から、新規および更新受給者ともに、近5年ではその前の5年より高齢者の割合が増え、重症度分類Stage1-2の割合が多いことを示した。国内の罹患率は、およそ8.3(/100万人年)と推計された。再不貧に対する免疫抑制療法の成績を後方視的に解析し、ウサギ抗体ではウマ抗体に比べて奏効率が低く感染症合併が多い可能性があることを明らかにした。赤芽球癆の領域では、これまでに作成された病因別の赤芽球癆診療の参照ガイドによって後天性慢性赤芽球癆の予後を改善したかどうか評価するための本邦における後天性慢性赤芽球癆の前向き観察研究の症例登録を開始し、181例について登録同意を得た。
溶血性貧血領域では、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)について、PNH Global Registryに参加し、「PNH診療の参照ガイド」、「PNH妊娠の参照ガイド」、「PNH周術期管理の参照ガイド」を、作成・改訂した。また、レジストリ(全4668例中日本からは38例)を用いたアジア対非アジアの疫学調査を行った。また、PIGT変異による非典型PNHの臨床像を調査した。
骨髄異形成症候群(MDS)領域では、MDSの予後予測システムであるIPSS-Rの意義について日本人と欧米人での違い、特に染色体異常の意義について検討し、統計学的に差のある核型が見られ、MDSの背景には人種による差が存在する可能性を示した。また、診断から時間が経過した場合のIPSS-Rの有効性を解析し、予後層別化力は時間経過に従って低下することを明らかにした。MDSのセントラルレビュー・追跡調査研究を行い、IPSS-Rのintermediate risk群以下の予後が比較的良好で、high risk群以上と分離されること、本邦では造血幹細胞移植はおもにIPSS-Rでhigh risk以上の患者に実施されていることを示した。また、MDSの移植適応診断時点を起点とする前向き調査研究の症例蓄積を86例まで進めた。
原発性骨髄線維症(MF)について17年間の疫学調査をまとめ、生存期間中央値47ヶ月、3年全生存率59%であることを明らかにした。国際的な予後スコアリングシステムであるDIPSS-Plusは本邦の症例でも診断時および経過中の任意の時点において予後不良群の抽出が可能で、予後指標として有用であることを示した。また、二次性MFの全国調査を継続し累計252例を集積した。解析により、多血症由来のMFは本態性血小板血症由来のMFと比べ、基礎疾患発症からMF発症までの期間が長い、ヘモグロビン濃度が高い、白血球数が多い、末梢血芽球割合が低いという特徴を有していることを示した。
小児血液がん学会の再生不良性貧血・骨髄異形成症候群(MDS)委員会における中央診断事業を通じて登録された1500例以上の症例の調査を行ない、小児再不貧と小児不応性血球減少症の臨床像は区分けする意義に乏しいことを明らかにした。また、二次性MDS/急性骨髄性白血病と診断された40例の調査を行い、発症時年齢中央値11.7歳、先行するがんからの期間の中央値は3.6年、5年全生存率は53%であったことを明らかにした。
結論
本研究の成果などを総合して、特発性造血障害の診療の参照ガイドの改訂を行い、web上に公開した。全国の特発性造血障害の診療の向上に資することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-04-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201610059C

収支報告書

文献番号
201610059Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,444,000円
(2)補助金確定額
8,444,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,574,339円
人件費・謝金 582,535円
旅費 1,600,810円
その他 738,327円
間接経費 1,948,000円
合計 8,444,011円

備考

備考
自己資金 11円

公開日・更新日

公開日
2018-03-07
更新日
-