文献情報
文献番号
201610056A
報告書区分
総括
研究課題名
小児呼吸器形成異常・低形成疾患に関する実態調査ならびに診療ガイドライン作成に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H27-難治等(難)-一般-013
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
臼井 規朗(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 小児外科)
研究分担者(所属機関)
- 田口 智章(九州大学大学院医学研究院 小児外科学分野)
- 早川 昌弘(名古屋大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター )
- 奥山 宏臣(大阪大学大学院 小児成育外科)
- 増本 幸二(筑波大学医学医療系 小児外科)
- 金森 豊(国立成育医療研究センター 臓器運動器病態外科部・)
- 漆原 直人(静岡県立こども病院 小児外科)
- 稲村 昇(近畿大学医学部 小児科)
- 甘利 昭一郎(国立成育医療研究センター 周産期・母性センター新生児科)
- 川瀧 元良(東北大学病院 婦人科)
- 岡崎 任晴(順天堂大学医学部附属浦安病院 小児外科)
- 豊島 勝昭(神奈川県立こども医療センター 新生児科)
- 古川 泰三(京都府立医科大学大学院 小児外科)
- 照井 慶太(千葉大学医学部附属病院小児外科 )
- 黒田 達夫(慶應義塾大学 小児外科)
- 渕本 康史(国立成育医療研究センター 臓器運動器病態外科部)
- 松岡 健太郎(北里大学北里研究所病院 病理診断科)
- 野澤 久美子(神奈川県立こども医療センター 放射線科)
- 前田 貢作(神戸大学大学院 医学研究科外科学講座小児外科学分野)
- 西島 栄治(社会医療法人愛仁会高槻病院 小児外科)
- 守本 倫子(国立成育医療研究センター 感覚器・形態外科部耳鼻咽喉科)
- 肥沼 悟郎(慶應義塾大学 小児科)
- 二藤 隆春(東京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科)
- 藤野 明浩(慶應義塾大学小児外科)
- 小関 道夫(岐阜大学 医学部附属病院小児科)
- 岩中 督(埼玉県立小児医療センター 小児外科)
- 上野 滋(東海大学医学部外科学系 小児外科学)
- 森川 康英(国際医療福祉大学病院 小児外科)
- 野坂 俊介(国立成育医療研究センター 放射線診療部放射線診断科)
- 木下 義晶(九州大学大学院医学研究院 小児外科学分野)
- 川上 紀明(国家公務員共済組合連合会名城病院整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
7,771,000円
研究者交替、所属機関変更
大阪府立母子保健総合医療センター小児循環器科に勤務していた稲村 昇先生は、異動のため10月より近畿大学医学部小児科に所属機関が変更した。
国立成育医療研究センター周産期・母性センター新生児科の高橋重裕は、病気療養のため、同科勤務の甘利昭一郎先生に交代された。
国立成育医療研究センター病理診断部に勤務していた松岡健太郎先生は、異動のため4月より北里大学北里研究所病院病理診断科に所属機関が変更した。
慶應義塾大学小児外科に勤務していた藤野明浩先生は、異動のため5月より国立成育医療研究センター臓器運動器病態外科部に所属機関が変更した。
国家公務員共済組合連合会名城病院整形外科の川上紀明が肋骨異常を伴う先天性側弯症の疾患責任者として研究分担者に参加された。
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、小児呼吸器形成異常・低形成疾患である5疾患に関して、実態調査を通じて科学的根拠を集積・分析し、診断基準や重症度分類を作成したうえで、全ての疾患に関する診療ガイドラインを作成し、指定難病や小児慢性特定疾病の指定などを通じて本症の社会保障制度を充実させるとともに、患者支援のための診療体制を確立することである。
研究方法
先天性横隔膜ヘルニアについては、昨年度に作成した診療ガイドラインの普及・啓蒙活動と症例登録システムの作成を行った。先天性嚢胞性肺疾患、気道狭窄、頚部・胸部リンパ管腫・リンパ管腫症の3疾患については、先行研究または本研究で実施した調査研究の結果に基づいて診断基準や重症度分類を作成したうえで、診療ガイドラインの作成を行った。肋骨異常を伴う先天性側弯症については、診療ガイドラインのための予備的研究として発生状況調査と手術が呼吸機能に与える影響に関する調査を行った。
結果と考察
先天性横隔膜ヘルニアでは、日本医療機能評価機構(以下Minds)のホームページに詳細版が掲載され、MindsモバイルにCQサマリーが公開された。また、日本周産期・新生児医学会雑誌、日本医事新報、小児外科、小児科などの学術雑誌に診療ガイドラインの概要が掲載された。更に13施設による多施設共同研究として、REDCapを利用した症例登録システムを構築した。先天性嚢胞性肺疾患では、優先度の高い4つのCQに関して診療ガイドラインとしての推奨文と解説を作成して推奨度を決定した。ガイドライン中で発生学的背景に基づいた本疾患の新しい分類を示すとともに、出生時に症状が無い症例の適切な手術時期が乳児期であることを明示した。気道狭窄では原因となる4つ疾患に関する合計16のCQについてシステマティック・レビューを行ってまとめを作成した。頚部・胸部リンパ管腫・リンパ管腫症では、頚部・胸部に関する5つのCQについて推奨文と解説を作成し、エビデンスの強さと推奨度を決定した。またこれまで明らかでなかった頚部・胸部リンパ管腫における気管切開の適応と、縦隔内リンパ管腫における治療適応に関するWeb調査を行った。肋骨を伴う先天性側弯症では、胸郭不全症候群の発生率が0.015%と算出された。
結論
難治性希少疾患である小児呼吸器形成異常・低形成疾患、すなわち先天性横隔膜ヘルニア、先天性嚢胞性肺疾患、気道狭窄、頚部・胸部リンパ管腫・リンパ管腫症、肋骨変形を伴う脊椎側弯症については、さらなる症例の蓄積と科学的根拠を高めるための臨床研究の遂行によりエビデンスレベルを高めるとともに、社会保障制度を充実させながら、患者支援のための診療体制を確立することが重要と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2017-06-06
更新日
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