文献情報
文献番号
201610051A
報告書区分
総括
研究課題名
新規疾患;TAFRO症候群の確立のための研究
課題番号
H27-難治等(難)-一般-008
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
正木 康史(金沢医科大学 血液免疫内科学)
研究分担者(所属機関)
- 中村 栄男(名古屋大学大学院医学系研究科 病理学)
- 小島 勝(獨協医科大学 病理学)
- 川端 浩(金沢医科大学 血液免疫内科学)
- 木下 朝博(愛知県がんセンター中央病院 血液・腫瘍内科学)
- 塚本 憲史(群馬大学医学部附属病院 腫瘍センター血液内科学)
- 青木 定夫(新潟薬科大学 薬学部病態生理学研究室)
- 石垣 靖人(金沢医科大学 総合医学研究所・細胞生物学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
544,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
TAFRO症候群は、明らかな原因なしに急性あるいは亜急性に、発熱、全身性浮腫(胸水・腹水貯留)、血小板減少を来し、腎障害、貧血、臓器腫大(肝脾腫、リンパ節腫大)などを伴う全身炎症性疾患である。既知の単一疾患に該当せず、2010年高井らによりThrombocytopenia(血小板減少症), Anasarca(全身浮腫、胸腹水), Fever(発熱、全身炎症), Reticulin fibrosis(骨髄の細網線維化、骨髄巨核球増多), Organomegaly(臓器腫大;肝脾腫、リンパ節腫大)よりTAFRO症候群(仮称)として報告され、その後に類似例の報告が相次いでいる。リンパ節生検の病理はCastleman病様の像を呈し、臨床像も一部は特発性(HHV-8陰性)多中心性Castleman病(iMCD)に重なるが、本疾患特有の所見も多く、異同に関しては現時点で不明である。TAFRO症候群について診断基準をまず確立し、その後の研究へ発展させる必要がある。
研究方法
本研究班において班会議およびその後のメール会議で議論の上でTAFRO症候群診断基準、重症度分類、治療指針の2015年度版を作成し論文化した。また、以前より「新規疾患;TAFRO症候群の疾患概念確立のための多施設共同後方視的研究(UMIN000011809)」を行っており、今までに登録された症例から、TAFRO症候群群とiMCD群にて臨床所見の比較検討を行い、両疾患の臨床的異同につき検討した。さらに、全国の多施設よりTAFRO症候群あるいは多中心性Castleman病と診断された症例や疑い例、鑑別例につき臨床―病理中央診断会を開催し、臨床医と病理医のお互いの理解を深めた。
(倫理面への配慮)
UMIN000011809研究は、介入を行わない後方視的な観察研究であり、「疫学研究に関する倫理指針」(文部科学省、厚生労働省 平成14年6月17日施行、平成16年12月28日改正、平成17年6月29日改正、平成19年8月16日改正、平成20年12月1日一部改正)を遵守する。診療録情報をもとにした後方視的な調査研究であり、カルテIDも使用せず、施設毎の通し番号で情報を提出するため、個人情報の流出も起こらない。既に当院受診外の症例も多く、今から同意書を得る事も不可能である。今回の調査では、新規の症例を対象としない。試験情報はUMIN登録しUMINホームページ上で公開される。個人情報は、施設毎の通し番号で情報を提出する(匿名化)。
(倫理面への配慮)
UMIN000011809研究は、介入を行わない後方視的な観察研究であり、「疫学研究に関する倫理指針」(文部科学省、厚生労働省 平成14年6月17日施行、平成16年12月28日改正、平成17年6月29日改正、平成19年8月16日改正、平成20年12月1日一部改正)を遵守する。診療録情報をもとにした後方視的な調査研究であり、カルテIDも使用せず、施設毎の通し番号で情報を提出するため、個人情報の流出も起こらない。既に当院受診外の症例も多く、今から同意書を得る事も不可能である。今回の調査では、新規の症例を対象としない。試験情報はUMIN登録しUMINホームページ上で公開される。個人情報は、施設毎の通し番号で情報を提出する(匿名化)。
結果と考察
結果:TAFRO症候群の診断基準、重症度分類、治療指針の2015年度版を作成し論文化した(Int J Hematol 2016;103:686.,臨床血液57;195(2029)2016)。
TAFRO群とiMCD群の比較において、PLT, IgG, AlbuminはTAFRO群で優位に低値、Hb, CRP, Creatinine, LDH, ALP,γ-GTP, T-bil, Feritin, IgG, D dimer, FDPはTAFRO群で優位に高値であった。
2016年7月16日(土)の班会議後にキャッスルマン病・TAFRO症候群・その他境界症例について、臨床-病理中央診断会を開催した。全91例の組織標本を、10名の病理医ならびに29名の臨床医で中央診断を行った。多数例を一度に大勢で観察する事で、疾患の理解が進んだ。
考察:MCDの多くが慢性の経過をとるのに対して、TAFRO症候群は急性あるいは亜急性の転帰をとる。TAFRO症候群では、ステロイドやcyclosporin Aなどの免疫抑制剤、tocilizumab, rituximabなどの有効例が報告されるも、様々な治療に抵抗性の症例も存在し、全身症状の悪化が急速なため、迅速かつ的確な診断と治療が必要な疾患である。TAFRO症候群は臨床像や病理組織像の一部がiMCDに類似するも、経過が急性~亜急性で、腫大するリンパ節も小さく、γグロブリンも増加せず、腎機能障害、血小板減少(DIC傾向)、肝胆道系酵素上昇などを伴い、異なった疾患単位である。
今後、キャッスルマン病班とTAFRO症候群班の統合により両疾患を系統的に解析する事で、病因病態のより詳細な解析も可能となりえる。
TAFRO群とiMCD群の比較において、PLT, IgG, AlbuminはTAFRO群で優位に低値、Hb, CRP, Creatinine, LDH, ALP,γ-GTP, T-bil, Feritin, IgG, D dimer, FDPはTAFRO群で優位に高値であった。
2016年7月16日(土)の班会議後にキャッスルマン病・TAFRO症候群・その他境界症例について、臨床-病理中央診断会を開催した。全91例の組織標本を、10名の病理医ならびに29名の臨床医で中央診断を行った。多数例を一度に大勢で観察する事で、疾患の理解が進んだ。
考察:MCDの多くが慢性の経過をとるのに対して、TAFRO症候群は急性あるいは亜急性の転帰をとる。TAFRO症候群では、ステロイドやcyclosporin Aなどの免疫抑制剤、tocilizumab, rituximabなどの有効例が報告されるも、様々な治療に抵抗性の症例も存在し、全身症状の悪化が急速なため、迅速かつ的確な診断と治療が必要な疾患である。TAFRO症候群は臨床像や病理組織像の一部がiMCDに類似するも、経過が急性~亜急性で、腫大するリンパ節も小さく、γグロブリンも増加せず、腎機能障害、血小板減少(DIC傾向)、肝胆道系酵素上昇などを伴い、異なった疾患単位である。
今後、キャッスルマン病班とTAFRO症候群班の統合により両疾患を系統的に解析する事で、病因病態のより詳細な解析も可能となりえる。
結論
TAFRO症候群は現時点ではMCDと一部が重なる疾患概念と認識され、今後の症例の蓄積および病因病態解析を進める事により、将来この両者の異同について明確となっていくであろう。
公開日・更新日
公開日
2017-05-22
更新日
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