文献情報
文献番号
201610050A
報告書区分
総括
研究課題名
中隔視神経異形成症の実態調査と診断基準・重症度分類の作成に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H27-難治等(難)-一般-007
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 光広(昭和大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 田島 敏広(自治医科大学 とちぎ子ども医療センター)
- 佐藤 美保(浜松医科大学 眼科)
- 川村 孝(京都大学 健康科学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
1,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
中隔視神経異形成症Septo-optic dysplasia(SOD)は、透明中隔欠損、視神経低形成、下垂体機能低下症を三徴とする先天異常であるが、患者毎に症状と重症度に違いが認められる。本研究班ではこれまでに、文献調査によるケースシリーズ調査(平成26年度)、既報告例に対する二次調査(平成27年度)を行ない、診断基準と重症度分類を作成した。1072例の脳形成異常の登録データベースの利用および小児眼科・神経眼科、小児内分泌の専門家に対しアンケート調査を行い、本研究班で作成した診断基準と重症度分類について妥当性を検証した。
研究方法
自験例(1998年以降)および全国から相談(2002年以降)された1072例の脳形成異常の症例登録データベースから臨床診断としてのSODおよび画像所見として頭蓋内正中構造異常(透明中隔欠損、脳梁欠損、脳梁菲薄化、下垂体異常)、大脳皮質形成異常(多小脳回、裂脳症、孔脳症)の症例を抽出し、臨床診断、併発症、検査所見の概要を調査した。また、小児眼科、神経眼科に精通している眼科医約200名にメールによる調査協力を求め、SODあるいは類縁疾患と思われる症例を集積した。さらに、先天性甲状腺機能低下症のFT4スクリーニングをおこなっている分担研究者、研究協力者の施設において先天性甲状腺機能低下症、SODがFT4スクリーニングで同定されているか、同定された場合はその臨床的特徴を質問表より明らかにした。
結果と考察
SODの診断症例は脳形成異常例では6例で、全例透明中隔欠損と眼もしくは下垂体機能低下のいずれかまたは両者を併発し、現行の診断基準を満たしていた。重症度について検討し得た1例では、眼症状で重症と判断されたが、神経症状については大島分類を用いているために、最重度知的障害でてんかんを併発していても中等症と判断された。眼科では14施設48例中、診断基準を満たす症例は40例、三徴を満たす症例は15例であった。新生児マススクリーニングで先天性中枢性甲状腺機能低下症と診断された29例中、9例がSODの診断基準を満たした。SODの眼科受診例は多いが、著しい視機能障害をもちながら眼科受診が遅い例があり、関連三科の緊密な連携が必要と考えられた。先天性中枢性甲状腺機能低下症ではSODの鑑別が必要であり、新生児マススクリーニングがSODの早期発見に有用であることを示唆した。
結論
診断基準については本研究班の診断基準が妥当と考えられたが、神経症状の重症度分類については、大島分類ではなく、知的障害、運動障害それぞれ単独に判断することが望ましく、改訂する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2017-04-06
更新日
-