血液凝固異常症等に関する研究

文献情報

文献番号
201610025A
報告書区分
総括
研究課題名
血液凝固異常症等に関する研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-063
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
村田 満(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 冨山 佳昭(大阪大学医学部付属病院 輸血部)
  • 桑名 正隆(日本医科大学 医学部)
  • 羽藤 高明(愛媛大学医学部附属病院)
  • 松本 雅則(奈良県立医科大学 輸血部)
  • 和田 英夫(三重大学 医学部)
  • 小亀 浩市(国立循環器病研究センター 分子病態部)
  • 宮川 義隆(埼玉医科大学 医学部)
  • 南学 正臣(東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科)
  • 香美 祥二(徳島大学病院 小児科)
  • 津田 博子(中村学園大学大学院 栄養科学研究科)
  • 森下 英理子(金沢大学 )
  • 小嶋 哲人(名古屋大学 医学部)
  • 宮田 敏行(国立循環器病研究センター 脳血管内科)
  • 小林 隆夫(県西部浜松医療センター 産婦人科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
17,006,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性疾患政策研究事業として血液凝固異常症である3つの疾患、すなわち特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性微小血管障害症(TMA)、特発性血栓症について、エビデンスに基づいた全国共通の診断基準・重症度分類の作成や改正、診療ガイドライン等の確立や改正及び普及などを目的とした。
研究方法
ITPとTMAは平成27年1月より、特発性血栓症は特発性血栓症(遺伝性血栓性素因による。)として平成29年より指定難病医療費助成制度の対象疾患として位置づけられた。3疾患について、それぞれ3つのサブグループに分かれて課題に取り組むとともに、グループ間の相互議論を活発に行うことによって、(1)分子病態に基づいた診断基準、治療指針の確立/普及およびその効果の検証、(2)大規模な疫学的解析による我が国での発症頻度、予後の把握と治療の標準化などを図った。<ITP>疫学研究に関してはITP臨床調査個人票を基に、新規発症症例数、更新症例数、発症年齢、性、分布、さらには罹病期間、治療内容、合併症、現在のQOL,等を解析した。個人票改訂作業については国際的な動向を考慮し、さらに臨床医に対して記入の労力を軽減すべくより簡便に記載できるように配慮した。<TTP>1)本邦の血栓性微小血管症(TMA)の症例集積の継続と症例の特徴の解析、2)Upshaw-Schulman症候群(USS)におけるADAMTS13遺伝子解析の継続、3)TTP治療ガイドラインの作成、4)難治性、再発性TTPに対するリツキシマブの保険適応の拡大、5)ADAMTS13検査の保険収載と測定キットの体外診断薬承認、に向けて活動した。<特発性血栓症>特発性血栓症の先天的要因である「先天性血栓性素因」の診断基準ならびに重症度分類を作成した。今後「先天性血栓性素因患者の診療ガイド」や「先天性血栓性素因患者の周術期診療ガイド」の作成に向けて、先天性血栓性素因についての実態調査やアンケートを計画している。
結果と考察
平成28年度は3年計画の3年目として、臨床調査個人票の改定、診断基準の改定、診療ガイドの作成および改訂、指定難病検討資料の作成などに取り組んだ。また臨床的有用性の高いデータベース化システムの構築、そして新しい体外診断薬の開発や検証、新規治療の検証と保険適応へ向けての検討を班全員の参加のもとに行った。平成28年度より非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)についても本研究班で取り扱うことになり、TMAサブグループの中で検討された。疫学研究に関しては特定疾患治療研究事業の対象疾患にともなって毎年行われるITP臨床個人調査表を基に、平成26年度におけるITPの実態を調査把握した。血栓性血小板減少性紫斑病については、これまで行ってきた患者集積を続行し、USSにおけるADAMTS13遺伝子解析やTTP診療ガイドラインの作成、難治性、再発性TTPに対するリツキシマブの保険適応拡大について検討された。特発性血栓症グループにおいては平成28年度より新生児・小児特発性血栓症研究班と合流し、共同で「特発性血栓症(先天性血栓性素因による)」の診断基準および重症度分類を作成し、指定難病認定に向けて資料作成、病態解析を通した診断法の検討などを行った。なお、当研究班の活動はホームページに公開されている。http://ketsuekigyoko.org/index.html
結論
診断基準、重症度分類、診療ガイドの作成、調査票による実態調査や基礎研究を通じ診断・治療法の確立を目指す研究を遂行した。研究期間に疫学調査、診断基準や診療参照ガイド作成において成果を充分にあげることができた。ITPについては上記実績に加え、ITP診断に向けた検査の開発ならびに標準化、それらの保険収載などに取り組む必要がある。TMAについてはTTPとaHUSの症例集積は順調に継続しており、ADAMTS13遺伝子や補体遺伝子の解析も継続している。重要な目標であったTTP診療ガイドラインも完成し、概ね目標は到達できたと考えている。臨床調査個人票の活用により疾患調査が進むものと思われる。また特発性血栓症については「特発血栓症(遺伝性血栓性素因による。)」が指定難病に認定されたことにより、先天性PC、PS、AT欠乏症を要因とする特発性血栓症については臨床調査個人票に基づく実態調査が可能となる。今後、診断法・治療法の標準化を推進し、予知・予防対策を確立するための診療ガイドライン策定が望まれる。また先天性PC、PS、AT欠乏症以外の先天性血栓性素因への対応、先天性血栓性素因保有者の妊娠管理および女性ホルモン剤使用に関する診療ガイドライン策定などが課題である。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201610025B
報告書区分
総合
研究課題名
血液凝固異常症等に関する研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-063
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
村田 満(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 冨山 佳昭(大阪大学医学部付属病院 輸血部)
  • 桑名 正隆(日本医科大学 医学部)
  • 羽藤 高明(愛媛大学医学部附属病院)
  • 松本 雅則(奈良県立医科大学 輸血部)
  • 和田 英夫(三重大学 医学部)
  • 小亀 浩市(国立循環器病研究センター 分子病態部)
  • 宮川 義隆(埼玉医科大学 医学部)
  • 南学 正臣(東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科)
  • 香美 祥二(徳島大学病院 小児科)
  • 津田 博子(中村学園大学大学院 栄養科学研究科)
  • 森下 英理子(金沢大学 )
  • 小嶋 哲人(名古屋大学 医学部)
  • 宮田 敏行(国立循環器病研究センター 脳血管内科)
  • 小林 隆夫(県西部浜松医療センター 産婦人科)
  • 藤村 吉博(日本赤十字社近畿ブロック血液センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性疾患政策研究事業として血液凝固異常症である3つの疾患、すなわち特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性微小血管障害症(TMA)、特発性血栓症についてエビデンスに基づいた全国共通の診断基準・重症度分類の作成や改正、診療ガイドライン等の確立や改正及び普及などを目的とした。
研究方法
ITPとTMAは平成27年1月より、特発性血栓症は特発性血栓症(遺伝性血栓性素因による。)として平成29年より指定難病医療費助成制度の対象疾患として位置づけられた。3疾患について、それぞれ3つのサブグループに分かれて課題に取り組むとともに、グループ間の相互議論を活発に行うことによって、(1)分子病態に基づいた診断基準、治療指針の確立/普及およびその効果の検証、(2)大規模な疫学的解析による我が国での発症頻度、予後の把握と治療の標準化などを図った。<ITP>疫学研究に関してはITP臨床調査個人票を基に、新規発症症例数、更新症例数、発症年齢、性、分布、さらには罹病期間、治療内容、合併症、現在のQOL,等を解析した。個人票改訂作業については国際的な動向を考慮し、さらに臨床医に対して記入の労力を軽減すべくより簡便に記載できるように配慮した。<TTP>1)本邦の血栓性微小血管症(TMA)の症例集積の継続と症例の特徴の解析、2)Upshaw-Schulman症候群(USS)におけるADAMTS13遺伝子解析の継続、3)TTP治療ガイドラインの作成、4)難治性、再発性TTPに対するリツキシマブの保険適応の拡大、5)ADAMTS13検査の保険収載と測定キットの体外診断薬承認、に向けて活動した。<特発性血栓症>特発性血栓症の先天的要因である「先天性血栓性素因」の診断基準ならびに重症度分類を作成することとした。
結果と考察
臨床調査個人票の改定、診断基準の改定、診療ガイドの作成および改訂、指定難病検討資料の作成などに取り組んだ。また臨床的有用性の高いデータベース化システムの構築、そして新しい体外診断薬の開発や検証、新規治療の検証と保険適応へ向けての検討を班全員の参加のもとに行った。平成28年度より非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)についても本研究班で取り扱うことになり、TMAサブグループの中で検討された。疫学研究に関しては特定疾患治療研究事業の対象疾患にともなって毎年行われるITP臨床個人調査表を基に、ITPの実態を調査把握した。血栓性血小板減少性紫斑病については、これまで行ってきた患者集積を続行し、USSにおけるADAMTS13遺伝子解析やTTP診療ガイドラインの作成、難治性、再発性TTPに対するリツキシマブの保険適応拡大について検討された。特発性血栓症グループにおいては平成28年度より新生児・小児特発性血栓症研究班と合流し、共同で「特発性血栓症(先天性血栓性素因による)」の診断基準および重症度分類を作成し、指定難病認定に向けて資料作成、病態解析を通した診断法の検討などを行った。なお、当研究班の活動はホームページに公開されている。http://ketsuekigyoko.org/index.html
結論
3年間の研究期間に疫学調査、診断基準や診療参照ガイド作成において成果を充分にあげることができた。ITPについては上記実績に加え、ITP診断に向けた検査の開発ならびに標準化、それらの保険収載などに取り組む必要がある。TMAについてはTTPとaHUSの症例集積は順調に継続しており、ADAMTS13遺伝子や補体遺伝子の解析も継続している。重要な目標であったTTP診療ガイドラインも完成し、概ね目標は到達できたと考えている。臨床調査個人票の活用により疾患調査が進むものと思われる。また特発性血栓症については「特発血栓症(遺伝性血栓性素因による。)」が指定難病に認定されたことにより、先天性PC、PS、AT欠乏症を要因とする特発性血栓症については臨床調査個人票に基づく実態調査が可能となる。今後、診断法・治療法の標準化を推進し、予知・予防対策を確立するための診療ガイドライン策定が望まれる。また先天性PC、PS、AT欠乏症以外の先天性血栓性素因への対応、先天性血栓性素因保有者の妊娠管理および女性ホルモン剤使用に関する診療ガイドライン策定などが課題である。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

総合研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201610025C

収支報告書

文献番号
201610025Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
22,107,000円
(2)補助金確定額
22,107,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 9,097,561円
人件費・謝金 2,160,590円
旅費 4,740,878円
その他 1,019,488円
間接経費 5,101,000円
合計 22,119,517円

備考

備考
自己資金 12,514 円 
利息 3円

公開日・更新日

公開日
2018-02-19
更新日
-