文献情報
文献番号
201610022A
報告書区分
総括
研究課題名
アミロイドーシスに関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-難治等(難)-一般-057
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
安東 由喜雄(熊本大学 大学院生命科学研究部)
研究分担者(所属機関)
- 山田 正仁(金沢大学医薬保健研究域医学系脳老化・神経病態学(神経内科学)
- 池田 修一(信州大学医学部附属病院難病診療センター)
- 玉岡 晃(筑波大学大学院人間総合科学研究科 疾患制御医学専攻神経病態医学分野)
- 東海林 幹夫(弘前大学大学院医学研究科脳神経内科学)
- 高市 憲明(虎の門病院 腎センター)
- 山田 俊幸(自治医科大学 臨床検査医学)
- 内木 宏延(福井大学医学部医学科病因病態医学講座 分子病理学領域)
- 重松 隆(公立大学法人 和歌山県立医科大学 腎臓内科学講座)
- 奥田 恭章(道後温泉病院 リウマチセンター・内科)
- 西 慎一(神戸大学大学院医学研究科腎臓内科・免疫内科分野 腎臓内科部門)
- 畑 裕之(熊本大学大学院生命科学研究部生体情報解析学)
- 小池 春樹(名古屋大学大学院医学系研究科 神経内科)
- 島崎 千尋(独立行政法人地域医療機能推進機構 京都鞍馬口医療センター 血液内科)
- 飯田真介(名古屋市立大学大学院医学研究科 生体総合医療学講座・腫瘍・免疫内科学分野)
- 植田 光晴(熊本大学医学部附属病院神経内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
7,045,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
アミロイドーシスは諸臓器に蛋白質による難溶の線維状構造物であるアミロイドが沈着し、臓器機能障害を引き起こす「希少性」「原因不明」「効果的な治療方法未確立」「生活面への長期にわたる支障」の4要素全てを満たす難治性疾患群である。近年臨床応用された早期に効果的な治療法は各臨床病型により全く異なるため、早期に確実な病型診断を行うことが極めて重要である。また、高い効果が期待できる新規治療法の国際治験も複数実施されており、本疾患群に対する医療は大きく変革しつつある。しかし、アミロイドーシスの病型診断が未だ適切に実施されていない症例が多く存在する。本研究は、本疾患の診療・研究の中心的役割を担ってきた各臓器の専門家による班員の総力を結集し、横断的に、アミロイドーシス診療ガイドラインの改定と患者全国実態調査の実施を行い、本症に対する診療体制の向上を行うことを目的としている。
研究方法
1. アミロイドーシス全国疫学調査
「難治性疾患の継続的な疫学データの収集・解析に関する研究班(研究代表者 中村好一 自治医科大学地域医療学センター 公衆衛生学部門)」と協力し、全国疫学調査を実施した。対象診療科は、神経内科、消化器科、循環器科、脳神経外科、泌尿器科、リウマチ科、血液内科、腎臓内科とする。一次調査で報告されたアミロイドーシス患者全例を対象に、二次調査(詳細な臨床情報)を実施し解析を行った。
2. ガイドラインの改定
現行のアミロイドーシス診療ガイドラインの内容を最新のものに更新し、新たな診断法や治療法に関する言及を追加する改定作業を行い、診断や治療に関する具体的なクリニカルクエスチョンを追加した。
「難治性疾患の継続的な疫学データの収集・解析に関する研究班(研究代表者 中村好一 自治医科大学地域医療学センター 公衆衛生学部門)」と協力し、全国疫学調査を実施した。対象診療科は、神経内科、消化器科、循環器科、脳神経外科、泌尿器科、リウマチ科、血液内科、腎臓内科とする。一次調査で報告されたアミロイドーシス患者全例を対象に、二次調査(詳細な臨床情報)を実施し解析を行った。
2. ガイドラインの改定
現行のアミロイドーシス診療ガイドラインの内容を最新のものに更新し、新たな診断法や治療法に関する言及を追加する改定作業を行い、診断や治療に関する具体的なクリニカルクエスチョンを追加した。
結果と考察
1. アミロイドーシス全国疫学調査
全国疫学調査の二次調査が終了し、各病型のワーキンググループで解析を行った。全国の医療機関を対象にした疫学調査は、今回が初めてであり、予測されたより多くの患者数が報告された病型と、少ない病型が確認された。特に野生型トランスサイレチンアミロイドーシスは高齢者の心不全の原因疾患として頻度が高いことが病理学的な解析から示されていたが、本疫学調査の報告結果から推定される国内の患者数は300例と極めて少ない数であった。この解離は多くの本疾患患者が適切に診断されていないためと考えられる。またアミロイドーシスの病型により、診療に従事する主たる診療科の違い、初発症状、診断時の検査所見の特徴、治療法など本疾患の診療に重要な情報が得られた。次期の全国疫学調査時には今回得られた情報をもとに実施し、臨床情報や診断、治療法の実施に関する違いを検討することが必要と考える。
2. 診療ガイドラインの改訂
診療ガイドラインの改訂を行い、新たにクリニカルクエスチョンを各病型で作成し追加した。最新の知見に関して言及すると共に、クリニカルクエスチョンも導入し、より臨床の場で役立つガイドラインになったと考えられる。アミロイドーシスに関する診断法や治療法の発展は目覚ましいため、数年おきの改定が必要と考えられる。
全国疫学調査の二次調査が終了し、各病型のワーキンググループで解析を行った。全国の医療機関を対象にした疫学調査は、今回が初めてであり、予測されたより多くの患者数が報告された病型と、少ない病型が確認された。特に野生型トランスサイレチンアミロイドーシスは高齢者の心不全の原因疾患として頻度が高いことが病理学的な解析から示されていたが、本疫学調査の報告結果から推定される国内の患者数は300例と極めて少ない数であった。この解離は多くの本疾患患者が適切に診断されていないためと考えられる。またアミロイドーシスの病型により、診療に従事する主たる診療科の違い、初発症状、診断時の検査所見の特徴、治療法など本疾患の診療に重要な情報が得られた。次期の全国疫学調査時には今回得られた情報をもとに実施し、臨床情報や診断、治療法の実施に関する違いを検討することが必要と考える。
2. 診療ガイドラインの改訂
診療ガイドラインの改訂を行い、新たにクリニカルクエスチョンを各病型で作成し追加した。最新の知見に関して言及すると共に、クリニカルクエスチョンも導入し、より臨床の場で役立つガイドラインになったと考えられる。アミロイドーシスに関する診断法や治療法の発展は目覚ましいため、数年おきの改定が必要と考えられる。
結論
全国疫学調査の結果で、本邦における各アミロイドーシス患者の実態が明らかになった。改定されたアミロイドーシス診療ガイドラインを活用し、本症に対する診療の向上を目標に啓発を行う。
公開日・更新日
公開日
2017-05-30
更新日
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