ベーチェット病に関する調査研究

文献情報

文献番号
201610021A
報告書区分
総括
研究課題名
ベーチェット病に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-054
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
水木 信久(横浜市立大学 医学研究科 視覚器病態学)
研究分担者(所属機関)
  • 石ヶ坪 良明(横浜市立大学 医学研究科 病態免疫制御内科学)
  • 広畑 俊成(北里大学医学部 膠原病・感染内科学)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学医学部 衛生学)
  • 蕪城 俊克(東京大学医学部付属病院 眼科学)
  • 後藤 浩(東京医科大学 眼科学)
  • 中村 晃一郎(埼玉医科大学 皮膚科学)
  • 齋藤 和義(産業医科大学医学部第一内科学 膠原病リウマチ内科学)
  • 南場 研一(北海道大学医学研究科 眼科学)
  • 久松 理一(杏林大学医学部第3内科学 消化器内科学)
  • 菊地 弘敏(帝京大学医学部 内科学)
  • 井上 詠(慶應義塾大学病院 予防医療)
  • 岳野 光洋(日本医科大学 アレルギー膠原病内科学)
  • 澁谷 悦子(横浜市立大学 医学研究科 視覚器病態学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
6,533,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班ではベーチェット病(BD)の体系的な疾患概念の確立、疫学統計、また臨床症状、治療法やその効果などに及ぶ臨床実態調査を行い、それに基づいた診療ガイドラインの作成を主な目的としている。平成26年度に診療ガイドライン作成のために、眼病変および内科系(疫学、特殊型[腸管、血管、神経]、皮膚)ワーキンググループ(WG)を立ち上げ、クリニカルクエスチョン(CQ)、推奨文、推奨度の決定、解説文の作成などを行ってきた。平成28年度からは、新たな分野として小児科医(小児ベーチェット病ガイドラインの作成)とBD診療に携わっている各科の専門医、そして患者の声を反映するために、患者友の会の会員の方にもメンバーとして参加して頂き、より深く広い視野で臨床に即した充実した内容のガイドラインの完成を目指している。
研究方法
これまでに作成した各CQに対し、推奨文とその解説などを各担当医が作成し、メール会議や分科会会議、全体会議などで検討を重ね、厳選したものを『ベーチェット病診療ガイドライン(案)2016』としてとりまとめた。
結果と考察
各CQに対するフォーマルコンセンサスの形成法(フォーマルな合意形成方法)は、当初Delphi法で用いることを検討していたが、エビデンスレベルの高い臨床試験や学術論文などが少ないベーチェット病においては、round table discussionによる合意形成や同意度の検討が重要と考えられたため、Consensus Development Conferenceに即した合意形成会議により行った。
すなわち、検討すべきCQについて、パネル全体が参加する会議で、各パネルが互いに許容可能な合意を作る義務を負わされて、文献検索・文献レビュー、プレゼンテーション、全体会議での議論を行い、それらの結果を経て推奨への合意形成を得て終了とした。ただし、その後の推奨に対する同意度の集計は、後日無記名の投票にて行い、集計結果から平均値を算出し、推奨度決定の参考材料とした。平成28年度は全体のCQの収集、推奨文とその解説の作成などはほぼ完了し、全体の整合性を整えるため、統一した文言や表記の確認を行った。今後は推奨の強さや同意度を完成させていく。
結論
本ガイドラインの特徴としては、写真を掲載したり、診断、治療のフローチャートを載せたりして、フォーマルコンセンサスへの解説を充実させ、どの科の医師がみても理解できるガイドラインとして完成させる予定である。臨床現場で標準医療のバイブルとして有効に活用されることが期待される。
本ガイドラインは、厚生労働省科学研究補助金で運営しているベーチェット病研究班HP(http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~behcet/)および現在申請中の日本ベーチェット病学会HPにて公開する。また、日本医療機能評価機構のMinds(マインズ)ガイドラインセンターHP(http://minds.jcqhc.or.jp/n/#)での公開も行う予定である。さらに、厚生労働省の難病情報センター|ベーチェット病HP(http://www.nanbyou.or.jp/entry/187)および日本リウマチ学会、日本眼科学会および日本皮膚科学会などの関連学会からのリンクも貼る予定である。

公開日・更新日

公開日
2017-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201610021B
報告書区分
総合
研究課題名
ベーチェット病に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-054
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
水木 信久(横浜市立大学 医学研究科 視覚器病態学)
研究分担者(所属機関)
  • 石ヶ坪 良明(横浜市立大学 医学研究科 病態免疫制御内科学)
  • 広畑 俊成(北里大学医学部 膠原病・感染内科学)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学医学部 衛生学)
  • 蕪城 俊克(東京大学医学部付属病院 眼科学)
  • 後藤 浩(東京医科大学 眼科学)
  • 中村 晃一郎(埼玉医科大学 皮膚科学)
  • 齋藤 和義(産業医科大学医学部第一内科学 膠原病リウマチ内科学)
  • 南場 研一(北海道大学医学研究科 眼科学)
  • 久松 理一(杏林大学医学部第3内科学 消化器内科学)
  • 菊地 弘敏(帝京大学医学部 内科学)
  • 井上 詠(慶應義塾大学病院 予防医療)
  • 岳野 光洋(日本医科大学 アレルギー膠原病内科学)
  • 澁谷 悦子(横浜市立大学 医学研究科 視覚器病態学)
  • 桑名 正隆(日本医科大学 アレルギー膠原病内科学)
  • 長堀 正和(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器内科)
  • 山根 敬浩(横浜市立大学付属病院 眼科学)
  • 岩渕 和也(北里大学医学部 免疫学)
  • 鈴木 登(聖マリアンナ医科大学 免疫・病害動物学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班ではベーチェット病(BD)に関する疾患概念の確立、疫学統計や、臨床症状、治療法やその効果などに及ぶ臨床実態調査を行い、それに基づいた診療ガイドラインの作成を主な目的とし活動している。
研究方法
1. ガイドライン作成のための研究体制の構築、2. 疫学調査、3.厚労省のベーチェット病概要の改訂およびベーチェット病診断基準の改訂、4.重症度分類の改訂、5.BD臨床調査個人票の改訂、6.Minds方式に則った診療ガイドラインの作成、7.海外の診断基準との比較、整合性の調整、8. 眼病変に対するインフリキシマブ(IFX)適応基準、離脱基準、および薬理動態に基づく治療計画を含めた適正治療指針の整備、9.移行期医療、小児ベーチェット病診療ガイドラインの作成開始、10.患者への広報活動
結果と考察
平成26年に本研究申請時は前任の石ヶ坪班の構成メンバーをほぼそのまま引き継ぎ、眼科、リウマチ内科、皮膚科医に加え、基礎の免疫遺伝学者も含まれていた。厚労省の方針が診療ガイドライン作成に特化した研究班であることが明確に示されたのを受けて、基礎研究者を削減し、逐次臨床医のメンバーを増員した。難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班との共同研究体制を石ヶ坪-渡辺ラインより水木-鈴木ラインへ移行したのをはじめ、心臓血管外科医、小児科医など研究メンバーに組み入れた。そのなかで各病変の治療アルゴリズムを作成し、クリニカルクエスチョン(CQ)と、それらに対する推奨文と解説を作成し、推奨に対するエビデンスレベルや同意度なども検討した。平成28年度までに約170個にわたるCQに対してベーチェット病診療ガイドラインの草案が出来上がっている。
結論
本ガイドラインはBDの疫学実態調査から診断、治療に至る全ての分野が網羅されている。Minds形式に則った実用性の高いガイドラインであるため、BD専門医以外でも適切にBDの診断と治療が施せるようになり、どの医療施設においても、全てのBD患者が同レベルの診療が受けられる標準化医療が可能となる。また、現状の患者に則した重症度分類を明確にすることにより、患者の病勢の的確な分類がなされ、病勢に適した医療費補助や生活保護を段階的に規定することが可能となる。また、近年開発承認されたインフリキシマブ(IFX)やアダリムマブ(ADA)に関する治療の臨床データも蓄積されており、今後、それらを基にしたBD診療ガイドラインの追記、改定が大切である。現在作成中のBD診療ガイドラインを完成し、その後も定期的に改定することにより、up-to-dateで実用性の高いガイドラインが提供され、BDの標準化医療が可能となる。

公開日・更新日

公開日
2017-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201610021C

収支報告書

文献番号
201610021Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,492,000円
(2)補助金確定額
8,492,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,563,629円
人件費・謝金 407,762円
旅費 1,666,619円
その他 1,079,058円
間接経費 1,959,000円
合計 8,676,068円

備考

備考
自己資金 184,068円

公開日・更新日

公開日
2018-03-19
更新日
-