文献情報
文献番号
201610013A
報告書区分
総括
研究課題名
小児期からの希少難治性消化管疾患の移行期を包含するガイドラインの確立に関する研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-045
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
田口 智章(九州大学 医学研究院)
研究分担者(所属機関)
- 松藤 凡(聖路加国際大学 聖路加国際病院)
- 松浦 俊治(九州大学 大学院医学研究院)
- 家入 里志(鹿児島大学 学術研究院医歯学域医学系)
- 小幡 聡(九州大学 大学病院)
- 内田 恵一(三重大学 医学部付属病院)
- 位田 忍(地方独立法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター)
- 虫明 聡太郎(近畿大学 医学部奈良病院)
- 田尻 達郎(京都府立医科大学 医学研究科)
- 臼井 規朗(地方独立法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター)
- 藤野 明浩(国立研究開発法人国立成育医療研究センター)
- 義岡 孝子(国立研究開発法人国立成育医療研究センター)
- 小田 義直(九州大学 大学院医学研究院)
- 上野 豪久(大阪大学 大学院医学系研究科)
- 尾花 和子(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育病院)
- 北岡 有喜(独立行政法人国立病院機構 京都医療センター臨床研究センター)
- 中島 淳(横浜市立大学 医学研究科)
- 村永 文学(鹿児島大学 医学部 歯学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
17,893,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
小児期からの希少難治性消化管疾患である、ヒルシュスプルング(H)類縁疾患、H病、非特異性多発性小腸潰瘍症、先天性吸収不全症、仙尾部奇形腫、腹部リンパ管腫は、指定難病の4条件を満たすものが多いものの未だ指定されていないものが多い。そのため診断基準や重症度分類や診療ガイドラインの確立が急務である。
この研究では、H26年度に新規調査と追加調査の必要な疾患の全国調査を関連学会と連携して行い、調査が終了している領域はガイドラインの作成開始。H27-H28年度は症例の分析、疾患別に学会と連携し診断基準、重症度、ガイドラインを確立する。ガイドライン作成に際してはMindsの指導を仰ぐ。さらに疾患登録と長期フォローアップ体制を構築する。
この研究では、H26年度に新規調査と追加調査の必要な疾患の全国調査を関連学会と連携して行い、調査が終了している領域はガイドラインの作成開始。H27-H28年度は症例の分析、疾患別に学会と連携し診断基準、重症度、ガイドラインを確立する。ガイドライン作成に際してはMindsの指導を仰ぐ。さらに疾患登録と長期フォローアップ体制を構築する。
研究方法
6つの疾患群について、全国調査未実施の疾患群、追加調査が必要な疾患群の調査研究を実施する。かなり専門的で特殊な疾患のため、関連5学会の代表すべてを分担研究者とし、悉皆性の高い調査および情報交換が容易に行える協力体制を構築する。
さらに疾患横断的に8つのグループがそれぞれの疾患グループに情報提供や検体の検証を行い、学会がauthorizeする診断基準、重症度分類、ガイドラインを作成する。
さらに疾患横断的に8つのグループがそれぞれの疾患グループに情報提供や検体の検証を行い、学会がauthorizeする診断基準、重症度分類、ガイドラインを作成する。
結果と考察
(1)H類縁:今年度はガイドライン作成を行い2016年11月に詳細版および実用版が完成。また、全国調査の結果は英文論文として世界に発信された。(Taguchi T, et al. Asian J Surg 2017)
(2)H病:今年度は全国調査の詳細な解析を行ない英文論文として世界に発信。(Taguchi T, et al. Pediatr Surg Int, 2017)ガイドライン作成は今年度本格的にスタートし、SCOPE策定とSRが終了し、現在推奨文の作成中である。類縁疾患とあわせたガイドラインを来年度に出版予定。
(3)非特異性多発性小腸潰瘍:この班の調査により小児例の実態が明らかになり遺伝子解析を含めて英文論文として世界に発信した。(Uchida K, et al. J Pediatr Gastroenterol Nut, 2016).
また、成人のAMED研究班(研究代表者:松本主之)と連携しアトラスを完成。
(4)先天性吸収不全症:全国一次調査の結果から、症例数の多い7疾患(先天性クロール下痢症(CCD)、Shwachman-Diamond症候群(SDS)、原発性腸リンパ管拡張症(PIL)、自己免疫腸症・IPEX症候群(IPEX)、およびミトコンドリア呼吸鎖異常症腸症(MRCD腸症)、多発性内分泌腺腫症(MEN)、および乳児難治性下痢症(IDI))に対して二次調査を行い、そのうちの5疾患の治療と予後に関するシステマティックレビュー(SR)を行った。今回の調査研究において、乳児難治性下痢症(IDI)が今後指定難病として認定されるべき疾患であることが明確にされ、今後当研究をもとにIDIを含む乳幼児期に発症する慢性下痢症と周辺疾患を対象とした診療指針の作成を目指すこととした。
(5)仙尾部奇形腫:診断基準、重症度を学会承認され、平成27年1月に新規小慢に指定された。ガイドラインはMindsの指針に基づき、CQを6題作成し、5名のガイドライン作成チームと、7名のシステマティックレビーチームにより、平成28年11月21日 仙尾部奇形腫診療ガイドライン案完成。その後改版を重ねて、外部評価を依頼している。HPにガイドラインを公開予定である。
(6)腹部リンパ管腫・リンパ管腫症:リンパ管腫・リンパ管腫症の診断基準等を作成し学会承認を得て、平成27年1月に新規小慢の慢性呼吸器疾患として呼吸障害を生ずるリンパ管腫・リンパ管腫症が新たに認定された。また平成27年7月にリンパ管腫/ゴーハム病が難病指定された。ガイドラインは臼井班、三村班と合同でリンパ管奇形診療ガイドラインとして平成28年度末に発行見込み。
また、Web登録が開始され約1700例の症例登録がなされ、当研究の成果を情報公開。
(7)疾患横断的な研究として「小腸移植の適応や体制づくり」「移行期ならびに成人期の対応」「疾患登録やフォローアップ体制の構築」も進めている。
(2)H病:今年度は全国調査の詳細な解析を行ない英文論文として世界に発信。(Taguchi T, et al. Pediatr Surg Int, 2017)ガイドライン作成は今年度本格的にスタートし、SCOPE策定とSRが終了し、現在推奨文の作成中である。類縁疾患とあわせたガイドラインを来年度に出版予定。
(3)非特異性多発性小腸潰瘍:この班の調査により小児例の実態が明らかになり遺伝子解析を含めて英文論文として世界に発信した。(Uchida K, et al. J Pediatr Gastroenterol Nut, 2016).
また、成人のAMED研究班(研究代表者:松本主之)と連携しアトラスを完成。
(4)先天性吸収不全症:全国一次調査の結果から、症例数の多い7疾患(先天性クロール下痢症(CCD)、Shwachman-Diamond症候群(SDS)、原発性腸リンパ管拡張症(PIL)、自己免疫腸症・IPEX症候群(IPEX)、およびミトコンドリア呼吸鎖異常症腸症(MRCD腸症)、多発性内分泌腺腫症(MEN)、および乳児難治性下痢症(IDI))に対して二次調査を行い、そのうちの5疾患の治療と予後に関するシステマティックレビュー(SR)を行った。今回の調査研究において、乳児難治性下痢症(IDI)が今後指定難病として認定されるべき疾患であることが明確にされ、今後当研究をもとにIDIを含む乳幼児期に発症する慢性下痢症と周辺疾患を対象とした診療指針の作成を目指すこととした。
(5)仙尾部奇形腫:診断基準、重症度を学会承認され、平成27年1月に新規小慢に指定された。ガイドラインはMindsの指針に基づき、CQを6題作成し、5名のガイドライン作成チームと、7名のシステマティックレビーチームにより、平成28年11月21日 仙尾部奇形腫診療ガイドライン案完成。その後改版を重ねて、外部評価を依頼している。HPにガイドラインを公開予定である。
(6)腹部リンパ管腫・リンパ管腫症:リンパ管腫・リンパ管腫症の診断基準等を作成し学会承認を得て、平成27年1月に新規小慢の慢性呼吸器疾患として呼吸障害を生ずるリンパ管腫・リンパ管腫症が新たに認定された。また平成27年7月にリンパ管腫/ゴーハム病が難病指定された。ガイドラインは臼井班、三村班と合同でリンパ管奇形診療ガイドラインとして平成28年度末に発行見込み。
また、Web登録が開始され約1700例の症例登録がなされ、当研究の成果を情報公開。
(7)疾患横断的な研究として「小腸移植の適応や体制づくり」「移行期ならびに成人期の対応」「疾患登録やフォローアップ体制の構築」も進めている。
結論
①5つの疾患群(H類縁、H病、先天性吸収不全症、仙尾部奇形腫、腹部リンパ管腫)でガイドライン作成に着手し、4つの疾患群(H類縁、H病、仙尾部奇形腫、腹部リンパ管腫)でガイドラインがほぼ完成。
②2つの疾患群(H病、先天性吸収不全症)は全国調査と分析を遂行した。先天性吸収不全症は分類の問題点が浮き彫りになり今後の研究につなげる。
③非特異性多発性小腸潰瘍症は成人例との連携と小児例での遺伝子解析と英文論文発表を行った。
④疾患横断的研究も順調に進んでいる。
②2つの疾患群(H病、先天性吸収不全症)は全国調査と分析を遂行した。先天性吸収不全症は分類の問題点が浮き彫りになり今後の研究につなげる。
③非特異性多発性小腸潰瘍症は成人例との連携と小児例での遺伝子解析と英文論文発表を行った。
④疾患横断的研究も順調に進んでいる。
公開日・更新日
公開日
2017-06-08
更新日
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