小児期からの希少難治性消化管疾患の移行期を包含するガイドラインの確立に関する研究

文献情報

文献番号
201610013A
報告書区分
総括
研究課題名
小児期からの希少難治性消化管疾患の移行期を包含するガイドラインの確立に関する研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-045
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
田口 智章(九州大学 医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 松藤 凡(聖路加国際大学 聖路加国際病院)
  • 松浦 俊治(九州大学 大学院医学研究院)
  • 家入 里志(鹿児島大学 学術研究院医歯学域医学系)
  • 小幡 聡(九州大学 大学病院)
  • 内田 恵一(三重大学 医学部付属病院)
  • 位田 忍(地方独立法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター)
  • 虫明 聡太郎(近畿大学 医学部奈良病院)
  • 田尻 達郎(京都府立医科大学 医学研究科)
  • 臼井 規朗(地方独立法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター)
  • 藤野 明浩(国立研究開発法人国立成育医療研究センター)
  • 義岡 孝子(国立研究開発法人国立成育医療研究センター)
  • 小田 義直(九州大学 大学院医学研究院)
  • 上野 豪久(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 尾花 和子(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育病院)
  • 北岡 有喜(独立行政法人国立病院機構 京都医療センター臨床研究センター)
  • 中島 淳(横浜市立大学 医学研究科)
  • 村永 文学(鹿児島大学 医学部 歯学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
17,893,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 小児期からの希少難治性消化管疾患である、ヒルシュスプルング(H)類縁疾患、H病、非特異性多発性小腸潰瘍症、先天性吸収不全症、仙尾部奇形腫、腹部リンパ管腫は、指定難病の4条件を満たすものが多いものの未だ指定されていないものが多い。そのため診断基準や重症度分類や診療ガイドラインの確立が急務である。
 この研究では、H26年度に新規調査と追加調査の必要な疾患の全国調査を関連学会と連携して行い、調査が終了している領域はガイドラインの作成開始。H27-H28年度は症例の分析、疾患別に学会と連携し診断基準、重症度、ガイドラインを確立する。ガイドライン作成に際してはMindsの指導を仰ぐ。さらに疾患登録と長期フォローアップ体制を構築する。
研究方法
 6つの疾患群について、全国調査未実施の疾患群、追加調査が必要な疾患群の調査研究を実施する。かなり専門的で特殊な疾患のため、関連5学会の代表すべてを分担研究者とし、悉皆性の高い調査および情報交換が容易に行える協力体制を構築する。
 さらに疾患横断的に8つのグループがそれぞれの疾患グループに情報提供や検体の検証を行い、学会がauthorizeする診断基準、重症度分類、ガイドラインを作成する。
結果と考察
(1)H類縁:今年度はガイドライン作成を行い2016年11月に詳細版および実用版が完成。また、全国調査の結果は英文論文として世界に発信された。(Taguchi T, et al. Asian J Surg 2017)
(2)H病:今年度は全国調査の詳細な解析を行ない英文論文として世界に発信。(Taguchi T, et al. Pediatr Surg Int, 2017)ガイドライン作成は今年度本格的にスタートし、SCOPE策定とSRが終了し、現在推奨文の作成中である。類縁疾患とあわせたガイドラインを来年度に出版予定。
(3)非特異性多発性小腸潰瘍:この班の調査により小児例の実態が明らかになり遺伝子解析を含めて英文論文として世界に発信した。(Uchida K, et al. J Pediatr Gastroenterol Nut, 2016).
 また、成人のAMED研究班(研究代表者:松本主之)と連携しアトラスを完成。
(4)先天性吸収不全症:全国一次調査の結果から、症例数の多い7疾患(先天性クロール下痢症(CCD)、Shwachman-Diamond症候群(SDS)、原発性腸リンパ管拡張症(PIL)、自己免疫腸症・IPEX症候群(IPEX)、およびミトコンドリア呼吸鎖異常症腸症(MRCD腸症)、多発性内分泌腺腫症(MEN)、および乳児難治性下痢症(IDI))に対して二次調査を行い、そのうちの5疾患の治療と予後に関するシステマティックレビュー(SR)を行った。今回の調査研究において、乳児難治性下痢症(IDI)が今後指定難病として認定されるべき疾患であることが明確にされ、今後当研究をもとにIDIを含む乳幼児期に発症する慢性下痢症と周辺疾患を対象とした診療指針の作成を目指すこととした。
(5)仙尾部奇形腫:診断基準、重症度を学会承認され、平成27年1月に新規小慢に指定された。ガイドラインはMindsの指針に基づき、CQを6題作成し、5名のガイドライン作成チームと、7名のシステマティックレビーチームにより、平成28年11月21日 仙尾部奇形腫診療ガイドライン案完成。その後改版を重ねて、外部評価を依頼している。HPにガイドラインを公開予定である。
(6)腹部リンパ管腫・リンパ管腫症:リンパ管腫・リンパ管腫症の診断基準等を作成し学会承認を得て、平成27年1月に新規小慢の慢性呼吸器疾患として呼吸障害を生ずるリンパ管腫・リンパ管腫症が新たに認定された。また平成27年7月にリンパ管腫/ゴーハム病が難病指定された。ガイドラインは臼井班、三村班と合同でリンパ管奇形診療ガイドラインとして平成28年度末に発行見込み。
 また、Web登録が開始され約1700例の症例登録がなされ、当研究の成果を情報公開。
(7)疾患横断的な研究として「小腸移植の適応や体制づくり」「移行期ならびに成人期の対応」「疾患登録やフォローアップ体制の構築」も進めている。
結論
①5つの疾患群(H類縁、H病、先天性吸収不全症、仙尾部奇形腫、腹部リンパ管腫)でガイドライン作成に着手し、4つの疾患群(H類縁、H病、仙尾部奇形腫、腹部リンパ管腫)でガイドラインがほぼ完成。
②2つの疾患群(H病、先天性吸収不全症)は全国調査と分析を遂行した。先天性吸収不全症は分類の問題点が浮き彫りになり今後の研究につなげる。
③非特異性多発性小腸潰瘍症は成人例との連携と小児例での遺伝子解析と英文論文発表を行った。
④疾患横断的研究も順調に進んでいる。

公開日・更新日

公開日
2017-06-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-06-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201610013B
報告書区分
総合
研究課題名
小児期からの希少難治性消化管疾患の移行期を包含するガイドラインの確立に関する研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-045
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
田口 智章(九州大学 医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 松藤 凡(聖路加国際大学 聖路加国際病院)
  • 松浦 俊治(九州大学 大学院医学研究院)
  • 家入 里志(鹿児島大学 学術研究院医歯学域医学系)
  • 小幡 聡(九州大学 大学病院)
  • 内田 恵一(三重大学 医学部付属病院)
  • 位田 忍(地方独立法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター)
  • 虫明 聡太郎(近畿大学 医学部奈良病院)
  • 田尻 達郎(京都府立医科大学 医学研究科)
  • 臼井 規朗(地方独立法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター)
  • 藤野 明浩(国立研究開発法人国立成育医療研究センター)
  • 義岡 孝子(国立研究開発法人国立成育医療研究センター)
  • 小田 義直(九州大学 大学院医学研究院)
  • 上野 豪久(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 尾花 和子(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育病院)
  • 北岡 有喜(独立行政法人国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター)
  • 中島 淳(横浜市立大学医学研究科)
  • 村永 文学(鹿児島大学 医学部 歯学部附属病院)
  • 牛島 高介(久留米大学医療センター)
  • 川原 央好(浜松医科大学)
  • 春間 賢(川崎医科大学)
  • 福土 審(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 福澤 正洋(医療法人社団 靖和会)
  • 窪田 昭男(和歌山県立医科大学)
  • 漆原 直人(静岡県立こども病院)
  • 渡邉 芳夫(大府あおぞら有床クリニック)
  • 住田 亙(あいち小児保健医療総合センター)
  • 金森 豊(国立研究開発法人国立成育医療研究センター)
  • 下島 直樹(都立小児総合医療センター)
  • 八木 実(久留米大学 医学部)
  • 上野 滋(東海大学 医学部)
  • 浜田 吉則(関西医科大学 外科学講座)
  • 増本 幸二(筑波大学 医学医療系)
  • 山高 篤行(順天堂大学)
  • 仁尾 正記(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 韮澤 融司(武蔵野陽和会病院)
  • 窪田 正幸(新潟大学 医歯学系)
  • 秋山 卓士(地方独立行政法人広島市立病院機構 広島市立広島市民病院)
  • 河野 美幸(金沢医科大学)
  • 本多 昌平(北海道大学病院)
  • 工藤 孝広(順天堂大学)
  • 松井 陽(聖路加国際大学)
  • 新井 勝大(国立研究開発法人国立成育医療研究センター)
  • 工藤 豊一郎(国立研究開発法人国立成育医療研究センター)
  • 米倉 竹夫(近畿大学 医学部奈良病院)
  • 土岐 彰(昭和大学 医学部)
  • 永田 公二(九州大学 大学病院(H26-27))
  • 田村 正徳(埼玉医科大学総合医療センター)
  • 左合 治彦(国立研究開発法人国立成育医療研究センター)
  • 小野 滋(自治医科大学)
  • 米田 光宏(地方独立行政法人 大阪市民病院機構 大阪市立総合医療センター)
  • 野坂 俊介(国立研究開発法人国立成育医療研究センター )
  • 宗崎 良太(九州大学 大学病院)
  • 岩中 督(埼玉県立小児医療センター)
  • 森川 康英(慶應義塾大学 医学部)
  • 小関 道夫(岐阜大学 医学部附属病院)
  • 松岡 健太郎(国立研究開発法人国立成育医療研究センター)
  • 木下 義晶(九州大学大学病院)
  • 北川 博昭(聖マリアンナ医科大学)
  • 前田 貢作(神戸大学 大学院医学研究科)
  • 奥山 宏臣(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 和田 基(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 古川 博之(旭川医科大学 医学部)
  • 上本 伸二(京都大学 大学院医学研究科)
  • 星野 健(慶應義塾大学 医学部)
  • 阪本 靖介(熊本大学 大学院)
  • 中澤 温子(中川 温子) (埼玉県立小児医療センター)
  • 玉井 浩(大阪医科大学)
  • 黒田 達夫(慶應義塾大学 医学部)
  • 藤井 喜充(関西医科大学)
  • 山田 佳之(群馬県立小児医療センター)
  • 澤口 聡子(国立保健医療科学院)
  • 岡本 悦司(福知山公立大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児期からの希少難治性消化管疾患である、ヒルシュスプルング(H)類縁、H病、非特異性多発性小腸潰瘍症、先天性吸収不全症、仙尾部奇形腫、腹部リンパ管腫は、指定難病の4条件を満たすものが多いものの未だ指定されていないものが多い。そのため診断基準や重症度分類や診療ガイドラインの確立が急務である。
研究方法
6つの疾患群について未調査の疾患は全国調査を行い、疾患別に学会と連携して診断基準、重症度、ガイドラインを確立すること、また疾患登録と長期フォローアップ体制の構築も目標とし遂行した。
結果と考察
(1)H類縁
H類縁7疾患の診断基準の策定を終了し、重症3疾患の診断基準、重症度を学会承認され、平成27年1月に新規小慢および難病に指定された。指定難病99:慢性特発性偽性腸閉塞症、指定難病100:巨大膀胱短小結腸腸管蠕動不全症、指定難病101:腸管神経節細胞僅少症、小児慢性特定疾病:慢性消化器疾患21:H病及び類縁疾患 (34.慢性特発性偽性腸閉塞症、35.巨大膀胱短小結腸腸管蠕動不全症、36.腸管神経節細胞僅少症)
ガイドライン作成は平成28年11月に詳細版および実用版が完成した。H病のガイドラインの完成を待って出版予定。
全国調査の結果は英文論文として世界に発信。(Taguchi T, et al. Asian J Surg, 2017)

(2)H病
本疾患の診断基準、重症度を学会承認され、平成27年1月に新規小慢および平成27年7月難病に指定された。指定難病291:H病(全結腸型又は小腸型)、小児慢性特定疾病:慢性消化器疾患21:H病及び類縁疾患(33.H病)
全国調査を実施し詳細な解析を行なった。小腸型の正常腸管が75cm未満の短腸となるものは極めて予後が悪く、新規治療の開発が必要である。全国調査の結果は英文論文として世界に発信。(Taguchi T, et al. PSI, 2017)
ガイドラインはSCOPE策定とSRが終了し、現在推奨文の作成中。

(3)非特異性多発性小腸潰瘍
指定難病および小慢に認定。指定難病290:非特異性多発性小腸潰瘍症、小児慢性特定疾病:慢性消化器疾患:6炎症性腸疾患(13.早期発症型炎症性腸疾患)
本邦における臨床像や治療の実態調査を行い、遺伝子解析を含めて英文論文として世界に発信した。(Uchida K, et al. JPGN 2016)

(4)先天性吸収不全症
疾患の分類整理と調査対象の決定を終了。一次調査の結果に基づき、症例数の比較的多かった、乳児難治性下痢症、ミトコンドリア呼吸鎖異常症、Shwachman-Diamond症候群、先天性クロール下痢症、原発性リンパ管拡張症、多発性内分泌腺腫症、IPEX症候群・自己免疫性腸症の7疾患に対して二次調査を行い、さらに治療と予後に関するシステマティックレビューを行った。
今回の調査研究において、乳児難治性下痢症(IDI)が今後指定難病として認定されるべき疾患であることが明確にされた。また分類について再検討の必要性が判明した。

(5)仙尾部奇形腫
診断基準、重症度を学会承認され、平成27年1月に新規小慢に指定された。小児慢性特定疾病:神経・筋疾患:2 仙尾部奇形腫(3.仙尾部奇形腫)
ガイドラインは、平成28年11月21日診療ガイドライン案完成、その後、改版を重ね外部評価を依頼している。今後、学会承認を経てHPにガイドラインを公開予定である。

(6)腹部リンパ管腫・リンパ管腫症
リンパ管腫・リンパ管腫症の診断基準等を作成し学会承認を得て、平成27年1月に新規小慢の慢性呼吸器疾患として呼吸障害を生ずるリンパ管腫・リンパ管腫症が新たに認定された。また平成27年7月にリンパ管腫/ゴーハム病が難病指定された。指定難病277:リンパ管腫/ゴーハム病、小児慢性特定疾病:慢性呼吸器疾患:11 ンパ管腫・リンパ管腫症。しかし腹部リンパ管腫は未指定。
ガイドラインは臼井班、三村班と合同で「血管腫、血管奇形、リンパ管奇形診療ガイドライン」としてほぼ完成。疾患登録はWeb登録が開始され、成果を反映した情報公開も行っている。

(7)疾患横断的研究:「病理学的検討」、「小腸移植の適応や体制づくり」、「移行期ならびに成人期の対応」、「疾患登録やフォローアップ体制の構築」も成果をあげている。
結論
①5つの疾患群(H類縁、H病、先天性吸収不全症、仙尾部奇形腫、腹部リンパ管腫)でガイドライン作成に着手し、4つの疾患群(H類縁、H病、仙尾部奇形腫、腹部リンパ管腫)でガイドラインがほぼ完成。
②2つの疾患群(H病、先天性吸収不全症)は全国調査のフォーマットを作成し、調査を遂行。
③残る1つの疾患(非特異性多発性小腸潰瘍症)は成人例と連携しアトラスを完成、小児例の遺伝子解析と英文論文発表を行った。

公開日・更新日

公開日
2017-06-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-06-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201610013C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 小児期からの希少難治性消化管疾患の、H類縁、H病、非特異性多発性小腸潰瘍症、先天性吸収不全症、仙尾部奇形腫、腹部リンパ管腫6つの疾患群について、全国調査未実施の疾患群、追加調査が必要な疾患群の調査研究を実施。関連5学会の代表すべてを分担研究者とし、悉皆性の高い調査および情報交換が容易に行える協力体制を構築した。
 さらに疾患横断的な8つのグループが疾患グループに情報提供や検証を行い、学会がauthorizeするものを作成した。また疾患登録と長期フォローアップシステムの構築に着手した。
臨床的観点からの成果
5つの疾患群(H類縁、H病、先天性吸収不全症、仙尾部奇形腫、腹部リンパ管腫)でガイドライン作成に着手し、4つの疾患群(H類縁、H病、仙尾部奇形腫、腹部リンパ管腫)でガイドラインがほぼ完成した。2つの疾患群(H病、先天性吸収不全症)は全国調査を遂行した。残る1つの疾患(非特異性多発性小腸潰瘍症)は症例数が極めて少ないため成人研究班と連携をはかりアトラスを完成、小児例での遺伝子解析と英文論文発表を行った。
 長期的展望に立って疾患登録と長期フォローアップ体制の構築、移行期医療の検討もスタートした。
ガイドライン等の開発
5つの疾患群(H類縁、H病、先天性吸収不全症、仙尾部奇形腫、腹部リンパ管腫)でガイドライン作成に着手し、4つの疾患群(H類縁、H病、仙尾部奇形腫、腹部リンパ管腫)でガイドラインがほぼ完成した。2つの疾患群(H病、先天性吸収不全症)は全国調査を遂行した。残る1つの疾患(非特異性多発性小腸潰瘍症)は症例数が極めて少ないため成人研究班と連携をはかりアトラスを完成、小児例での遺伝子解析と英文論文発表を行った。
 長期的展望に立って疾患登録と長期フォローアップ体制の構築、移行期医療の検討もスタートした。
その他行政的観点からの成果
 H類縁7疾患のうち、重症3疾患が、平成27年1月に新規小慢および難病に指定された。H病は新規小慢および全結腸型と小腸型が難病に指定された。非特異性多発性小腸潰瘍は指定難病および小慢に指定。先天性吸収不全症は疾患群としてガイドライン化することは困難で適切ではないと判断した。一方、乳児難治性下痢症が今後指定難病として認定されるべき疾患であることが明確にされた。仙尾部奇形腫は新規小慢に指定された。腹部リンパ管腫・リンパ管腫症は新規小慢の慢性呼吸器疾患として指定されたが、腹部は未指定である。
その他のインパクト
 安倍総理が2013年5月19日に難病であるヒルシュスプルング病類縁疾患の研究の視察に九大病院を訪問され、マスコミに大きく取り上げられた。産経新聞の全国一面、Nature電子版に掲載され世界に発信された。また、各種学会およびシンポジウムで発表、公開された。その他、2015年より国立成育医療研究センターにて小児リンパ管疾患シンポジウムを年1回開催。九大では毎年短腸症の家族会を開催している。

発表件数

原著論文(和文)
7件
原著論文(英文等)
130件
その他論文(和文)
106件
その他論文(英文等)
10件
学会発表(国内学会)
168件
学会発表(国際学会等)
51件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Taguchi T, Ieiri S, Miyoshi K et al.
The incidence and outcome of allied disorders of Hirschsprung's disease in Japan: Results from a nationwide survey
Asian J Surg , 40 (1) , 29-34  (2017)
10.1016/j.asjsur.2015.04.004
原著論文2
Fuyuki A, Ohkubo H, Higurashi T et al.
Clinical importance of cine-MRI assessment of small bowel motility in patients with chronic intestinal pseudo-obstruction: a retrospective study of 33 patients
J Gastroenterol , 52 (5) , 577-584  (2017)
10.1007/s00535-016-1251-8
原著論文3
Uchida K, Nakajima A, Ushijima K et al.
Pediatric-onset Chronic Nonspecific Multiple Ulcers of Small Intestine: A Nationwide Survey and Genetic Study in Japan
J Pediatr Gastroenterol Nutr , 64 (4) , 565-568  (2017)
10.1097/MPG.0000000000001321
原著論文4
Nakazawa-Tanaka N, Miyahara K, Fujiwara N et al.
Three- and four-dimensional analysis of altered behavior of enteric neural crest derived cells in the Hirschsprung's disease mouse model
Pediatr Surg Int , 32 (1) , 3-7  (2016)
10.1007/s00383-015-3806-9
原著論文5
Imaizumi T, Murakami H, Nakamura H et al.
Rectal mucosal/submucosal biopsy under general anesthesia ensures optimum diagnosis of bowel motility disorders
Pediatr Surg Int , 32 (12) , 1173-1176  (2016)
原著論文6
Fumino S, Maniwa J, Takeuchi Y et al.
Surgical intervention and perioperative risk factors of retroperitoneal teratomas in children: a single institution experience
Pediatr Surg Int , 32 (9) , 909-914  (2016)
10.1007/s00383-016-3938-6
原著論文7
Kato H , Ozeki M, Fukao T et al.
Craniofacial CT findings of Gorham-Stout disease and generalized lymphatic anomaly
Neuroradiology , 58 (8) , 801-806  (2016)
10.1007/s00234-016-1691-0
原著論文8
Ozeki M, Hori T, Kanda K et al.
Everolimus for Primary Intestinal Lymphangiectasia With Protein-Losing Enteropathy
Pediatrics , 137 (3) , e20152562-  (2016)
10.1542/peds.2015-2562
原著論文9
Ozeki M, Fujino A, Matsuoka K et al.
Clinical Features and Prognosis of Generalized Lymphatic Anomaly, Kaposiform Lymphangiomatosis, and Gorham-Stout Disease
Pediatr Blood Cancer , 63 (5) , 832-838  (2016)
10.1002/pbc.25914
原著論文10
Kitaoka Y
Pocket Karte: Service for Managing Individual Healthcare, Medical, and Welfare Histories
New Breeze Summer 2016 , 13-16  (2016)
原著論文11
Ieiri S, Miyoshi K, Nagata K et al.
Current clinical features in diagnosis and treatment for immaturity of ganglia in Japan: analysis from 10-year nationwide survey
Pediatr Surg Int , 31 (10) , 949-954  (2015)
10.1007/s00383-015-3774-0
原著論文12
Budianto IR, Obata S, Kinoshita Y et al
Reevaluation of acetylcholinesterase staining for the diagnosis of Hirschsprung disease and allied disorders
J Pediatr Gastroenterol Nutr , 60 (5) , 606-612  (2015)
10.1097/MPG.0000000000000664.
原著論文13
Soh H, Fukuzawa M, Kubota A et al
Megacystis microcolon intestinal hypoperistalsis syndrome: A report of a nationwide survey in Japan
J Pediatr Surg , 50 (12) , 2048-2050  (2015)
10.1016/j.jpedsurg.2015.08.026.
原著論文14
Sakaguchi T,Hamada Y,Masumoto K et al
Segmental dilatation of the intestine: results of a nationwide survey in Japan
Pediatr Surg Int , 31 (11) , 1073-1076  (2015)
10.1007/s00383-015-3788-7.
原著論文15
Watanabe Y, Sumida W, Takasu H et al
Early jejunostomy creation in cases of isolated hypoganglionosis:verification of our own experience based on a national survey
Surg Today , 45 (12) , 1509-1512  (2015)
10.1007/s00595-015-1114-6.
原著論文16
Muto M, Matsufuji H, Muranaga F wt al
Data mined distinctive features of pediatric chronic idiopathic intestinal pseudo-obstruction in Japan
Pediat Therapeut , 5 (1)  (2015)
原著論文17
Suzuki R, Miyahara K, Murakami H wt al
Abnormal neural crest innervation in Sox10-Venus mice with all-trans retinoic acid-induced anorectal malformations
Pediatr Surg Int , 30 (2) , 189-195  (2014)
10.1007/s00383-013-3452-z.
原著論文18
Taguchi T, Kobayashi H, Kanamori Y et al
Isolated intestinal neuronal dysplasia Type B (IND-B) in Japan: results from a nationwide survey
Pediatr Surg Int , 30 (8) , 815-822  (2014)
10.1007/s00383-014-3542-6.
原著論文19
Muto M, Matsufuji H, Tomomasa T wt al
Pediatric chronic intestinal pseudo-obstruction is a rare, serious, and intractable disease: A report of a nationwide survey in Japan
J Pediatr Surg , 49 (12) , 1799-1803  (2014)
10.1016/j.jpedsurg.2014.09.025.
原著論文20
義岡孝子、中澤温子
Hirschsprung病とHirschsprung病類縁疾患の病理組織診断
診断病理 , 31 (4) , 283-290  (2014)

公開日・更新日

公開日
2017-06-20
更新日
2019-06-10

収支報告書

文献番号
201610013Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
22,279,000円
(2)補助金確定額
22,031,000円
差引額 [(1)-(2)]
248,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,300,856円
人件費・謝金 943,208円
旅費 8,212,569円
その他 5,188,410円
間接経費 4,386,000円
合計 22,031,043円

備考

備考
248,000円 返還

公開日・更新日

公開日
2018-03-09
更新日
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