文献情報
文献番号
201610012A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性血管炎に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-044
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
有村 義宏(杏林大学医学部/腎臓・リウマチ膠原病内科)
研究分担者(所属機関)
- 磯部 光章(東京医科歯科大学大学院 循環制御内科学)
- 赤澤 宏(東京大学大学院医学系研究科循環器内科学)
- 小室 一成(東京大学大学院医学系研究科循環器内科学)
- 種本 和雄(川崎医科大学心臓血管外科)
- 中岡 良和(国立循環器病研究センター研究所血管生理学部)
- 長谷川 均(愛媛大学大学院医学系研究科 血液・免疫・感染症内科学)
- 内田 治仁(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 CKD・CVD地域連携・心腎血管病態解析学講座)
- 岡崎 貴裕(聖マリアンナ医科大学 リウマチ•膠原病•アレルギー内科)
- 吉藤 元(京都大学大学院医学研究科 臨床免疫学)
- 針谷 正祥(東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター リウマチ性疾患薬剤疫学研究部門)
- 天野 宏一(埼玉医科大学総合医療センターリウマチ・膠原病内科)
- 伊藤 聡(新潟県立リウマチセンターリウマチ科)
- 勝又 康弘(東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター)
- 駒形 嘉紀(杏林大学医学部第一内科腎臓・リウマチ膠原病内科)
- 佐田 憲映(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学)
- 土橋 浩章(香川大学血液・免疫・呼吸器内科)
- 中山 健夫(京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学分野)
- 堀田 哲也(北海道大学大学院医学研究科免疫・代謝内科学分野)
- 本間 栄(東邦大学医学部内科学講座呼吸器内科学分野(大森)
- 和田 隆志(金沢大学医薬保健研究域医学系 血液情報統御学)
- 石津 明洋(北海道大学大学院保健科学研究院 病態解析学分野)
- 川上 民裕(聖マリアンナ医科大学 皮膚科)
- 菅野 祐幸(信州大学学術研究院医学系医学部病理組織学教室)
- 高橋 啓(東邦大学医療センター大橋病院病理診断科)
- 土屋 尚之(筑波大学医学医療系分子遺伝疫学)
- 宮崎 龍彦(岐阜大学医学部附属病院病理部)
- 藤元 昭一(宮崎大学医学部血液・血管先端医療学講座)
- 猪原 登志子(京都大学医学部附属病院 臨床研究総合センター 早期臨床試験部)
- 小林 茂人(順天堂大学医学部付属順天堂越谷病院内科学)
- 濱野 慶朋(東京都健康長寿医療センター 腎臓内科)
- 古田 俊介(千葉大学医学部附属病院アレルギー・膠原病内科)
- 高崎 芳成(順天堂大学膠原病内科)
- 要 伸也(杏林大学医学部第一内科腎臓・リウマチ膠原病内科)
- 杉山 斉(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科血液浄化療法人材育成システム開発学)
- 竹内 勤(慶慶應義塾大学リウマチ内科)
- 藤井 隆夫(和歌山県立医科大学附属病院 リウマチ膠原病科)
- 杉原 毅彦(東京都健康長寿医療センター 膠原病リウマチ科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
16,695,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
血管炎は血管壁の炎症を基盤としてもたらされる多臓器障害性の難病で、その治療法は依然として確立していない。稀少疾患であるため、しばしば診断が遅れ、腎、肺などの重要臓器に障害を来し重篤となる。本研究班の目標は、このような難治性血管炎に関して、1)診断基準、重症度分類の策定、2)診療ガイドラインの策定、3)診療ガイドラインの検証を行い、これらを国民、医療者に広く普及し、わが国の血管炎診療の向上に貢献することである。
研究方法
血管炎が稀少性・多臓器疾患であることを考慮し、本研究班では全国各地域の血管炎診療に携わる主要施設の膠原病内科医、腎臓内科医、循環器内科医、呼吸器内科医、皮膚科医、血管外科医、病理医、放射線医などが班員となり、関連する学会や厚労省研究班、関連するAMED班と緊密な連携をとり、オールジャパン体制で研究を遂行した。本研究班の組織は、血管炎登録・ガイドライン作成・普及推進委員会(班長、各分科会長)のもとに、1)大型血管炎臨床分科会(分科会長:磯部)、2)中・小型血管炎臨床分科会(分科会長:針谷)、3)臨床病理分科会(分科会長:石津)、4)国際協力分科会(分科会長:藤元)、5)横断協力分科会(分科会長:高崎)の5つの分科会で構成されている。各分科会は連携し班全体で研究を施行し、さらに質の高いエビデンスに基づいたガイドライン作成のため、「AMED難治性血管炎診療のエビデンス構築のための戦略的研究班(研究開発代表者 有村義宏)」と「AMED:ANCA関連血管炎の新規治療薬開発を目指す戦略的シーズ探索と臨床的エビデンス構築研究班(研究開発代表者 針谷正祥)」との緊密な連携の基に施行した。
結果と考察
平成28年度は、血管炎疾患のうち指定難病である9疾患(高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、バージャー病、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、悪性関節リウマチ、抗リン脂質抗体症候群)の診断基準、重症度分類などに関連する臨床調査個人票の修正作業を行った。また、血管炎の分類(CHCC2012 分類)に関する用語の日本語名称を提唱し日本医学会で正式に認可されて本班のホームぺージに掲載した。各分科会の主な研究状況として、1)大型血管炎臨床分科会では、他の分科会の協力のもとに循環器学会と合同研究で大型血管炎を中心とした血管炎診療ガイドラインの改訂作業を行った。また、関連するAMED班と連携し高安動脈炎、巨細胞性動脈炎に関する多施設臨床研究(前向き、後ろ向き)研究を施行した。2)中小型血管炎臨床分科会では、各分科会と連携しANCA関連血管炎の診療ガイドラインの作成し発刊した(GRADE法による作成は本班、概説部は厚労省難治性腎疾患に関する調査研究班および厚労省難治性びまん性肺疾患に関する調査研究班との合同研究)。また、関連するAMED班と連携してANCA関連血管炎に関するリツキシマブ治療の関する臨床研究(前向き)を施行した。3)臨床病理分科会では、ウェブ版血管炎病理アトラスを作成し当班のホームぺージに掲載した。また、血管炎に関する病理診断のエキスパートオピニオンを求めることができるコンサルテーションシステムを構築し、実施を開始した。4)国際研究分科会では、ANCA関連血管炎に関する国際研究(再発性ANCA関連血管炎の寛解維持療法におけるリツキシマブとアザチオプリンのランダム化比較試験:RITAZAREM)に参加し登録作業を終了した。また、平成29年3月に本班が中心となり東京で第18回国際血管炎・ANCA学会(大会長:有村義宏)を開催した。本学会には、わが国を含め世界39ヵ国から738名が参加し、本班の成果を発信するとともに、わが国および世界の血管炎研究の基礎・臨床研究の発展に貢献した。5)横断協力分科会では、本班のホームページをWeb上に設立し(http://www.vas-mhlw.org/)し国民や医師への血管炎の概念、診断ガイドラインの普及に貢献すると共に、関連する学会で血管炎に関する発表を企画し実施した。
本研究の成果は、患者の生活の質を向上、さらに医療費の削減にも貢献できるものと期待される。また、我が国の血管炎の専門医、非専門医の双方にとって、難治性血管炎の診療の質、予後改善に有用と思われた。さらに、国際研究に参加し、本班が後援し我が国で開催された血管炎に関して世界で最も権威のある国際学会に於いて、本班の成果や我が国の最新の知見を会議で発表・討議したことは、我が国および世界の診療レベル向上に貢献できたと思われた。
本研究の成果は、患者の生活の質を向上、さらに医療費の削減にも貢献できるものと期待される。また、我が国の血管炎の専門医、非専門医の双方にとって、難治性血管炎の診療の質、予後改善に有用と思われた。さらに、国際研究に参加し、本班が後援し我が国で開催された血管炎に関して世界で最も権威のある国際学会に於いて、本班の成果や我が国の最新の知見を会議で発表・討議したことは、我が国および世界の診療レベル向上に貢献できたと思われた。
結論
本研究の成果は、我が国の難治性血管炎の診療の質、予後改善に寄与するとともに、患者の生活の質を向上、さらに医療費の削減にも貢献できるものと期待される。
公開日・更新日
公開日
2017-06-06
更新日
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