特発性心筋症に関する調査研究

文献情報

文献番号
201610011A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性心筋症に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-043
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
筒井 裕之(九州大学大学院 医学研究院 循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 久保田 功(山形大学 医学部 内科学第一講座循環器内科学)
  • 下川 宏明(東北大学大学院 医学研究科 循環器内科学)
  • 永井 良三(自治医科大学 循環器内科学)
  • 小室 一成(東京大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
  • 赤澤 宏(東京大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
  • 福田 恵一(慶応義塾大学 医学部 循環器内科学)
  • 磯部 光章(東京医科歯科大学 大学院医歯学 総合研究科 循環制御内科学)
  • 後藤 雄一(国立精神・神経医療研究センター 疾病研究第二部 小児神経学)
  • 室原 豊明(名古屋大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
  • 山岸 正和(金沢大学 医薬保健研究域医学系 循環医科学専攻 臓器機能制御学 循環器内科学)
  • 木村 剛(京都大学大学院 医学研究科 循環器内科学)
  • 坂田 泰史(大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
  • 北風 政史(国立循環器病研究センター 臨床研究部 循環器内科学)
  • 安斉 俊久(国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門 循環器内科学)
  • 斎藤 能彦(奈良県立医科大学 第一内科 循環器内科学)
  • 矢野 雅文(山口大学医学部付属病院 循環器内科学)
  • 井手 友美(九州大学大学院 医学研究院 循環器内科学)
  • 絹川 真太郎(北海道大学大学院 医学研究科 循環病態内科学)
  • 松島 将士(九州大学大学院 医学研究院 循環器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
16,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、1974年に旧厚生省特定疾患調査研究班として、特発性心筋症の疫学・病因・診断・治療を明らかにすべく設立され、その後約40年間継続して本領域での進歩・発展に大きく貢献してきた。医学の進歩による特発性心筋症の病因・病態が明らかにされるにつれ、2000年にESCやAHAで新たな分類定義が提唱されたが、我が国独自の新たなエビデンスを収集、分析、評価し、診療に応用することが必要である。この様な状況で、本研究班では心筋症の実態を把握し、日本循環器学会、日本心不全学会と連携し、診断基準や診療ガイドラインの確立を目指し、研究成果を広く診療へ普及し、医療水準の向上を図ること、さらに、研究成果の社会への還元を行うことを目的としている。
研究方法
これまで研究班で行ってきた研究の継続と新たなエビデンスを創出する2つの研究を大きな柱とし、全体研究、サブグループ研究、個別研究の3層で研究を進めた。
I. 全体研究
心筋症症例登録研究の継続、特定疾患治療研究事業における臨床個人調査表を用いた心筋症の調査研究システムの構築、日本循環器学会診療実態調査JROADデータ解析に取り組んだ。
心筋症および心不全に関連したガイドラインおよび提言を策定した。
II. サブグループ研究
①わが国における拡張相肥大型心筋症を対象とした登録観察研究(27年度途中よりAMED難治性疾患実用化研究としても継続)、②心筋症を基礎とする心不全患者の予後を推定する予測式の構築、③心筋症患者を対象とした栄養状態・運動能力調査および栄養・運動の包括的な介入プログラムの開発の3テーマに取り組んだ。
III. 個別研究
各分担研究者が特発性心筋症の発症関連要因・予防要因や重症化の危険因子、予後関連因子を多面的に解明する研究に取り組んだ。
結果と考察
研究班全体で全体研究、サブグループ研究、個別研究の3層の研究に取り組んできた。全体研究では症例登録数の増加や解析、ガイドラインおよび治療の指針を作成した。サブグループ研究は計画通り順調に進んでいる。これらの研究を通して、引き続きさらに多くのエビデンスの構築およびガイドラインの改訂を目指す。
平成27年度に、難病指定制度が変更され、それに併せて特発性心筋症の重症度を新たに作成した。重症度分類は、現在難病認定に用いられており、診療への普及という点で一定の役割を果たしていると考えるが、今後は作成した重症度分類の評価が必要である。本研究班によって2004年1月から2005年6月に心筋症を含む心不全患者を対象とした全国規模のレジストリー研究(JCARE-CARD)からすでに10年以上が経過した。わが国の心不全治療や患者背景の変遷、新たな予後予測マーカーを含めてさらなる大規模レジストリーの登録事業を準備中である。
本研究班の重要な役割の一つとして、定期的な難病情報センターのホームページ改訂や市民公開講座を行うが挙げられる。今後も研究結果を幅広く国民に情報発信していくことが重要である。
結論
全体研究、サブグループ研究、個別研究をそれぞれ推進した。また、研究結果を診療や社会へ普及させる取り組みを行った。

公開日・更新日

公開日
2017-06-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201610011B
報告書区分
総合
研究課題名
特発性心筋症に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-043
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
筒井 裕之(九州大学大学院 医学研究院 循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 久保田 功(山形大学 医学部 内科学第一講座)
  • 下川 宏明(東北大学大学院 医学研究科 循環器内科)
  • 永井 良三(自治医科大学 )
  • 小室 一成(東京大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
  • 赤澤 宏(東京大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
  • 福田 恵一(慶応義塾大学 医学部 循環器内科学)
  • 磯部 光章(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 循環器制御学)
  • 後藤 雄一(国立精神・神経医療研究センター 疾病研究第二部 小児神経学)
  • 室原 豊明(名古屋大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
  • 山岸 正和(金沢大学医薬保健研究域医学系 循環医科学専攻)
  • 木村 剛(京都大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
  • 坂田 泰史(大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
  • 北風 政史(国立循環器病研究センター 臨床研究部)
  • 安斉 俊久(国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門)
  • 斎藤 能彦(奈良県立医科大学 第一内科)
  • 矢野 雅文(山口大学医学部付属病院 循環器内科学)
  • 井手 友美(九州大学大学院 医学研究院 循環器内科学)
  • 絹川 真太郎(北海道大学大学院 医学研究科 循環動態内科学)
  • 松島 将士(九州大学大学院 医学研究院 循環器内科学)
  • 中谷 武嗣(国立循環器病研究センター 移植部 )
  • 砂川 賢二(九州大学大学院 医学研究院 循環器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
代表者:筒井裕之が、7月1日より 北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学から九州大学大学院医学研究院循環器内科学へ 異動となった。

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、1974年に旧厚生省特定疾患調査研究班として、特発性心筋症の疫学・病因・診断・治療を明らかにすべく設立され、その後約40年間継続して本領域での進歩・発展に大きく貢献してきた。本研究班では心筋症の実態を把握し、日本循環器学会、日本心不全学会と連携し、診断基準や診療ガイドラインの確立を目指し、研究成果を広く診療へ普及し、医療水準の向上を図ること、さらに、研究成果の社会への還元を行うことを目的としている。
研究方法
これまで研究班で行ってきた研究の継続と新たなエビデンスを創出する2つの研究を大きな柱とし、全体研究、サブグループ研究、個別研究の3層で研究を進めた。
I. 全体研究
心筋症症例登録研究の継続、特定疾患治療研究事業における臨床個人調査表を用いた心筋症の調査研究システムの構築、日本循環器学会診療実態調査JROADデータ解析に取り組んだ。
心筋症および心不全に関連したガイドラインおよび提言を策定した。
II. サブグループ研究
①わが国における拡張相肥大型心筋症を対象とした登録観察研究(27年度途中よりAMED難治性疾患実用化研究としても継続)、②心筋症を基礎とする心不全患者の予後を推定する予測式の構築、③心筋症患者を対象とした栄養状態・運動能力調査および栄養・運動の包括的な介入プログラムの開発の3テーマに取り組んだ。
III. 個別研究
各分担研究者が特発性心筋症の発症関連要因・予防要因や重症化の危険因子、予後関連因子を多面的に解明する研究に取り組んだ。
結果と考察
I.全体研究
①本年度はそれぞれの研究を継続、推進した。拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症の臨床個人調査票のデータベースを用いた解析作業を行った。日本循環器学会診療実態調査JROADデータについても解析をすすめた。
②研究成果の診療への普及および医療水準向上のため、心筋症関連のガイドラインの策定を行った。特に本年度は特発性心筋症との鑑別が重要とされる『心臓サルコイドーシスガイドライン』を策定し、『高齢心不全患者の治療に関するステートメント』『心臓移植に関する提言』をまとめた。さらに、『拡張型心筋症ガイドライン』、『肥大型心筋症ガイドライン』、『急性・慢性心不全ガイドライン』改訂作業を開始した。
③わが国における拡張相肥大型心筋症を対象とした登録観察研究(27年度途中よりAMED難治性疾患実用化研究へ移行)では登録作業をすすめ、45症例登録された。

II.サブグループ研究
①心筋症を基礎とする心不全患者の予後を推定する予測式の構築
先行研究のデータベースを統合し、解析作業をすすめた。
②心筋症患者を対象とした栄養状態・運動能力調査および栄養・運動の包括的な介入プログラムの開発
登録症例は156例に上り、1年後の予後調査が行われた。心筋症患者の理想的な食事に関して具体的内容がまとまった。

III.個別研究
各分担研究者が特発性心筋症の発症関連要因・予防要因や重症化の危険因子、予後関連因子を多面的に解明する研究を行い、進捗状況は毎年の班会議で報告された。

IV.診療への普及と患者・社会への還元
難病情報センターのホームページを適宜改訂し、特発性心筋症の詳細な情報公開を行った。日本心不全学会、日本リハビリテーション学会と連携し、市民公開講座を行うことで、本研究班の研究結果を幅広く情報発信した。

研究班全体で全体研究、サブグループ研究、個別研究の3層の研究に取り組んできた。全体研究では症例登録数の増加や解析、ガイドラインおよび治療の指針を作成した。サブグループ研究は計画通り順調に進んでいる。これらの研究を通して、引き続きさらに多くのエビデンスの構築およびガイドラインの改訂を目指す。
平成27年度に、難病指定制度が変更され、それに併せて特発性心筋症の重症度を新たに作成した。重症度分類は、現在難病認定に用いられており、診療への普及という点で一定の役割を果たしていると考えるが、今後は作成した重症度分類の評価が必要である。本研究班によって2004年1月から2005年6月に心筋症を含む心不全患者を対象とした全国規模のレジストリー研究(JCARE-CARD)からすでに10年以上が経過した。わが国の心不全治療や患者背景の変遷、新たな予後予測マーカーを含めてさらなる大規模レジストリーの登録事業を準備中である。
本研究班の重要な役割の一つとして、定期的な難病情報センターのホームページ改訂や市民公開講座を行うが挙げられる。今後も研究結果を幅広く国民に情報発信していくことが重要である。
結論
全体研究、サブグループ研究、個別研究をそれぞれ推進した。また、研究結果を診療や社会へ普及させる取り組みを行った。

公開日・更新日

公開日
2017-06-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201610011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症の臨床個人調査票のデータベースを用いた解析作業を行った。日本循環器学会診療実態調査JROADデータについても解析をすすめた。また、①心筋症を基礎とする心不全患者の予後を推定する予測式の構築
心筋症に関する先行研究のデータベースを統合し、解析作業をすすめた。また、新たな心筋症データベース構築にむけての準備を行った。
心筋症患者を対象とした栄養状態・運動能力調査および栄養・運動の包括的な介入プログラムの開発を行った。
臨床的観点からの成果
それぞれの研究を臨床個人調査票データベースを用いたデータ解析作業を行った。わが国における拡張相肥大型心筋症を対象とした登録観察研究(27年度途中よりAMED難治性疾患実用化研究へ移行)を行い、各施設における自主臨床試験倫理審査委員会での承認後に登録をすすめ、症例登録を継続した。
ガイドライン等の開発
『心臓サルコイドーシスガイドライン』を策定し、『高齢心不全患者の治療に関するステートメント』を発表した。また、日本循環器学会と連携し、『心臓移植に関する提言』をまとめた。
2018年3月に『急性・慢性心不全ガイドライン』、2019年3月に『心筋症診療ガイドラインを改訂した。
その他行政的観点からの成果
平成27年度に、難病指定制度が変更され、それに併せて特発性心筋症の重症度を新たに作成した。重症度分類は、現在難病認定に用いられている。
その他のインパクト
難病情報センターのホームページを適宜改訂し、特発性心筋症の詳細な情報公開を行った。日本心不全学会、日本リハビリテーション学会と連携し、市民公開講座を行うことで、本研究班の研究結果を幅広く情報発信した。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
140件
その他論文(和文)
109件
その他論文(英文等)
2件
学会発表(国内学会)
113件
学会発表(国際学会等)
38件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2021-06-08
更新日
-

収支報告書

文献番号
201610011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
21,797,000円
(2)補助金確定額
21,797,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,844,388円
人件費・謝金 2,398,739円
旅費 2,092,078円
その他 5,444,217円
間接経費 5,027,000円
合計 21,806,422円

備考

備考
自己資金 9,422円

公開日・更新日

公開日
2018-03-06
更新日
-