文献情報
文献番号
201610010A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性腎疾患に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-042
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
丸山 彰一(名古屋大学大学院医学系研究科病態内科学講座腎臓内科学)
研究分担者(所属機関)
- 横山 仁(金沢医科大学医学 部・腎臓内科学)
- 旭 浩一(福島県立医科大学 医学部・腎臓内科学)
- 長田 道夫(筑波大学医学医療 系・病理学)
- 服部 元史(東京女子医科大学 医学部・腎臓小児科 学)
- 安藤 昌彦(名古屋大学医学部 附属病院・臨床疫学)
- 柏原 直樹(川崎医科大学・腎 臓・高血圧内科学)
- 和田 隆志(金沢大学大学院医 学系研究科 血液 情報統御学/腎臓内 科学・臨床検査医学)
- 川村 哲也(東京慈恵会医科大 学医学部・腎臓内科 学)
- 鈴木 祐介(順天堂大学医学系 研究科・腎臓内科学)
- 山縣 邦弘(筑波大学医学医療 系・腎臓内科学)
- 杉山 斉(岡山大学医歯薬学 総合研究科・腎臓内 科学)
- 猪阪 善隆(大阪大学医学系研 究科・腎臓内科学)
- 坪井 直毅(名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科)
- 武藤 智(帝京大学医学部・泌 尿器科学)
- 堀江 重郎(順天堂大学医学研 究科・泌尿器科学)
- 岩野 正之(福井大学学術研究 院医学系部門・腎臓 内科学)
- 成田 一衛(新潟大学医歯学 系・腎臓内科学)
- 岡田 浩一(埼玉医科大学医学 部・腎臓内科学)
- 本田 雅敬(東京都立小児総合 医療センター小児 科・腎臓内科学)
- 藤元 昭一(宮崎大学医学部医 学科血液・血管先端 医療学講座/腎臓内 科学)
- 要 伸也(杏林大学医学部・腎 臓内科学)
- 柴垣 有吾(聖マリアンナ医科 大学医学部・腎臓内 科学)
- 望月 俊雄(東京女子医科大学 医学部・腎臓内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
20,948,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
対象重点4疾患(IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎)について、①これまでの研究で確立したウエブ疾患登録のシステム改良による予後追跡、②Mindsの作成手順に則った形ですでに作成した診療ガイドラインの臨床現場への普及、③同ガイドラインの検証と改訂、④疾患ごとのコホート(二次研究)の推進、⑤小児期からの移行(Transition)の調査研究および診療ガイドラインの作成、⑥研究成果を、社会・患者と双方向的に共有するための啓発活動(ホームページの充実など)。さらに⑦3年間の研究から得られた研究成果をもとにリサーチクエスチョンの立案と政策提言。以上を研究目的とした。
研究方法
研究組織は、研究班全体を統括する「研究管理推進委員会」のもとに「疾患登録・調査研究分科会」と「診療ガイドライン分科会」の2つの分科会を置き、それぞれに分科会責任者を定めた。「疾患登録・調査研究分科会」はさらに疾患登録・調査研究分科会および重点4疾患(IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎)の各ワーキンググループ(WG)に、「診療ガイドライン分科会」も同じく重点4疾患ガイドラインワーキンググループ(GL-WG)に細分化され、それぞれ責任研究分担者のもとに研究分担者、協力者による研究グループを組織した。移行医療に関しては疾患登録・調査協力、診療ガイドライン両分科会の下にWG、GL-WGを設置した。
「研究管理推進委員会」は研究代表者が委員長を務め、委員は各分科会責任分担研究者・臨床疫学者・事務局で組織され、予め定めた研究計画の進捗状況のチェックと分科会へのサポートを行うとともに、社会への情報発信についても事務局を通じてこれを企画・実行した。疫学者による臨床研究プロトコールの確認ならびに研究支援のもと遂行された研究成果進捗状況は、年2回分担研究者全員による会議の場において逐一報告され、年一回の研究成果報告会により発表された。また、本研究班で明確にできなかった課題を班内外の専門家の意見を広く聴取しリサーチクエスチョンとして抽出した。
「研究管理推進委員会」は研究代表者が委員長を務め、委員は各分科会責任分担研究者・臨床疫学者・事務局で組織され、予め定めた研究計画の進捗状況のチェックと分科会へのサポートを行うとともに、社会への情報発信についても事務局を通じてこれを企画・実行した。疫学者による臨床研究プロトコールの確認ならびに研究支援のもと遂行された研究成果進捗状況は、年2回分担研究者全員による会議の場において逐一報告され、年一回の研究成果報告会により発表された。また、本研究班で明確にできなかった課題を班内外の専門家の意見を広く聴取しリサーチクエスチョンとして抽出した。
結果と考察
最終年度にあたるH28年は腎臓病総合レジストリーおよび全国アンケート調査結果の検証結果を踏まえ、ガイドラインの各クリニカルクエスチョンに対するステートメントを決定し、重点腎臓病4疾患のガイドライン改訂版を作成した。また平成28年度から抗基底膜抗体型糸球体腎炎、一次性膜性増殖性糸球体腎炎、紫斑病性腎炎を新たに研究対象疾患に含めた。今後もガイドラインの普及、診断基準・重症度分類・治療指針の検証(日本人の臨床データの収集と諸外国のガイドラインとの比較を含む)を通じ、よりプラクティカルな改訂が重要な課題となる。また日本小児腎臓病学会とも連携し、小児期からの移行(Transition)症例についても調査研究対象とし、診療ガイドライン新規作成を目標とした。世界で初めての大規模な「移行(transition)」に関する実態調査に基づき、H28年度移行医療に関する診療ガイドラインを発表した。
結論
本研究で取り組んでき腎臓疾患レジストリーは順調に登録数の伸びを見せ、本邦での腎疾患における疫学的現状が明らかとなった。今後もアンケートとJ-RBR/J-KDR等の調査手法を相互補完しながら検証し、継続的に観察すべきである。
特に重点4疾患(IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎)を対象とした二次研究においては、本邦における疫学的あるいは今後の治療指針の礎となる数多くの知見が得られた。今後も各疾患の本邦での患者数や治療実態の把握とともに、疾患毎に計画立案された臨床学的あるいは病理結果による予後推定因子、治療介入効果検討を通じて、診療ガイドラインの改定の着実な進展をもたらす臨床的エビデンスの創出を継続すべきであると考えられた。
昨年度に当研究班が発表した、わが国で初となる「エビデンスに基づく診療ガイドライン」は、本邦での今後の腎臓診療の標準化に大きく寄与するものと期待できる。今後は、ガイドラインの運用状況の調査に基づき、診療ガイドラインの普及と診断基準・重症度分類・治療指針の再検証を通じた、さらなる診療ガイドラインの改訂が、疾患のアウトカム改善のために極めて重要な課題となると考えられる。その第一歩として、CIを定めて遵守率を調査していく必要がある。
また小児腎疾患の成人医療への移行に関しては、小児科医と内科医双方協力のもと、本年度診療ガイドラインを発表したが、これは世界でも例をみない試みである。今後は臨床エビデンス集積によるガイドライン改訂や、実際の診療現場で移行システム構築が課題としてあげられる。
特に重点4疾患(IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎)を対象とした二次研究においては、本邦における疫学的あるいは今後の治療指針の礎となる数多くの知見が得られた。今後も各疾患の本邦での患者数や治療実態の把握とともに、疾患毎に計画立案された臨床学的あるいは病理結果による予後推定因子、治療介入効果検討を通じて、診療ガイドラインの改定の着実な進展をもたらす臨床的エビデンスの創出を継続すべきであると考えられた。
昨年度に当研究班が発表した、わが国で初となる「エビデンスに基づく診療ガイドライン」は、本邦での今後の腎臓診療の標準化に大きく寄与するものと期待できる。今後は、ガイドラインの運用状況の調査に基づき、診療ガイドラインの普及と診断基準・重症度分類・治療指針の再検証を通じた、さらなる診療ガイドラインの改訂が、疾患のアウトカム改善のために極めて重要な課題となると考えられる。その第一歩として、CIを定めて遵守率を調査していく必要がある。
また小児腎疾患の成人医療への移行に関しては、小児科医と内科医双方協力のもと、本年度診療ガイドラインを発表したが、これは世界でも例をみない試みである。今後は臨床エビデンス集積によるガイドライン改訂や、実際の診療現場で移行システム構築が課題としてあげられる。
公開日・更新日
公開日
2017-05-25
更新日
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