原発性免疫不全症候群の診断基準・重症度分類および診療ガイドラインの確立に関する研究

文献情報

文献番号
201610007A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性免疫不全症候群の診断基準・重症度分類および診療ガイドラインの確立に関する研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-037
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
野々山 恵章(防衛医科大学校 小児科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 高田 英俊(九州大学大学院医学研究院周産期 小児医療学)
  • 有賀 正(北海道大学大学院医学研究科小児科学分野)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科発生発達病態学分野)
  • 村松 秀城(名古屋大学医学部附属病院・小児科・小児科学(名古屋大学))
  • 谷内江昭宏(金沢大学医薬保健研究域医学系小児科)
  • 平家 俊男(京都大学医学部小児科学講座)
  • 小林 正夫(広島大学大学院医歯薬保健学研究院小児科学)
  • 布井 博幸(宮崎大学医学部発達泌尿生殖医学講座小児科学分野)
  • 中畑 龍俊(京都大学iPS細胞研究所臨床応用研究部門疾患再現研究分野)
  • 峯岸 克行(徳島大学先端酵素学研究所プロテオゲノム領域免疫アレルギー学分野)
  • 小野寺雅史(国立成育医療研究センター研究所成育遺伝研究部)
  • 笹原 洋二(東北大学大学院医学系研究科小児病態学分野)
  • 小原 收(公益財団法人かずさDNA研究所技術開発研究部)
  • 大西 秀典(岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学分野)
  • 堀内 孝彦(九州大学別府病院免疫・血液・代謝内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原発性免疫不全症候群は希少難病であり、かつ300種類以上の疾病がある。本研究では、疾病ごとの診断基準・重症度分類および診療ガイドラインを策定し、適切な診断、診療による難病診療レベルの向上、患者QOL向上、難病支援策の構築に貢献する事を目的とした。
研究方法
国際免疫学会は300以上の疾病を原発性免疫不全症候群として分類している。この中から重要かつ頻度の高い56疾病の診断基準・重症度分類を策定した。H28年度は診療ガイドラインを26疾病で策定した。
方法としては、各疾病の専門家が論文、国際的な診断基準を参考にし、本研究班で構築したデータベースPrimary Immunodeficiency Database in Japan (PIDJ)から得られる臨床情報、新規に開発したFACSによる迅速診断法、アンプリコンPCR・次世代シークエンサーによる既知原因遺伝子の迅速遺伝子診断法、新規に同定した原因遺伝子などのデータを活用して、診療ガイドラインを策定した。
結果と考察
以下の26疾患で診療ガイドラインを策定した
1)X連鎖重症複合免疫不全症
2)その他の複合型免疫不全症
3)アデノシンデアミナーゼ欠損症
4)ウィスコット・オルドリッチ症候群
5)毛細血管拡張性運動失調症(AT)
6)ブルーム症候群
7)胸腺低形成(DiGeorge症候群、22q11.2欠失症候群)
8)先天性角化不全症
9)高IgE症候群
10)X連鎖無ガンマグロブリン血症
11)分類不能免疫不全症(CVID)
12)IgGサブクラス欠損症
13)高IgM症候群
14)チェディアック・東症候群
15)自己免疫性リンパ増殖症候群
16)X連鎖リンパ増殖症候群(XLP)
17)重症先天性好中球減少症
18)周期性好中球減少症
19)慢性肉芽腫症
20)メンデル遺伝型マイコバクテリア易感染症(MSMD)
21)免疫不全を伴う無汗性外胚葉形成異常症(EDA-ID)
22)IRAK4欠損症
23)MyD88欠損症
24)慢性皮膚粘膜カンジダ症
25)先天性補体欠損症
26)遺伝性血管性浮腫 (C1インヒビター欠損症)

これにより、国際免疫学会による大分類の中のそれぞれ代表的な疾患について診療ガイドライン案を策定できた。診療ガイドラインは、日本免疫不全症研究会により認証を得た。策定した診療ガイドラインを単行本として出版した。また臨床所見、検査データ、免疫学的データをもとにして、遺伝子診断、診療について専門医が助言できる体制を構築した。
結論
原発性免疫不全症候群の重要かつ頻度の多い26疾病の診療ガイドラインを策定した。新規診断法も確立した。原発性免疫不全症候群の適切な診断、診療が可能になり、診療レベルの向上および難病医療支援に貢献した。

公開日・更新日

公開日
2017-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
その他
研究成果の刊行に関する一覧表
その他

公開日・更新日

公開日
2017-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201610007B
報告書区分
総合
研究課題名
原発性免疫不全症候群の診断基準・重症度分類および診療ガイドラインの確立に関する研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-037
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
野々山 恵章(防衛医科大学校 小児科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 原  寿郎(九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野)
  • 高田 英俊(九州大学大学院医学研究院周産期 小児医療学)
  • 有賀 正(北海道大学大学院医学研究科小児科学分野)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科発生発達病態学分野)
  • 今井 耕輔(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科小児・周産期地域医療学講座)
  • 小島 勢二(名古屋大学大学院医学系研究科小児科学)
  • 村松 秀城(名古屋大学医学部附属病院 小児科)
  • 谷内江 昭宏(金沢大学医薬保健研究域医学系小児科)
  • 平家 俊男(京都大学医学部小児科学講座)
  • 小林 正夫(広島大学大学院医歯薬保健学研究院小児科学)
  • 布井 博幸(宮崎大学医学部発達泌尿生殖医学講座小児科学分野)
  • 中畑 龍俊(京都大学iPS細胞研究所臨床応用研究部門疾患再現研究分野)
  • 峯岸 克行(徳島大学先端酵素学研究所プロテオゲノム領域免疫アレルギー学分野)
  • 小野寺 雅史(国立成育医療研究センター研究所成育遺伝研究部)
  • 金兼 弘和(東京医科歯科大学大学院発生発達病態学分野)
  • 笹原 洋二(東北大学大学院医学系研究科小児病態学分野)
  • 小原 收(公益財団法人かずさDNA研究所技術開発研究部)
  • 高木 正稔(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科発生発達病態学分野)
  • 加藤 善一郎(岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学分野)
  • 大西 秀典(岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学分野)
  • 堀内 孝彦(九州大学別府病院免疫・血液・代謝内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原発性免疫不全症候群は希少難病であり、かつ300種類以上の疾病がある。本研究では、疾病ごとの診断基準・重症度分類および診療ガイドラインを策定し、適切な診断・診療を可能とし、もって難病診療レベルの向上、患者QOL向上、難病支援策の構築に貢献する事を目的とした。
研究方法
国際免疫学会は300以上の疾病を原発性免疫不全症候群として分類している。この中から重要かつ頻度の高い56疾病の診断基準・重症度分類を策定した。診療ガイドラインは26疾病で策定した。
方法としては、各疾病の専門家が論文、国際的な診断基準を参考にし、本研究班で構築したデータベースPrimary Immunodeficiency Database in Japan (PIDJ)から得られる臨床情報、新規に開発したFACSによる迅速診断法、アンプリコンPCR・次世代シークエンサーによる既知原因遺伝子の迅速遺伝子診断法、新規原因遺伝子などのデータを活用して策定した。
結果と考察
診断基準を策定した56疾患は以下の通りである。指定難病で疾病名が明記されている疾病全ての診断基準を策定した。
1)X連鎖重症複合免疫不全症2)細網異形成症3)アデノシンデアミナーゼ (ADA) 欠損症4)オーメン(Omenn)症候群5)プリンヌクレオシドホスホリラーゼ欠損症6)CD8欠損症7)ZAP-70欠損症8)MHCクラスI欠損症9)MHCクラスII欠損症10)Wiskott-Aldrich症候群11)毛細血管拡張性運動失調症(AT)12)ナイミーヘン染色体不安定(Nijmegen breakage)症候群13)ブルーム(Bloom)症候群14)ICF症候群15)PMS2異常症16)RIDDLE症候群17)シムケ(Schimke)症候群18)ネザートン症候群19)胸腺低形成(DiGeorge症候群、22q11.2欠失症候群)20)高IgE症候群21)肝中心静脈閉鎖症を伴う免疫不全症22)先天性角化異常症23)X連鎖無ガンマグロブリン血症24)分類不能型免疫不全症25)高IgM症候群26)IgGサブクラス欠損症27)選択的IgA欠損28)特異抗体産生不全症29)乳児一過性低ガンマグロブリン血症30)Chédiak-Higashi症候群31)X連鎖リンパ増殖症候群32)自己免疫性リンパ増殖症候群33)重症先天性好中球減少症34)周期性好中球減少症35)白血球接着不全症候群36)Shwachman-Diamond症候群37)慢性肉芽腫症38)ミエロペルオキシダーゼ欠損症39)メンデル遺伝型マイコバクテリア易感染症40)GATA2欠損症41)CSF2RA異常症42)免疫不全を伴う無汗性外胚葉形成異常症43)IRAK4欠損症44)MyD88欠損症45)慢性皮膚粘膜カンジダ症46)家族性単純ヘルペス脳炎47)家族性重症ウイルス感染症48)疣贅状表皮発育異常症49)WHIM症候群50)孤立性先天性無脾症51)トリパノソーマ感染症52)先天性補体欠損症53)遺伝性血管性浮腫 (C1インヒビター欠損症)54)好酸球増加症55)後天的な免疫系障害による免疫不全症56)慢性移植片対宿主病

また、診療ガイドラインを策定した26疾患は以下の通りである。
1)X連鎖重症複合免疫不全症2)その他の複合型免疫不全症3)アデノシンデアミナーゼ欠損症4)ウィスコット・オルドリッチ症候群5)毛細血管拡張性運動失調症(AT)6)ブルーム症候群7)胸腺低形成(DiGeorge症候群、22q11.2欠失症候群)8)先天性角化不全症9)高IgE症候群10)X連鎖無ガンマグロブリン血症11)分類不能免疫不全症(CVID)12)IgGサブクラス欠損症13)高IgM症候群14)チェディアック・東症候群15)自己免疫性リンパ増殖症候群16)X連鎖リンパ増殖症候群(XLP)17)重症先天性好中球減少症18)周期性好中球減少症19)慢性肉芽腫症20)メンデル遺伝型マイコバクテリア易感染症(MSMD)21)免疫不全を伴う無汗性外胚葉形成異常症(EDA-ID)22)IRAK4欠損症23)MyD88欠損症24)慢性皮膚粘膜カンジダ症25)先天性補体欠損症26)遺伝性血管性浮腫 (C1インヒビター欠損症)

策定した診断基準・重症度分類および診療ガイドラインを、難病情報センターや各学会のホームページでの公開、学会講演会、一般医への印刷物の配布などで周知した。
また専門医が診断、診療助言を行う体制を整えた。
結論
原発性免疫不全症候群の重要かつ頻度の多い56疾病の診断基準、重症度分類、26疾病の診療ガイドラインを策定した。新規診断法も確立した。原発性免疫不全症候群の適切な診断、診療が可能になり、診療レベルの向上および難病医療支援に貢献した。

公開日・更新日

公開日
2017-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201610007C

収支報告書

文献番号
201610007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
18,000,000円
(2)補助金確定額
18,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 11,309,907円
人件費・謝金 2,771,682円
旅費 1,350,102円
その他 2,568,658円
間接経費 0円
合計 18,000,349円

備考

備考
自己資金 349円

公開日・更新日

公開日
2018-02-16
更新日
-