文献情報
文献番号
201610001A
報告書区分
総括
研究課題名
プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-028
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
山田 正仁(金沢大学 医薬保健研究域医学系 脳老化・神経病態学(神経内科学))
研究分担者(所属機関)
- 水澤 英洋(国立精神・神経医療研究センター)
- 堂浦 克美(東北大学 大学院医学系研究科 神経化学分野)
- 堀内 浩幸(広島大学 大学院生物圏科学研究科 免疫生物学研究室)
- 西田 教行(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 感染分子解析学分野)
- 佐々木 真理(岩手医科大学 医歯薬総合研究所 超高磁場MRI診断・病態研究部門)
- 齊藤 延人(東京大学 医学部附属病院 脳神経外科)
- 岩崎 靖(愛知医科大学 加齢医科学研究所)
- 高尾 昌樹(埼玉医科大学)
- 坪井 義夫(福岡大学 医学部 神経内科学教室)
- 濱口 毅(金沢大学 附属病院 神経内科)
- 細矢 光亮(福島県立医科大学 医学部 小児科学講座)
- 長谷川 俊史(山口大学 大学院医学系研究科 小児科学分野)
- 楠原 浩一(産業医科大学 医学部 小児科学講座)
- 野村 恵子(熊本大学 医学部附属病院 小児科)
- 岡 明(東京大学 医学部附属病院 小児科)
- 吉永 治美(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 発達神経病態学)
- 遠藤 文香(岡山大学 病院 小児神経科)
- 鈴木 保宏(大阪府立母子保健総合医療センター 小児神経科)
- 砂川 富正(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
- 西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
- 三浦 義治(東京都立駒込病院)
- 原 由紀子(東京医科大学 医師・学生・研究者支援センター/人体病理学分野)
- 雪竹 基弘(佐賀中部病院 神経内科)
- 阿江 竜介(自治医科大学 地域医療研究センター 公衆衛生部門)
- 鈴木 忠樹(国立感染症研究所 病理感染部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
15,386,000円
研究者交替、所属機関変更
研究者交代
平成29年1月4日
研究分担者 吉永治美(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・准教授)→遠藤文香(岡山大学病院小児神経科・助教)
研究報告書(概要版)
研究目的
致死的な神経感染症であるプリオン病、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、進行性多巣性白質脳症(PML)の3疾患について、疫学、臨床病態の解明に基づき診断基準、重症度分類、診断ガイドラインを作成・整備することを目的した。
研究方法
本領域のエキスパートを結集した融合的研究組織を構築し、対象となる3疾患ごとに分科会を設置し、研究者間の緊密な連携をとりながら研究を推進した。プリオン病に関しては、プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する研究班等の関連研究班と密接に連携し、さらに全国のCreutzfeldt-Jakob病(CJD)担当専門医の協力を得ながら研究を推進した。また、国際共同研究、国際協力(プリオン病に関するEuroCJDグループとの共同研究、SSPE多発地であるトルコ共和国との共同研究ほか)を継続した。さらに、診療ガイドライン整備に取り組んだ。
結果と考察
1)プリオン病:プリオン病サーベイランデータの検討、二次感染リスクのある症例の抽出・監視、剖検率向上のためのシステム構築等を継続した。プリオン病コンソーシアム(JACOP)におけるプリオン病自然歴登録を推進し、サーベイランス調査と統合することでより充実した臨床疫学調査を目指した。遺伝性プリオン病の一つであるGerstmann-Straussler-Scheinker病(GSS)の臨床疫学研究、End-point RT-QUIC定量法によるプリオン病患者非神経組織におけるプリオンシード活性の検出、MRI拡散強調画像(DWI)による診断能向上、脳外科手術歴を有するCJDの特徴、孤発性CJD早期死亡例の臨床所見と剖検所見を報告した。
(2) SSPE:2012年に行った疫学調査によって抽出されたSSPE 81名の病像、リバビリン治療例25例の特徴、沖縄におけるSSPE発生状況を報告した。診断・治療法最適化のために麻疹ウイルス抗体価測定法の比較、SSPE患者由来人工多能性幹細胞作成等を行った。
(3) PML:PMLサーベイランス委員会による全国疫学調査を開始し、薬剤関連PMLを含む多くの症例の検討・登録を行い、そのデータによる解析で本邦では諸外国と比較してフィンゴリモド関連PMLの発病頻度が有意に高いことを示した。JCウイルスゲノム検査を介した全国サーベイランスで10年間に172名の患者を確認し、さらに病理検体の解析によって、最近のPML発症の背景や臨床的特徴を明らかにした。最近報告が増加しているナタリズマブ関連PMLの特徴を解析した。
(4) 診療ガイドラインの整備等:3対象疾患それぞれの分科会において、診断基準、重症度分類を含む診療ガイドラインを作成・改訂し、2017年3月に出版した(http://prion.umin.jp)。
(2) SSPE:2012年に行った疫学調査によって抽出されたSSPE 81名の病像、リバビリン治療例25例の特徴、沖縄におけるSSPE発生状況を報告した。診断・治療法最適化のために麻疹ウイルス抗体価測定法の比較、SSPE患者由来人工多能性幹細胞作成等を行った。
(3) PML:PMLサーベイランス委員会による全国疫学調査を開始し、薬剤関連PMLを含む多くの症例の検討・登録を行い、そのデータによる解析で本邦では諸外国と比較してフィンゴリモド関連PMLの発病頻度が有意に高いことを示した。JCウイルスゲノム検査を介した全国サーベイランスで10年間に172名の患者を確認し、さらに病理検体の解析によって、最近のPML発症の背景や臨床的特徴を明らかにした。最近報告が増加しているナタリズマブ関連PMLの特徴を解析した。
(4) 診療ガイドラインの整備等:3対象疾患それぞれの分科会において、診断基準、重症度分類を含む診療ガイドラインを作成・改訂し、2017年3月に出版した(http://prion.umin.jp)。
結論
プリオン病、SSPE、PMLについて、疫学・臨床病態の解明研究、診断法の最適化、診断基準作成等のための研究、治療法の最適化研究、それらに基づく診療ガイドライン改訂作業等を行い、3対象疾患それぞれについて、診断基準、重症度分類を含む診療ガイドラインの2017年版を出版した。
公開日・更新日
公開日
2017-07-03
更新日
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