女性の健康の包括的支援のための情報収集・情報発信と医療提供体制等に関する研究

文献情報

文献番号
201609001A
報告書区分
総括
研究課題名
女性の健康の包括的支援のための情報収集・情報発信と医療提供体制等に関する研究
課題番号
H27-女性-一般-001
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 知行(東京大学大学院 医学部附属病院女性診療科・産科)
研究分担者(所属機関)
  • 大須賀 穣(東京大学大学院 医学部附属病院女性外科)
  • 秋下 雅弘(東京大学大学院 医学部附属病院老年病科)
  • 谷垣 伸治(国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター・産科・教育研修部)
  • 若尾 文彦(国立がん研究センターがん対策情報センター)
  • 金 吉晴(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 災害時こころの情報支援センター成人精神保健研究部)
  • 対馬 ルリ子(医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座)
  • 伊藤 純子(国家公務員共済組合連合会 虎ノ門病院小児科)
  • 加茂 登志子(東京女子医科大学医学部)
  • 田中 栄(東京大学大学院 医学部附属病院整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 女性の健康の包括的支援政策研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
15,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、‟女性の健康の包括的支援“という新たなパラダイムを構築し、情報の収集と発信による社会啓発、多診療科連携による統合的女性医療、相談員の養成などを介した社会的健康支援の体制を確立することを目的としている。
研究方法
本研究を行うにあたり、女性の健康と現時点での課題に関連した情報提供については、日本で最大の専門家団体である公益社団法人日本産科婦人科学会と学会に所属する医師から得られた記事をベースにしている。さらに産婦人科以外の領域における女性健康については、精神科、内科、小児科の専門家を研究班に配置することにより産科婦人科の枠を超えた“女性の健康”を新たなパラダイムとしてとらえ研究を進めている。
平成27年度には、女性の健康についての情報収集・発信体制の基盤となるホームページHPを作成した。コンテンツに関しては日本産科婦人科学会が中心となって作成したが、精神科、内科、小児科の内容も取り入れられている。平成28年度には、本研究のプラットフォームであるHPの内容改善、セッション数およびページビューPVをあげるためのSEO対策を行った。また、このHPにアクセスする人々の属性を調べる上で、リリースされてから現在に至るまでの年齢層、アクセス端末の種類、セッション数、PV数、よくアクセスされる記事に関する検討を行った。解析に関してはグーグルアナリティクスが用いられた。これらアクセスに関する情報は機器そのものから得られる属性だけであるため、個人情報を含まないことから倫理面に関して特記すべきことはない。他診療間での情報共有を促進するためおよび後述する女性の健康相談員の教育目的のためガイドブックの作成に着手した。
結果と考察
女性の健康包括的支援を最終的な目標とし、健康維持に関するHPを作成したため、信頼に足る確固たる情報を提供する基盤は整った。従来の女性の健康は、とかく産婦人科に属する情報のみに限定されていたり、女医が女性の立場に立って診察を入念におこなうことのみにより達成可能であるという概念が流布していたが、我々が本研究内で強調しているように、確固たるソースと事実に基づいた情報を提供し、医学的介入が必要な女性に対し適切な医療とアドバイスを提供することがまずは重要である。それが達成できれば、適切な医療介入が円滑に進み、女性を活用・登用した経済活動がますます促進されるものと見込まれる。
今後、統合的な女性診療の健康評価・健診のためのガイドブックを作成することにより、女性の一生を通した健康支援への多くの医師だけでなく医療従事者の参加も促進されるものと考えられる。ホームページを基盤とした健康相談員の育成が行われるようになれば、女性の健康の包括的支援のための相談体制が確保される。本HPは図3〜15に示してあるように、アクセスする人物像、アクセス記録などを経時的に追跡することが可能であるため、毎月のアクセス記録から、受け手のニーズを可能な限り拾い上げるようにしている。このホームページでは、各種“女性の健康”に関する情報を統合するだけでなく、e-learning機能、アンケート機能など多彩な機能を持たせることを次の目標としている。
結論
女性の健康の包括的支援に関する情報提供を効率的に行うためのHPを作成した後の展開が進んでおり、HPの有用性はアンケート研究により裏付けられることとなる。
統合的な女性診療の健康評価・健診のためのガイドブックを作成すること、女性の健康支援のための教育プログラムを作成し、健康相談員などを教育することにより女性の健康支援のための相談体制を確立することが今後の重要な課題であるため、HPを用いたeラーニングシステムの構築に着手している。女性の一生を通した健康支援への多くの医師の参加を促進することと、健康相談員などが積極的に地域住民を教育・啓発することにより女性の健康についての意識と理解が高まり、健康の増進が期待される。
最終的には大規模データベースの検討や具体的ニーズの拾い上げが大規模化することを期待しており、それで得られる情報をもとに、実行可能な「多診療科連携モデル」が構築され、日本全体の女性医療の水準を上げ、医療法整備、経済活動への展開という循環が進むことを期待している。

公開日・更新日

公開日
2017-06-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201609001Z