文献情報
文献番号
199800550A
報告書区分
総括
研究課題名
食物アレルギーの予防等に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
名倉 宏(東北大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 清野宏(大阪大学微生物病研究所)
- 上野川修一(東京大学大学院農学生命科学研究科)
- 小林邦彦(北海道大学医学部)
- 河野陽一(千葉大学医学部)
- 本郷道夫(東北大学医学部附属病院)
- 宇理須厚雄(藤田保健衛生大学)
- 飯倉洋治(昭和大学医学部)
- 豊田正武(国立衛生試験所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 感覚器障害及び免疫・アレルギー等研究事業(免疫・アレルギー等研究分野)
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
-
研究費
29,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
食物アレルギーの他の疾患にない特徴の十分な理解のうえで、食物アレルギーの実態を把握するとともに、粘膜免疫を軸に食物アレルギーの病因病態の解明とその予防ならびに治療法の確立を目的に、基礎研究者とアレルギー治療と予防の指導に直接従事する臨床医が密接な連携の許で、プロジェクト研究と個別研究を促進する。さらに将来新たに国民が口にしなければならない食品の検定用の食物アレルギー用血清バンク構築も緊急課題として取り組む。
研究方法
小児領域および心身医学領域のアレルギー専門医のほか、粘膜免疫および経口粘膜ワクチンの基礎研究者、アレルゲンの分子構造と粘膜免疫系の相互関係の研究を専門とする農芸化学者や、栄養学者で構成され、以下の7つの項目についてグループ研究の組織と個別研究の推進をはかった。・経口的に摂取された抗原物質に対する粘膜免疫機構を介した免疫反応の調節機構と、その破綻あるいは未熟性に基づくアレルギー発症の機序の解明、・動物モデル系の開発、・簡便かつ安全な食物アレルギー評価法と予知法の確立、・経口免疫寛容を利用した経口粘膜ワクチンによるアレルギー発症の予防と治療法の開発の為の基礎研究、・食品中のアレルゲンの抗原構造とそれに対する粘膜免疫反応の誘導機序の解明、・食物アレルギー用血清バンクの構築および・全国に研究協力者を配置し食物アレルギーの実態の把握。
結果と考察
食物アレルギーの総合的かつ広範囲の科学的な実態調査、および重篤なアレルギー反応を惹起させる食品の調査研究が初めて行われ、今後の研究ならびに対策の指針を提供することができた。さらに、ヒトの症例に近い食物アレルギー実験モデルの確立およびそれを用いた食物アレルゲン性評価法の確立、患者血清を用いた抗体価の測定と評価法、ならびにその臨床的意義に関する研究がなされた。一方、食物アレルギーの発生機序ならびにその治療法の為の基礎研究も、粘膜免疫機構を軸に大きな成果があげられた。一方、臨床面では、本年度から心身医療からの研究が開始され、ストレスとの関連に科学的なメスが入れられた。本研究班のもう一つの柱である血清バンクの構築に関しては調査研究とともに拠点施設を確保でき、一歩前進した。
食物アレルギーという刻々と状況が変化し、かつ全国民的課題であるだけに、研究・教育機関と行政との、これまで以上の有機的なかつ密な連携が望まれていることを痛感した。
食物アレルギーという刻々と状況が変化し、かつ全国民的課題であるだけに、研究・教育機関と行政との、これまで以上の有機的なかつ密な連携が望まれていることを痛感した。
結論
食物アレルギーの総合的かつ科学的な実態調査が初めて行われ、今後の研究ならびに対策の指針を提供することで、厚生行政に貴重な資料を提供できた。さらに、食物アレルギー実験モデルの確立、食物アレルゲンの評価法の提唱がなされた。食物アレルギー用血清バンクの構築の提言がなされ、拠点施設が確保できた。一方、食物アレルギーの発生機序ならびにその治療法の為の基礎研究も、粘膜免疫機構を軸に大きな成果があげられ、食物アレルギーの根本的な克服のための大きな布石になった。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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