文献情報
文献番号
201608012A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病性網膜症・下肢壊疽等の総合的な重症度評価の作成と合併症管理手法に関する研究
課題番号
H28-循環器等-一般-005
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
羽田 勝計(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
7,690,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、日本糖尿病学会(前常務理事 申請者、植木浩二郎)を中心に日本糖尿病合併症学会(理事長:申請者)、日本糖尿病眼学会(理事長 小椋祐一郎)などの学会が多面的に協力して、1)糖尿病網膜症と下肢病変に対する実態調査 2)糖尿病網膜症の重症化および下肢病変の多施設前向き大規模コホート研究 3)糖尿病下肢病変(壊疽、潰瘍)の発症や重症化を促進する因子の解析 4)下肢血流障害の早期発見検査法の開発と網膜血流障害と関連性の検討を実行する。そのうえで、これらの検討から我が国発のエビデンスに基づき各学会が協力して、標準化した治療のガイドラインを作成に寄与する。
研究方法
1)糖尿病網膜症と下肢病変に対する実態調査
2)糖尿病網膜症の重症化および足病変の多施設前向き大規模コホート研究
3)糖尿病壊疽の発生や重症化を促進する因子の解析
4)下肢血流障害の早期発見検査法の開発と、眼(網膜)血流障害と関連性の検討
2)糖尿病網膜症の重症化および足病変の多施設前向き大規模コホート研究
3)糖尿病壊疽の発生や重症化を促進する因子の解析
4)下肢血流障害の早期発見検査法の開発と、眼(網膜)血流障害と関連性の検討
結果と考察
研究の実施経過:
1)糖尿病網膜症と下肢病変に対する実態調査:概ね良好
実態調査としてアンケート調査を行いその解析を行った。また、エンドポイントに至った症例には主な2施設で症例を抽出した。今後その解析と、他施設の症例の抽出を行う。
29年度 は、全国調査を糖尿病学会、糖尿病合併症学会、糖尿病眼学会などを通じて実施するとともに、健保データを用いた解析も行う。
2)糖尿病網膜症の重症化および足病変の多施設前向き大規模コホート研究:概ね良好
データシステムの構築が終了し、コホートデータの入力を開始している。また、28年度 登録で3年間の前向きコホートと、既存コホートのヒストリカルコホートを行う。
3)糖尿病壊疽の発生や重症化を促進する因子の解析:概ね良好
後ろ向き解析については、症例を抽出して解析が進行している。今後、前向き解析についてもプロトコールを作成し、実施に移行する。
4)下肢血流障害の早期発見検査法の開発と、眼(網膜)血流障害と関連性の検討:やや遅滞
研究プロトコールは完成し、実施に移っているが、症例数の集積ができていない。今後、症例数の積み上げを目指して、一部プロトコール(対象症例のクライテリア)を変更した。
1)糖尿病網膜症と下肢病変に対する実態調査:概ね良好
実態調査としてアンケート調査を行いその解析を行った。また、エンドポイントに至った症例には主な2施設で症例を抽出した。今後その解析と、他施設の症例の抽出を行う。
29年度 は、全国調査を糖尿病学会、糖尿病合併症学会、糖尿病眼学会などを通じて実施するとともに、健保データを用いた解析も行う。
2)糖尿病網膜症の重症化および足病変の多施設前向き大規模コホート研究:概ね良好
データシステムの構築が終了し、コホートデータの入力を開始している。また、28年度 登録で3年間の前向きコホートと、既存コホートのヒストリカルコホートを行う。
3)糖尿病壊疽の発生や重症化を促進する因子の解析:概ね良好
後ろ向き解析については、症例を抽出して解析が進行している。今後、前向き解析についてもプロトコールを作成し、実施に移行する。
4)下肢血流障害の早期発見検査法の開発と、眼(網膜)血流障害と関連性の検討:やや遅滞
研究プロトコールは完成し、実施に移っているが、症例数の集積ができていない。今後、症例数の積み上げを目指して、一部プロトコール(対象症例のクライテリア)を変更した。
結論
本研究では、日本糖尿病学会を中心に、日本糖尿病合併症学会、日本糖尿病眼学会が多面的に協力することで、重症合併症の現状と克服への課題を導き出せることが期待される。
網膜症に対する患者アンケートでは、網膜症が合併症として認知されているにもかかわらず、実際の眼科受診行動や、診断治療介入が伴っていない現状が明らかになった。今回中間報告している結果は糖尿病専門医療機関での結果であるにもかかわらず、受診中断・未受診がかなりの割合で存在することが明らかになっており、網膜症の阻止にはこの部分の改善が不可欠である。また、足壊疽や潰瘍による血行再建術を行った症例、光凝固や眼内注射に至った症例は集積されつつあり、今後内科的患者背景(糖尿病の治療歴、中断歴の有無、血糖コントロール状態、喫煙、血圧・脂質の治療状況など)を明らかにしていく予定である。これらの結果から重要なパラメーターを選択し、来年度には全国調査を行う予定である。
多施設前向き大規模コホート研究は現在データベースの構築が完成し、登録された症例を解析することで、糖尿病性網膜症・下肢壊疽等の悪化背景、増悪因子を探索することができる。得られた結果に基づき治療のアルゴリズムを作成することで、重症合併症発症・進展を抑制し、社会・医療資源を他の疾患への対策など有効に活用出来る可能性がある。
まだ検討症例は少ないが、レーザースペックル血流計を用いて眼血流と同時に下肢血流を測定することは全く新しい検査法であり、今後症例数を増加させる予定である。
網膜症に対する患者アンケートでは、網膜症が合併症として認知されているにもかかわらず、実際の眼科受診行動や、診断治療介入が伴っていない現状が明らかになった。今回中間報告している結果は糖尿病専門医療機関での結果であるにもかかわらず、受診中断・未受診がかなりの割合で存在することが明らかになっており、網膜症の阻止にはこの部分の改善が不可欠である。また、足壊疽や潰瘍による血行再建術を行った症例、光凝固や眼内注射に至った症例は集積されつつあり、今後内科的患者背景(糖尿病の治療歴、中断歴の有無、血糖コントロール状態、喫煙、血圧・脂質の治療状況など)を明らかにしていく予定である。これらの結果から重要なパラメーターを選択し、来年度には全国調査を行う予定である。
多施設前向き大規模コホート研究は現在データベースの構築が完成し、登録された症例を解析することで、糖尿病性網膜症・下肢壊疽等の悪化背景、増悪因子を探索することができる。得られた結果に基づき治療のアルゴリズムを作成することで、重症合併症発症・進展を抑制し、社会・医療資源を他の疾患への対策など有効に活用出来る可能性がある。
まだ検討症例は少ないが、レーザースペックル血流計を用いて眼血流と同時に下肢血流を測定することは全く新しい検査法であり、今後症例数を増加させる予定である。
公開日・更新日
公開日
2017-06-23
更新日
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