成人眼科検診の有用性、実施可能性に関する研究

文献情報

文献番号
201608011A
報告書区分
総括
研究課題名
成人眼科検診の有用性、実施可能性に関する研究
課題番号
H28-循環器等-一般-004
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
山田 昌和(杏林大学医学部 眼科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 平塚 義宗(順天堂大学医学部 眼科学講座)
  • 川崎 良(山形大学大学院医学研究科 公衆衛生学講座)
  • 田村 寛(京都大学医学研究科 医療情報企画部)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 中野 匡(東京慈恵会医科大学 眼科学講座)
  • 高野 繁(公益社団法人日本眼科医会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
7,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 視覚障害の原因疾患として、緑内障、糖尿病網膜症、変性近視、黄斑変性、白内障が主要なものであり、この5疾患で視覚障害の75%を占めている。これらは加齢・変性疾患であり、特に緑内障は有病率が5%と高く、初期には自覚症状に乏しく徐々に非可逆的に進行する。従って、緑内障を中心とした成人眼疾患を早期に発見するための眼科検診プログラムが重要と考えられる。
 現状では成人眼科検診の制度を持つ自治体はごく少数であり、各々が独自の形式で施行している。現行の自治体での眼科検診のスキームを大きく分けると、1)特定健診時に眼底写真撮影(場合によってOCTを追加)を行い、別の場所で読影を行う、2)特定健診時に眼科で眼底検査を行う、3)眼科で行う包括的眼科検査、の3つがあるが、各々の方式の精度評価はなされていない。本研究では、眼科検診スキームによる精度、実施可能性の違いを検討することを目的とする。
研究方法
 眼科検診の精度評価のための研究プロトコールの確定と参加施設の選定を行い、データセットを取り扱うシステムの開発を行った。
 対象は、研究参加施設を検診目的で受診した者のうち研究参加に同意が得られた者とし、総計1,000名を登録する。対象者には参加施設で包括的眼科検査を行い、眼科検診結果データセットを作成する。様々な検診スキームを想定して検査項目は眼底写真撮影、視力、屈折、細隙灯顕微鏡、眼圧、眼底検査とする。更に緑内障の精密検査として静的視野検査、補助診断のために光干渉断層計(OCT)検査を施行し、緑内障の確定診断(重症度を含む)あるいは除外診断がなされたデータセットを作成する。
 成人眼科検診のデータセットを眼科医に供覧し、正常と要精密検査(緑内障の疑い)の判定を行ってもらう。判定医は検査データを収集した施設以外の眼科専門医とし、1)眼底写真だけで評価する場合(「写真」)と、2)眼底写真にOCTを加えた場合(「写真+OCT」)、3)眼底写真に視力、屈折、細隙灯顕微鏡、眼圧、眼底検査の検査結果を加えた場合(「総合検査」)で、各々判定を行う。1)2)は検診会場で眼底写真撮影やOCT検査を行い、別の場所で読影する方式、2)は眼科医療機関で包括的眼検査を行う方式の評価に相当する。検査結果の提示は標準化された方法で行い、臨床経験や専門が異なる複数の医師が判定することで、検者間のばらつきも評価する。これらの検討から「写真」と「写真+OCT」、「総合検査」の3つの検診スキームの精度評価を行う。
結果と考察
 特定健診時に眼科での眼底検査実施率が高い自治体として、東京都世田谷区、宮城県仙台市、島根県松江市の3つを選び、合計で16の眼科医療機関(診療所)に協力を要請し、研究参加施設とした。各地区の医師会、自治体の健診担当者とも協議し、理解と協力を得た。眼科医療機関の担当者とも協議を行い、検査機器や検査方法の標準化を進めた。これらを踏まえて研究プロトコールを確定し、平成29年2月に倫理委員会の審査、承認を受けた。
 本研究で作成するデータセットでは緑内障に関する精密検査が行われており、緑内障の有無とその重症度が判定されている。このため、各々の検診スキームの陽性適中率だけでなく、感度と特異度を評価できる点に特徴がある。データセットには一般住民と同程度の有病率で緑内障患者が含まれると想定され、実際の眼科検診の場と近い条件で精度評価を行うことができる。OCTの緑内障や黄斑疾患の集団スクリーニングへの応用についても検討課題である。
 平成29年度には年度の初めに各地区の医療機関の研究協力者に説明会を行い、特定健診の時期に合わせて実際の症例登録、データの集積を行う予定である。今年度はこのための準備を進めてきたが、順調に準備を整えることができた。
結論
 成人眼科検診の実施方式は確立されていない。成人眼科検診により視覚障害をどの程度減少できるか、住民の福祉・健康の増進に繋がるか、費用対効果が十分に高いかといった事項を実際のデータを通じて検討することは、視覚障害対策を考える上で重要な課題と考えられる。本研究を通じて、実施可能性と効率の高い検診モデルとその効果を示すことができれば国や自治体の施策に反映される可能性があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2017-06-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201608011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,880,000円
(2)補助金確定額
9,880,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,003,075円
人件費・謝金 782,136円
旅費 1,434,948円
その他 3,380,469円
間接経費 2,280,000円
合計 9,880,628円

備考

備考
 支出の合計が628円多く、自己資金を充当した。

公開日・更新日

公開日
2017-12-22
更新日
-