文献情報
文献番号
201608006A
報告書区分
総括
研究課題名
系統的レビューとコホート研究に基づく特定健診質問票の開発
課題番号
H27-循環器等-一般-007
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
中山 健夫(京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 田原 康玄(京都大学)
- 高橋 由光(京都大学)
- 陳 和夫(京都大学)
- 磯 博康(大阪大学)
- 三浦 克之(滋賀医科大学)
- 岡村 智教(慶應義塾大学)
- 小坂 健(東北大学)
- 松尾 恵太郎(愛知県がんセンター)
- 神田 秀幸(島根大学)
- 杉田 由加里(千葉大学)
- 立石 清一郎(産業医科大学 産業医実務研修センター)
- 宮地 元彦(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
7,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
特定健康診査における適切な問診からは、メタボリックシンドロームや循環器疾患のハイリスク者を抽出する上で極めて重要な情報が得られる。しかし、現在の標準質問票は、例えば飲酒に関する質問で非飲酒と禁酒が区別されていないなど、必ずしも適切とはいえない。そこで本研究では、平成30年の特定健康診査の見直しに向けて、既存の学術論文の系統的レビュー、ならびに独自のコホート研究の成績から、エビデンスに基づいた特定健診標準質問票を開発することを目的とした。質問票を健診で有効に活用するためには、各質問が何を把握することを意図したものかを十分に理解する必要がある。また保健指導では、標準質問票のみでは把握しきれない対象者の特徴を理解することも欠かせない。そこで、標準質問票の解説と活用事例の充実、ならびに保健指導で活用できる質問票とその解説の作成も本事業の目的に据えた。
研究方法
以下のプロセスで議論を深め総意を形成する。
①改訂課題と質問票の要素抽出
班員の専門的意見に基づき、現在の質問票の改訂課題を洗い出すとともに、新しく質問票に含めるべき要素を抽出する。
②エビデンスの集積
既報の学術論文を系統的にレビューし、現在の質問項目の改定案、ならびに改訂問診票に含めるべき各要素を反映する適切な質問項目を導く。エビデンスが不足する場合は、現有のコホートデータの長期縦断的な解析結果で補完する。過年度の特定健診データの分析から、現在の質問項目の妥当性を検証する。
③総意形成
集積した学術論文等の資料を用い、修正デルファイ法で総意形成を進める。その過程で、特定健診よりも特定保健指導での質問が適切と考えられた項目は、保健指導の活用例等に盛り込むことも併せて検討する。
④留意事項・活用方法のとりまとめ
改訂質問票を運用する際の留意事項、保健指導時における活用例を作成する。標準的な健診・保健指導プログラム改訂版の解説と活用事例(55〜53頁)について議論を行い、問題点を抽出した。それらを踏まえた上で意見集約を行い、改訂版を作成した。
研究班で作成した解説と活用事例は、本研究班とは別に組織された標準的な健診・保健指導プログラム改訂作業班(作業班)で議論・修正し、成案を取りまとめた。保健指導質問票については、標準的な健診・保健指導プログラム改訂版(以下、プログラムという)の119 頁に把握すべき事項(11項目)が列記されているが、具体的な質問は示されていない。そこで当該11項目(①食生活習慣、②身体活動状況、③運動習慣、④休養・睡眠、⑤飲酒状況、⑥喫煙状況、⑦健康意識・知識、⑧行動変容ステージ、⑨過去にとった保健行動、⑩治療中の疾病等、⑪その他)を中心に、保健指導時に質問票で把握すべき具体的な項目について班員の意見を集約し、質問票を作成した。研究班で作成した保健指導質問票は、本研究班とは別に組織された標準的な健診・保健指導プログラム改訂作業班(作業班)で議論・修正し、成案を取りまとめた。
①改訂課題と質問票の要素抽出
班員の専門的意見に基づき、現在の質問票の改訂課題を洗い出すとともに、新しく質問票に含めるべき要素を抽出する。
②エビデンスの集積
既報の学術論文を系統的にレビューし、現在の質問項目の改定案、ならびに改訂問診票に含めるべき各要素を反映する適切な質問項目を導く。エビデンスが不足する場合は、現有のコホートデータの長期縦断的な解析結果で補完する。過年度の特定健診データの分析から、現在の質問項目の妥当性を検証する。
③総意形成
集積した学術論文等の資料を用い、修正デルファイ法で総意形成を進める。その過程で、特定健診よりも特定保健指導での質問が適切と考えられた項目は、保健指導の活用例等に盛り込むことも併せて検討する。
④留意事項・活用方法のとりまとめ
改訂質問票を運用する際の留意事項、保健指導時における活用例を作成する。標準的な健診・保健指導プログラム改訂版の解説と活用事例(55〜53頁)について議論を行い、問題点を抽出した。それらを踏まえた上で意見集約を行い、改訂版を作成した。
研究班で作成した解説と活用事例は、本研究班とは別に組織された標準的な健診・保健指導プログラム改訂作業班(作業班)で議論・修正し、成案を取りまとめた。保健指導質問票については、標準的な健診・保健指導プログラム改訂版(以下、プログラムという)の119 頁に把握すべき事項(11項目)が列記されているが、具体的な質問は示されていない。そこで当該11項目(①食生活習慣、②身体活動状況、③運動習慣、④休養・睡眠、⑤飲酒状況、⑥喫煙状況、⑦健康意識・知識、⑧行動変容ステージ、⑨過去にとった保健行動、⑩治療中の疾病等、⑪その他)を中心に、保健指導時に質問票で把握すべき具体的な項目について班員の意見を集約し、質問票を作成した。研究班で作成した保健指導質問票は、本研究班とは別に組織された標準的な健診・保健指導プログラム改訂作業班(作業班)で議論・修正し、成案を取りまとめた。
結果と考察
改訂課題と質問票の要素抽出は以下を基本方針とした。
• 諸外国の健診と共通する質問診項目で、すでに基本項目とされているものについては、再検討の必要はない。
• 将来のメタボリックシンドローム発生を予測するような質問であるべき。
• ハイリスク者を抽出するのみならず、介入による改善を期待できるような質問を設定すべき。
• 公的に生活習慣を調べたデータは特定健診の問診票しかない。データヘルスなどの集団分析に活用できるような質問項目の検討が必要。
• 諸外国の健診と共通する質問診項目で、すでに基本項目とされているものについては、再検討の必要はない。
• 将来のメタボリックシンドローム発生を予測するような質問であるべき。
• ハイリスク者を抽出するのみならず、介入による改善を期待できるような質問を設定すべき。
• 公的に生活習慣を調べたデータは特定健診の問診票しかない。データヘルスなどの集団分析に活用できるような質問項目の検討が必要。
結論
以上の過程で改訂質問票の素案を作成した。内訳は、①階層化に必要な項目(治療歴・喫煙)・循環器疾患の既往現病・飲酒が14項目、②既存の質問項目のうち、質問文や選択肢を修正して採用した4項目、③生活習慣やリスク因子に関する追加14項目、④オプションとして扱う産業労働衛生関連5項目の計37項目となった。このうち、心房細動や心房粗動の受療歴に関する質問、ならびに不整脈等の自覚症状に関する質問は、特定健診における追加検査(詳細健診)において、心電図検査の適否の判断を目的としたものであり、健診項目等の見直しに関する研究班(永井班)と連携して検討を行った。加えて標準質問票の解説と活用事例、保健指導の質問項目、標準質問票開発のためのエビデンステーブルを作成した。
公開日・更新日
公開日
2017-06-23
更新日
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