文献情報
文献番号
201607029A
報告書区分
総括
研究課題名
陽子線治療患者の全例登録実施状況調査と施設訪問調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H28-がん対策-指定-001
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
白土 博樹(国立大学法人 北海道大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 櫻井 英幸(筑波大学附属病院・教授)
- 秋元 哲夫(国立がん研究センター東病院粒子線医学開発分野・分野長)
- 村山 重行(静岡県立静岡がんセンター陽子線治療科・部長)
- 佐藤 典宏(北海道大学病院臨床研究開発センター・センター長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
2015年度の先進医療会議において、日本放射線腫瘍学会(JASTRO)が全陽子線治療施設を取りまとめ、先進医療Bでの臨床研究を進める一方で、それ以外の疾患・病態に関しては、先進医療Aの枠組みで、統一治療方針での治療、全国の全陽子線治療患者の登録、そして各施設への訪問調査を行うことが定められた(粒子線治療の取り扱いについて(先-5. 28.5.12.)。しかし、実際には、陽子線治療に特化した単独診療科施設もあるなど、キャンサーボードの開催方法や、患者経過観察に関して、多施設共同の臨床研究の質の担保を如何に行うかが課題であった。本研究は、陽子線治療施設の多施設臨床研究を進めるにあたり、各施設の臨床研究体制の実情を調査し、データ収集を行うための改善点を見極め、今年度以降の臨床研究・診療の質を担保することを目的としている。研究代表・分担研究者らがJASTROと連携し、全陽子線治療実施施設のアンケート調査を今年度中に行い、それに基づいて、各施設の臨床研究体制の改善を行う。さらに、陽子線治療全施設への訪問調査プログラムを今年度中に策定し、実際の訪問調査による改善度のチェックを通して、全体的な臨床研究体制の品質の均一化を目指すことを目的としている。
また、アンケートで、新しい先進医療Aの施設別予想症例数を把握し、日本全体での臨床研究スケジュールの精度を上げる。同資料は今後の先進医療Bでの臨床試験候補疾患・病態を決定するための基礎資料ともなる。
全陽子線治療実施施設アンケート調査に基づき、共同臨床研究の施設基盤を整備し、各施設陽子線治療の診療実態を明らかににするための訪問調査のプログラムを作成する。今年度訪問する施設と、訪問時に調査する項目を決定し、実際に2施設の訪問調査を行い、施設訪問調査の結果は、各医療施設に報告し改善を促す。
また、アンケートで、新しい先進医療Aの施設別予想症例数を把握し、日本全体での臨床研究スケジュールの精度を上げる。同資料は今後の先進医療Bでの臨床試験候補疾患・病態を決定するための基礎資料ともなる。
全陽子線治療実施施設アンケート調査に基づき、共同臨床研究の施設基盤を整備し、各施設陽子線治療の診療実態を明らかににするための訪問調査のプログラムを作成する。今年度訪問する施設と、訪問時に調査する項目を決定し、実際に2施設の訪問調査を行い、施設訪問調査の結果は、各医療施設に報告し改善を促す。
研究方法
①全粒子線治療実施施設の臨床研究体制に関するアンケート調査実施
研究代表・分担研究者らがJASTROと連携し、全陽子線治療実施施設のアンケート調査を今年度中に行い、それに基づいて、各施設の臨床研究体制に必要な改善を教育的に行う。
②陽子線治療全施設への訪問調査プログラムを策定
全陽子線治療実施施設アンケート調査に基づき、共同臨床研究の施設基盤を整備し、各施設陽子線治療の診療実態を明らかににするための訪問調査のプログラムを作成する。今年度訪問する施設と、訪問時に調査する項目を決定し、実際に2施設の訪問調査を行い、施設訪問調査の結果は、各医療施設に報告し改善を促す。同訪問調査は、先進医療会議の決定で、本年度から開始することが必要であり、訪問調査のプログラム策定を本年度中に完了する。
③実際の訪問調査を実施
訪問調査メンバーは、日本放射線腫瘍学会粒子線治療委員会から委員として、北海道大学病院への訪問では、沖本智昭、寺嶋千貴、相部則博の計3名が札幌に来て、直接、訪問調査を行い、白土博樹、清水伸一、井田頼子などが対応した。兵庫粒子線医療センターへは、白土博樹、清水伸一、林宏至の計3名が訪問し調査を行った。訪問受け入れ側の兵庫県立粒子線医療センターは、沖本智昭院長、徳丸直郎副院長、寺嶋千貴放射線科長および山重政司事務部長、の4名が主に対応した。調査については施設訪問調査評価シート第二版を用い評価した。
研究代表・分担研究者らがJASTROと連携し、全陽子線治療実施施設のアンケート調査を今年度中に行い、それに基づいて、各施設の臨床研究体制に必要な改善を教育的に行う。
②陽子線治療全施設への訪問調査プログラムを策定
全陽子線治療実施施設アンケート調査に基づき、共同臨床研究の施設基盤を整備し、各施設陽子線治療の診療実態を明らかににするための訪問調査のプログラムを作成する。今年度訪問する施設と、訪問時に調査する項目を決定し、実際に2施設の訪問調査を行い、施設訪問調査の結果は、各医療施設に報告し改善を促す。同訪問調査は、先進医療会議の決定で、本年度から開始することが必要であり、訪問調査のプログラム策定を本年度中に完了する。
③実際の訪問調査を実施
訪問調査メンバーは、日本放射線腫瘍学会粒子線治療委員会から委員として、北海道大学病院への訪問では、沖本智昭、寺嶋千貴、相部則博の計3名が札幌に来て、直接、訪問調査を行い、白土博樹、清水伸一、井田頼子などが対応した。兵庫粒子線医療センターへは、白土博樹、清水伸一、林宏至の計3名が訪問し調査を行った。訪問受け入れ側の兵庫県立粒子線医療センターは、沖本智昭院長、徳丸直郎副院長、寺嶋千貴放射線科長および山重政司事務部長、の4名が主に対応した。調査については施設訪問調査評価シート第二版を用い評価した。
結果と考察
アンケートでは、すべての陽子線治療施設で、予定通り、統一治療方針への変更がなされ、全例登録がなされていたことは注目に値する。
・先進医療の統一方針を決定するなどにより、粒子線治療の適応疾患が、変わりつつあることが示された。
・2016年5-6月では、383例が治療され、そのうち368例が先進医療で、14例が自由診療であった。その評価は、どの視点で見るかによって、異なる。
・同時期の日本人は375例で、外国人は8例であった。
・新しい先進医療の取り決めにより、各施設でのキャンサーボードの整備が進んだ。
・キャンサーボードの定義が、施設ごとで若干異なっていたため、再度、正確な議論が必要であることがわかった。
・統一治療方針の記載ミスや不十分な点があり、これに対する早急な改正が必要であることがわかった。
・訪問調査により、施設間の臨床試験に対する認識の差が減少しつつあることが示された。
・先進医療の統一方針を決定するなどにより、粒子線治療の適応疾患が、変わりつつあることが示された。
・2016年5-6月では、383例が治療され、そのうち368例が先進医療で、14例が自由診療であった。その評価は、どの視点で見るかによって、異なる。
・同時期の日本人は375例で、外国人は8例であった。
・新しい先進医療の取り決めにより、各施設でのキャンサーボードの整備が進んだ。
・キャンサーボードの定義が、施設ごとで若干異なっていたため、再度、正確な議論が必要であることがわかった。
・統一治療方針の記載ミスや不十分な点があり、これに対する早急な改正が必要であることがわかった。
・訪問調査により、施設間の臨床試験に対する認識の差が減少しつつあることが示された。
結論
結論として、本調査により、JASTROが粒子線治療の品質を担保しながら、エビデンスを出していくという新たな仕組みが、順調に進みだしていることが示された。次年度からは、全施設への訪問を実施する予定であり、本研究による訪問調査のマニュアル作成が、それに役立つと思われる。
公開日・更新日
公開日
2017-06-23
更新日
-