企業等の医療機器開発人材の育成における教育支援方法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201605023A
報告書区分
総括
研究課題名
企業等の医療機器開発人材の育成における教育支援方法の開発に関する研究
課題番号
H28-特別-指定-025
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
澤 芳樹(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 憲嗣(国立大学法人大阪大学 国際医工情報センター)
  • 八木 雅和(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 出江 紳一(国立大学法人東北大学 大学院医工学研究科)
  • 佐久間 一郎(国立大学法人東京大学 大学院工学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
4,976,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢化が進む本邦において、臨床現場の真のニーズを発見して知財・許認可規制・保険償還等の視点から適切な事業戦略を策定しながら医療機器の製品化を実現し、新たな価値を創造することが求められている。しかし、日本においてこのような手法の一般化はされておらず、教育方法も存在しない。
そこで、申請者らは、既に著しい成果をあげているスタンフォード・バイオデザインを基にこのような手法を実践的に学ぶことが可能なジャパン・バイオデザイン フェローシップ プログラムを開発し、平成27年10月から開始した。本フェローシッププログラムでは、スタンフォード・バイオデザインの翻訳版教科書を教育コンテンツの1つとして利用している。しかし、本教科書では、許認可規制・保険償還に関する事業戦略立案方法については日本と大きく異なるアメリカの制度に基づいて記載されている。そのため、日本市場を対象とした製品開発には適しておらず、十分な教育効果が得られないという問題があった。
そこで、本研究開発では、バイオデザインの観点、いわゆる、課題発見型製品開発の観点から、許認可規制、保険制度に関する基礎的な情報、ならびに事業戦略立案に関して分かりやすく学ぶことができる教育支援方法を開発することを目的とする。
研究方法
本研究開発では、ジャパン・バイオデザインを構成する大阪大学、東京大学、東北大学の関係者、ならびにスタンフォード・バイオデザイン関係者により構成される研究開発体制を構築してプロジェクト推進した。
具体的には、第1期ジャパン・バイオデザイン フェローシッププログラム(平成27年10月~平成28年7月)修了後もプロジェクトを継続推進して、実際に許認可規制、保険償還戦略に関するコンサルテーション等を受けて具体的に事業化の検討を進めている第1期修了生、ならびに第2期生(平成28年9月末~平成29年7月修了予定)等を対象とした教育コンテンツに関するインタビュー結果等をもとに議論し、教育コンテンツの構成を決定した。そして、本内容をもとに、医療機器開発に関係する適切な協力依頼先へのインタビュー調査ならびに議論を実施して、教育支援方法素案を作成した。そして、教育方法素案に関して第1期修了生からのフィードバックを得て再検討し、企業等の医療機器開発人材の育成教育支援方法を開発した。
結果と考察
本研究開発では、まず、ジャパン・バイオデザインを構成する大学関係者、ならびにスタンフォード・バイオデザイン関係者により構成される研究開発体制を構築した。そして、ジャパン・バイオデザイン フェローシッププログラム第1期修了生、第2期生へのインタビュー結果等を踏まえ、バイオデザインの観点から、許認可規制、保険適用に関する5つの章から成る教育コンテンツの構成の決定、ならびに教育方法について議論した。そして、決定した教育コンテンツの構成に基づき、医療機器開発に関係がある適切な協力依頼先4名にインタビューを実施し、教育方法について議論した。本インタビュー・議論結果をもとに議論を進め、教育支援方法案を作成した。教育方法としては、開発のかなり初期段階、具体的には、作成した教育コンテンツに基づき、ニーズ選択プロセスの後期、もしくはコンセプト生成の初期段階で、講義、ならびにプロジェクトメンタリングを実施するという方法が適切であるという結論となった。
そして、教育方法案に関するジャパン・バイオデザイン第1期修了生からのフィードバック等に基づき内容を確認・検討の上、企業等の医療機器開発人材の育成における教育支援方法を開発した。
本研究にて開発した教育支援方法は、今後も引き続き、ジャパン・バイオデザイン フェローシッププログラム、企業向けの短期研修(クラスコース、1Dayコース等)にて、適宜、講義、もしくは、プロジェクトメンタリングの際に活用する。また、医療・ヘルスケア機器分野におけるイノベーションに関する学内講義や企業向けワークショップ等で活用する予定である。
結論
本研究開発では、これまで開発してきた教育プログラムの実績をもとに、その中でも特に検討が必要であった日本における許認可規制、保険適用戦略の立案に関する教育支援方法を開発した。
本教育支援方法に関しては、制度等の関連情報の更新を継続的に行うと同時に、実際に人材育成活動に活用して得られたフィードバックをもとに修正することで、教育コンテンツの質を向上させ、教育効果を改善する。そして、現場の問題を解決してイノベーションを実現できる人材を継続的に育成することで、医療現場の問題を解決して価値を創造する医療・ヘルスケア機器を持続的に産み出すエコシステムを構築する。そして、このような活動を通じて、医療の質の向上、ならびに効率化に貢献することができるようになると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2017-07-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201605023C

成果

専門的・学術的観点からの成果
申請者らは、現場の問題を解決して医療の質の向上や医療の効率化を実現する医療・ヘルスケア機器を開発できる人材の育成プログラムを開発してきた。本研究開発では、日本市場を対象とする際に、特に検討が必要であった、開発の早期フェーズにおける許認可規制戦略、保険適用戦略の検討方法に関する教育支援方法を開発した。本成果により、これまでに行われていなかった、現場のニーズを起点とした医療の質の向上ならびに医療の効率化を実現する医療・ヘルスケア機器の開発手法に関する一般化(プロセス化)を実現した。
臨床的観点からの成果
臨床現場の問題を解決できるすばらしい医療機器を研究・開発しても、患者のもとに届けることができなければ、患者がその恩恵を受けることができないという問題がある。そこで、本研究開発では、本件を実現する上で大きな障壁となっている許認可規制、保険適用に関する事業化の観点での基本的な考え方について教育支援方法を開発した。開発された教育支援方法を用いて継続的に人材育成を行うことで、現場の問題を解決する医療機器を現場に効率的に届けることを可能にし、より良い医療の実現に貢献できるようになると考えられる。
ガイドライン等の開発
従来、医療現場の問題解決を行う際には、個別に解決策が考案・開発されることが多く、高い再現性を持った体系化された手法は存在しない。そのため、類似した医療機器開発の失敗事例が数多く存在する。そこで、申請者らは、本研究開発において、これまで開発してきた教育プログラムの実績をもとに、特に検討が必要であった許認可規制、保険適用戦略の立案方法に関する教育支援方法を開発し、日本において臨床現場の問題を解決し医療の質の向上や医療の効率化を実現する医療・ヘルスケア機器を開発する汎用手法を開発した。
その他行政的観点からの成果
本研究開発で開発された教育支援手法は、ジャパン・バイオデザイン フェローシッププログラム他、さまざまな人材育成プログラムで活用する予定である。これらのプログラムの対象は、医・歯・薬、工・情報学分野のアカデミアの学生や研究者、医師、産業界のビジネス、開発担当者等、多様性に富む。本教育支援手法を用いてアカデミア、産業界を問わず幅広い分野の必要な人材を育成することで、日本の医療の質の向上と効率化を持続的に実現する医療・ヘルスケア機器イノベーションエコシステム構築に貢献できると考えられる。
その他のインパクト
ジャパンバイオデザイン フェローシッププログラム他、革新的な医療機器開発のための人材育成プログラムやワークショップ等にて、開発された教育支援方法をもとに、実践的な講演(一部)、ならびにプロジェクト指導を実施した。今後も、引き続き、本分野に関連する講義やプロジェクト指導等に活用する。開発された教育支援方法によるプロジェクト指導を受けた受講生から事業化案件が複数出た。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
6件
ジャパンバイオデザイン フェローシッププログラムや修了後のプロジェクト支援において、開発された教育支援方法に基づいてプロジェクト指導を実施した。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2022-05-26

収支報告書

文献番号
201605023Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,468,000円
(2)補助金確定額
6,468,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,838,895円
人件費・謝金 194,985円
旅費 270,320円
その他 2,671,800円
間接経費 1,492,000円
合計 6,468,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2017-07-06
更新日
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