文献情報
文献番号
201605021A
報告書区分
総括
研究課題名
医療従事者養成課程におけるB型肝炎に関する教育についての研究
課題番号
H28-特別-指定-023
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
操 華子(宮城大学 看護学部 大学院看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 前田ひとみ(熊本大学大学院生命科学研究部)
- 長沢光章(国際医療福祉大学成田保険医療学部)
- 松田裕子(鶴見大学短期大学部歯科衛生科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団と厚生労働大臣との協議(平成28年7月15日実施)において、医療従事者への基礎教育において、正しい医学情報、標準予防策の徹底のみならず歴史的事実や教訓、患者を傷つける言動等への理解について取り上げることが求められており、医療従事者養成課程におけるB型肝炎に関する教育の実施の有無、その教育内容・方法について早急に実態を把握するための調査を行い、各養成所において効果的な教育について明らかにする必要がある。そこで、本研究は、医療従事者(看護師、准看護師、臨床検査技師、歯科衛生士)養成課程におけるB型肝炎に関する教育の実施状況を明らかにすることを目的とした。
研究方法
都道府県知事指定の4職種の全養成所1095校を対象とし、自記式質問紙を用いた郵送法による調査を実施した。養成課程の内訳は以下の通りである。看護師養成所3年課程537校、看護師養成所2年課程170校、准看護師養成所218校、臨床検査技師養成所23校、歯科衛生士養成所147校(平成28年9月現在)であった。調査項目は、基礎情報のほかに、B型肝炎等に関する教育内容・方法、肝炎ウイルス感染者及び肝炎患者に関する偏見差別防止の啓発教育の実施の有無とその教育内容、B型肝炎ウイルス感染者、肝炎患者、家族からの声を直接聞く機会となる授業(特別講演)の実施の有無、実施している場合はそのきっかけ、教育内容、利点・問題点、学生の反応についてとした。
厚生労働省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に準拠し、宮城大学研究倫理専門委員会の承認を受けた上で調査を実施した。
厚生労働省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に準拠し、宮城大学研究倫理専門委員会の承認を受けた上で調査を実施した。
結果と考察
・4職種の養成課程からの回収率は61%であった。
・4職種の養成課程全体で、入学前後のB型肝炎ウイルス抗体価検査の実施 86.8%、抗体価検査で陰性の場合のワクチン接種の実施 63.4%、ワクチン接種後の抗体価の確認のための検査の実施 74.2%、臨地実習に出るための条件としてB型肝炎ウイルス抗体検査結果が陰性の場合のワクチン接種の勧奨 88.6%であった。
・4職種の養成課程全体で、標準予防策の講義の実施 96.7%、感染経路別予防策の講義の実施 96.7%、B型肝炎ウイルス及びB型肝炎ウイルス感染症に関する講義の実施 96.9%、B型肝炎ウイルスの感染経路に関する講義の実施 97.2%、B型肝炎ウイルス感染者及び肝炎患者のケア時に求められる隔離予防策に関する講義の実施 79.9%であった。また、感染予防技術である個人防護具の着脱の学内演習の実施は86.8%であった。
・4職種の養成課程全体で、肝炎ウイルス感染者及び肝炎患者に関する偏見差別防止の啓発教育の講義の実施は36.5%であり、当該講義のなかでB型肝炎ウイルスの感染原因に関する歴史的事実にふれていると回答した養成課程は82.8%であった。
・4職種の養成課程全体で、B型肝炎ウイルス患者、肝炎患者、その家族からの声を直接聞く機会となる授業の実施は1.3%であった。臨床検査技師、歯科衛生士の養成課程では実施されている養成所はなかった。
・4職種の養成課程全体で、入学前後のB型肝炎ウイルス抗体価検査の実施 86.8%、抗体価検査で陰性の場合のワクチン接種の実施 63.4%、ワクチン接種後の抗体価の確認のための検査の実施 74.2%、臨地実習に出るための条件としてB型肝炎ウイルス抗体検査結果が陰性の場合のワクチン接種の勧奨 88.6%であった。
・4職種の養成課程全体で、標準予防策の講義の実施 96.7%、感染経路別予防策の講義の実施 96.7%、B型肝炎ウイルス及びB型肝炎ウイルス感染症に関する講義の実施 96.9%、B型肝炎ウイルスの感染経路に関する講義の実施 97.2%、B型肝炎ウイルス感染者及び肝炎患者のケア時に求められる隔離予防策に関する講義の実施 79.9%であった。また、感染予防技術である個人防護具の着脱の学内演習の実施は86.8%であった。
・4職種の養成課程全体で、肝炎ウイルス感染者及び肝炎患者に関する偏見差別防止の啓発教育の講義の実施は36.5%であり、当該講義のなかでB型肝炎ウイルスの感染原因に関する歴史的事実にふれていると回答した養成課程は82.8%であった。
・4職種の養成課程全体で、B型肝炎ウイルス患者、肝炎患者、その家族からの声を直接聞く機会となる授業の実施は1.3%であった。臨床検査技師、歯科衛生士の養成課程では実施されている養成所はなかった。
結論
・肝炎ウイルス感染者及び肝炎患者に関する偏見差別防止の啓発教育の充実のためには、各養成課程の事情をふまえ、教師側の重要性の認識とともに適切な教育資材が望まれる。
・4職種の養成課程の過密なカリキュラムの現状をふまえ、患者、その家族からの声を直接聞く機会となる授業は、養成課程在籍中のみならず卒後教育の一環として活動を広げる意義を指摘した。
・4職種の養成課程の過密なカリキュラムの現状をふまえ、患者、その家族からの声を直接聞く機会となる授業は、養成課程在籍中のみならず卒後教育の一環として活動を広げる意義を指摘した。
公開日・更新日
公開日
2017-06-01
更新日
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