文献情報
文献番号
201605013A
報告書区分
総括
研究課題名
医療用医薬品のバーコード表示の安全対策活用の推進に向けた活用実態調査及び表示改良等の提言
課題番号
H28-特別-指定-015
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
土屋 文人(国際医療福祉大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
- 木村 昌臣(芝浦工業大学 工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療用医薬品へのバーコード表示については、原則平成27年7月以降の出荷分から表示が義務づけられている。バーコード表示を行う項目(商品コード、ロット番号、有効期限)については、元梱包装単位、販売包装単位、調剤包装単位によって必須表示か任意表示かが定められている。製薬企業における表示の進捗状況については厚生労働省医政局経済課による進捗状況調査が毎年実施されているが、医療機関や薬局におけるバーコードの利活用の実態については調査が行われていないのが現状である。調剤包装単位へのバーコード表示の目的は医療安全(取り違え事故防止)である。そこで本研究においては調剤包装単位を中心に、医療機関や薬局における活用実態について全国的な調査を行い、より活用に適した表示改良や、新たな議論(表示項目の追加)に対する展望の整理を行う等、今後の安全対策上の施策提言として取りまとめることを目的とする。
研究方法
本研究においては医療機関、薬局における利用状況についてアンケート調査を行うとともに、医療機関、薬局に対して利用状況や利用する場合の課題等に関するヒアリングを行う。また、医療用医薬品のバーコード等に関する情報(データベース:DB)の登録・管理を行っているMEDISに対してヒアリングを行い、DB運用上の課題の有無等について調査を行う。また医療機関では利用形態が多様であることが想定されるので、具体的な利活用例を収集する。
結果と考察
医療機関、薬局ともバーコードを最も利用している部門は薬品管理部門であった。調剤部門において最も利用されているのは、散剤の調剤であり、錠・カプセル剤等の調剤包装単位に関するバーコード利用は低かった。病棟においてのバーコードの利用は、患者誤認防止に関する利用であり、薬剤交付(配薬)に際してバーコードチェックを実施している施設は少なかった。また、注射剤の混合調製に際して利用している施設も少なかった。
バーコード利用に関する今後の計画についての設問に対しては、計画が存在しないとの回答が特に中小病院において高かった。
医療機関・薬局における調剤包装単位のバーコードの利用は医療安全目的であることに鑑みると、このような低利用率であることは大きな問題であると思われる。医療機関や薬局における利用を高めるためには、診療報酬上で、利活用に対して評価を行うこと、関連機器の購入に対する税法上の配慮等が必須ではないかと思われる。
バーコードに関するDBの運用者に対するヒアリングでは、バーコード変更に関して定められている実施要領の表示が調剤包装単位と販売包装単位で不整合となっているケースにおいて、DB運用に大きな支障が生じており、やむを得ず例外処理で対応を行っていることが明らかになった。これは当初、実施要領の導入期を考慮してあえて不整合としていたが、全ての医療用医薬品に関してバーコード表示が実施されたことから、今後は運用面を重視することが重要である。従ってバーコード変更するルールの整合性を持つよう再検討を行うことが必要である。
一方、調剤方法に関する調査では、ピロー包装単位で薬剤交付が行われているケースが少なくないことが明らかになった。しかしながら現段階ではピロー包装に関するバーコード表示のルールは存在しないことから、ピロー包装単位へのバーコード表示のルールについて早急に検討を行うことが必要であると思われる。
バーコード利用に関する今後の計画についての設問に対しては、計画が存在しないとの回答が特に中小病院において高かった。
医療機関・薬局における調剤包装単位のバーコードの利用は医療安全目的であることに鑑みると、このような低利用率であることは大きな問題であると思われる。医療機関や薬局における利用を高めるためには、診療報酬上で、利活用に対して評価を行うこと、関連機器の購入に対する税法上の配慮等が必須ではないかと思われる。
バーコードに関するDBの運用者に対するヒアリングでは、バーコード変更に関して定められている実施要領の表示が調剤包装単位と販売包装単位で不整合となっているケースにおいて、DB運用に大きな支障が生じており、やむを得ず例外処理で対応を行っていることが明らかになった。これは当初、実施要領の導入期を考慮してあえて不整合としていたが、全ての医療用医薬品に関してバーコード表示が実施されたことから、今後は運用面を重視することが重要である。従ってバーコード変更するルールの整合性を持つよう再検討を行うことが必要である。
一方、調剤方法に関する調査では、ピロー包装単位で薬剤交付が行われているケースが少なくないことが明らかになった。しかしながら現段階ではピロー包装に関するバーコード表示のルールは存在しないことから、ピロー包装単位へのバーコード表示のルールについて早急に検討を行うことが必要であると思われる。
結論
医療機関、薬局におけるバーコードの利活用の実態調査を行った。その結果、薬品管理部門におけるバーコード利用は多くの施設で行われていたが、医療安全確保のために製薬企業に義務化をした調剤包装単位に関するバーコードの利用は極めて低いことが示された。また、中小病院においては、バーコードリーダー等の購入計画も存在していないことが明らかになった。調剤包装単位のバーコードの利用は医薬品取り違え事故防止という、医療安全確保の面における基盤そのものである。また、バーコードの変更に関するルールはデータベースを運用上不都合が生じていることが明らかになった。これらのことを考慮して、本研究においては以下の3点について提言を行う。
①調剤段階におけるバーコード利用を強力に推進するための施策(診療報酬及び税法上の対応等)が必要である。
②バーコードを変更するルール(実施要領)の整合性に関して再検討を行う。
③ピロー包装に関するバーコード表示について検討を行う。
①調剤段階におけるバーコード利用を強力に推進するための施策(診療報酬及び税法上の対応等)が必要である。
②バーコードを変更するルール(実施要領)の整合性に関して再検討を行う。
③ピロー包装に関するバーコード表示について検討を行う。
公開日・更新日
公開日
2017-06-15
更新日
-