バイオシミラー(BS)使用促進のための課題解決に向けた調査研究

文献情報

文献番号
201605010A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオシミラー(BS)使用促進のための課題解決に向けた調査研究
課題番号
H28-特別-指定-012
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
豊島 聡(武蔵野大学 薬学部・大学院薬科学研究科 レギュラトリーサイエンス研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 荒戸 照世(北海道大学 大学院医学系研究科 レギュラトリーサイエンス)
  • 金子 敦史(国立病院機構 名古屋医療センター 整形外科リウマチ科)
  • 高橋 弘充(東京医科歯科大学医学部付属病院 薬剤部)
  • 坂巻 弘之(東京理科大学 経営学部 臨床経済学)
  • 川崎 ナナ(横浜市立大学 大学院生命医科学研究科 生命医科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
5,600,000円
研究者交替、所属機関変更
変更なし

研究報告書(概要版)

研究目的
バイオシミラー(BS、バイオ後続品)についての各国の政策や規制と我が国の現状の調査に基づき、化学合成品の後発品とは異なる「バイオ製品」に特有の問題点についての分析研究を実施するとともに、アンケートを実施することにより、BSの開発・使用促進および国民を含む関係者の理解増進と啓発を進める上での課題の同定並びに具体的な解決策について、BSのみならず、バイオ医薬品全般の開発促進、ひいては我が国発の革新的バイオ医薬品の誕生に資する政策提言を目的とする。
研究方法
BSの開発・使用促進のための課題抽出:BSの開発・使用に関わる産官学のステークホルダーの参加する公開フォーラム「日本のバイオシミラーの現状と論点」により行った。

抽出された課題の詳細の明確化と課題解決策の検討:1.製薬企業、医師・薬剤師、一般国民を対象としたアンケートの実施、2.欧州におけるBSの規制・開発状況の文献・実地調査の実施、3.欧米のBS開発・規制の状況に詳しい有識者を研究協力者として招聘することによる調査の実施により行った。
結果と考察
規制について:日本におけるBS開発・承認申請を安全性に十分留意しながら効率的に進めるためには、指針・ガイドラインを作成・整備することが必要と考えられる。また、BSの普及には、代替性・互換性などの規制上の曖昧さを整理し、医師による変更、薬剤師の代替(可能な場合でも)のいずれにおいても、患者の理解を十分把握し、患者への指導を行い、必要に応じて医療機関へのフィードバックを行うべきであると考えられた。

開発コストについて:BS開発には、コストに見合う薬価の設定と、BSの使用促進(売れること)が必須の課題であった。

インフラ整備について:製造設備等のインフラ整備が急務であり、そのため、治験薬の供給等の観点から信頼できるバイオ領域のCMOが必要となっている。

人材育成について:日本には、バイオ医薬品の製造を担う人材が乏しい。BSの開発促進のみならず、バイオ医薬品そのものの開発にバイオ人材は必須であり、バイオ製造の基盤技術を担う人材の育成が急務となっている。

市民/医療従事者/患者らのBSに関する理解不足について:アンケート結果から医療現場の医師や薬剤師並びに患者(一般国民)にBSの開発・製造プロセスや審査の内容が正しく伝わっていないことがBSの社会的な認知が進まないことが、BSの使用促進障害の大きな要因となっていることが明らかになった。広く国民に向けて、わかりやすく正しい情報を発信する方策が必要であると考えられた。
結論
本研究で得られた成果から、BSの開発・使用促進のための課題解決に向け、産官学が協力して以下を実施することを提言する。
1.行政(厚生労働省、PMDA、AMED)への提言
・日本におけるBSの開発・承認申請を効率的に進めるための指針・ガイドラインを充実させる。
・製造設備等のインフラ整備(信頼できるバイオ医薬品製造にかかわるCMOの設立を含む)を支援する。
・バイオ医薬品の基盤技術・製造を担う人材の育成を支援する。
・医療関係者(特に医師)及び患者にBSを正確に理解してもらうための教育プログラムを作成し、これを実施する。また、BS開発企業によるBSの認知度向上に向けた取り組みを支援する。
・先行バイオ医薬品とBSの互換性(interchangeability)と代替処方(substitution)の考え方、及びこれらの承認要件を明確化する。

2.製薬企業・アカデミアへの提言
・医療関係者(特に医師)及び患者に対するBSの認知度向上に向け、BSを正確に理解してもらうための情報をさらに充実させて発信する。
・製造設備等のインフラ整備(信頼できるバイオ医薬品製造にかかわるCMOの設立を含む)を行政の支援のもとに実施する。
・バイオ医薬品の基盤技術・製造を担う人材の育成を行政の支援のもとに実施する。特にアカデミアは、人材の教育、供給に注力する。

本提言の実施(活用)は、BSの開発・使用促進に資するとともにBSの製造・品質管理技術の確立と関連人材の育成を通じ、これからのバイオ医薬品全般の開発促進、特に我が国発となることが期待される遺伝子治療・再生医療製品等の革新的バイオ医薬品の誕生にも資すると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2017-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-06-02
更新日
2017-06-30

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201605010C

収支報告書

文献番号
201605010Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,280,000円
(2)補助金確定額
7,280,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 496,154円
人件費・謝金 199,752円
旅費 912,933円
その他 3,991,161円
間接経費 1,680,000円
合計 7,280,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-03-30
更新日
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